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テーマ:読書(8205)
カテゴリ:本
もうすっかり秋めいてきましたが、今年の夏は暴力的に暑かった。
テレビでは、熱中症にかかると大変だから、あまり出歩くなとアナウンサーさんが声高におっしゃっていたりして、ついつい引きこもってしまいまして、冷房をつけて読書とあいなりました。 直木賞と本屋大賞をW受賞した恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」です。 まず一読(500ページありましたが)、気になったところもう一回ピックアップ読み、そして出かけた楽器屋さんで衝動買いしてしまったCDを聴きながら、再読。 舞台は3年に一度開かれる芳ケ江国際ピアノコンクール。 このコンクールに出場した若者たちの物語です。 主な登場人物は4人。 風間塵(15歳)養蜂家の父親に連れられて、世界を転々として、その土地でのピアノをかなり勝手に練習しているのだが、コンクールの数か月前に死去した世界的指導者に認められていた、かなり天然の天才少年。 栄伝亜夜(20歳)かつて天才少女の名をほしいままにしたが、母親の突然の死去以来長らくピアノを弾けなかった女性。 高島明石(28歳)音大出身だが、日本のコンクールでの5位入賞が最高という経歴から楽器店勤務のサラリーマンとなり、妻子もいる。 マサル・C・レヴィ・アナトール(19歳)陽の当たる道を歩き続け、現在は名門ジュリアード音楽院在学中。 この手の作品は映画、小説、コミックと色々あるが、大概エリートと紙一重的天才とのバトルとなりますが、「蜜蜂と遠雷」の素晴らしいところは、それぞれの人物の人間性をコンクールの演奏をバックにフラッシュバックさせているところかなと思います。 コンクールは第3次予選までありますが、第2次予選に厄介な課題がある。 有名日本人作曲家に、新曲を依頼して、直前までシークレットにされ、独自に出演者が解釈していくという面倒くさい曲がある。 このときは、宮沢賢治の「春と修羅」をモチーフにした楽曲。 実は、コンクールでのこの場面には、作者の恩田さんは並々ならぬ情熱を捧げているのがわかる。 28歳の高島さんの場面は、この小説のハイライトの一つであり、私も思わずムネアツの箇所でした。 超一流になれる才能がないのを自分でも百も承知で、仕事を持ちながら、家族との時間を犠牲にして、何で自分はピアノと向い続けているのかーその答えを見出すのですね。 そして、恩師に引っ張られていやいや参加した亜夜さんが、回りの出場者に刺激され、自分自身成長していき、3次予選の「喜びの島」演奏中に長い長いトンネルを演奏する喜びとともに抜けていくシーンも好きでした。圧倒的な筆力ですよね。 この小説の登場人物にはイヤな奴はいない。 でも、いい奴ぞろいでは薄っぺらくなるのではないかと普通には思われるのですが、ここにとんでもないモノが潜んでいる、音楽の根底に存在する「魔」です。多くの人を惹きつけ、人生を捧げさせ、翻弄させるシロモノとでもいうのでしょうか、恩田さんここまで踏み込みましたかと感服する次第であります。 売れた小説の宿命とも言える映像化に作者が大変慎重だという話は以前にも耳にしたことがあるが、最近映画化が発表されたようだ。 風間塵 鈴鹿央士(オーディションで選ばれた新人さん) 栄伝亜夜 松岡茉優(万引き家族の人?) 高島明石 松坂桃李(売れっ子さんですよね) マサル・カルロス 森崎ウィン(??) 正直ビミョーであります。 ところで芳ケ江国際コンクールのモデルは浜松国際ピアノコンクールです。 所詮日本のコンクールでしょ?と侮るなかれ、2003年のブレハッチ、2009年のチョソンジンとかのショパンコンクールでの優勝者を導いた権威あるコンクールなのです。 こちらも3年に一度で、何と今年は当該年で、11月7日から浜松アクトシティにて開催される。 詳細はこちら、そして予告編というか、CMはこちら。 思わずワクワクしますね。 今回ビックリしたのは、既に天才少年としてCDも多く出している牛田智大君もエントリーしているそうです。 残念ながら、下馬評はそれほどでもないようだ。 しかし、長島さんじゃないが「メークドラマです!」 映画よりこっちの方に期待してしまうワタシであります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.10.29 23:28:47
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