テーマ:仕事しごとシゴト(23741)
カテゴリ:我が社のないしょ話
またまたごぶさたしてます。
最近仕事中の息抜き、というか、ほとんどそれに人生を賭けていた(?)ネットができないので 訳もなくイライラする。 うつ状態になって気が滅入る。 飲みたくもないのに一日に飲むコーヒーの量が増えた。 口寂しいので間食ばかりしていたら、体重が増えた。 ろくでもないことを日がな一日考えている。 などと、あまりよくない効果が出ているようだが 眼精疲労がほんのちょっとマシになった。 朝起きたときのめまいが少なくなった。 同僚と話す機会が増えた。 人生の転換期について考え始めた。 という面ではよくなっただろうか? なにせ某お友達が以前日記でやった鬱度チェックでは「激うつ」で、やる気がさっぱりでないので、あまり真面目に取り組めないのだが、ここだけの話、我が同僚たちと転職計画をしている。 実は我が社は数年前から経営危機にさらされている。 社長が名家の出のボンボンで会社の儲けが出なくてもわたしたちの給料はとりあえず支払われているのだが、会社の90パーセントの利益となっていた大型クライアントがアメリカの会社に買収されて経営者が替わってから、というもの、仕事が激減、当然数年に渡って給料UPなし。 毎日ほとんど仕事がないのに、就業時間中はずっとPCの前に座って居なければならない。 精神的にも経済的にも苦しい。 その上、去年おととしと降りかかった裁判2つ(家のほうはいまだ継続中)と2回の流産には完全にノックアウトされた。未だに自殺していないのが不思議だ。 はじめは暇つぶしと気分転換にはじめたブログだったのだが、いまや会社でのネットは監視されてしまい、ほとんどない仕事内容までチェックされて、プラステイックの水槽に閉じ込められた実験用マウス「どこまでこの状態で精神の安定が保てるか?」な気分だ。 ずいぶん同僚も減った。人員整理と自己退職の両方だ。 わたしもここが日本ならさっさと見切りをつけて、転職活動をしていたところなのだが、なんせ万年不景気のイタリア、イタリア人でさえ就職が難しいのに、やはりせっかく就いている仕事、こんな状態になってもしがみついていなければならない自分が情けない。 一時期は必死でファインドジョブ系のサイトに登録しまくった。 ひとつ自分に合う仕事を見つけて履歴書を送ろうとすると、その日に出た物件なのに300通以上の履歴書がすでに送られていたりする。そういうのを見ると「こんな数からハンディの多いガイジンが採用されるわけないわな。」と凹み、まあとりあえずは送ってみるのだが、やっぱり返事が来たためしがない。_| ̄|○ いつ潰れるか、いつ無職になるか?? と、ずっと覚悟を決めているのに、普通ならもうとっくに倒産していそうなところ、社長の名家のバックアップのおかげでまだ倒れていないことにも「ああ、やっぱり生まれが違うとこうも違うのだなあ。」と精神的に参らされる。 そしてさらにショッキングなことが発覚。 社長「6月、会社を移転するぞ!」 えええええええ!!!!!????? 今のところは官公庁の立ち並ぶオフィス街のど真ん中で、家賃が高いうえ、従業員も激減したのでもっと郊外の小さいオフィスに移転したいらしい。いよいよ危ないか?すでに解約を申し込んできたそうだ。 わたし「こ。。郊外ってどの辺りですか?」 社長「個人的にはパビア(ミラノから30kmほど南下した街)のほうがいいんだが、みんなの意見も聞かないとな。」 わたし「わたしは。。。南は無理です。」 わたしはミラノから25km北上した田舎町在住だ。今のオフィスはミラノの中心からちょっと北で、我が家から国鉄1本で行けるのでいい。 結局社長は他の従業員からも猛反対に遭って(たいがい勤務地も考慮に入れて就職するものだし。)、南下計画はあきらめたのでホッとした。 それから今まで真面目に物件探しをせずにいた社長、ついにこのオフィスに6月から入る別の会社が決まって新たに慌てだした。 そしてオフィスの管理会社と話し合いのあげく、同じビル内の住居として使われていた物件を賃貸することに決めたのであった。_| ̄|○ 場所に移動がない、ということで肩の力は緩まったものの、問題は、新しいオフィスの間取りである。 住居用でオフィス用に作られていないので、社長は寝室を社長室として分捕り、会計士と事務は子供部屋、わたしたちグラフィックとプログラマーはもうひとつの寝室にデスクをぎっしり並べ、肩寄せ合って仕事。レセプションもショールームも、技師も、全部真ん中のリビングに集められるそうである。 狭い。今のオフィスの1/3の大きさだ。 そして。。。。 やっぱりそんなのすごくイヤ。 6月までに逃げ出さないと。。。と気ばかり焦って行動があまり伴っていなかったのだが、ある昼休み、アンナが「このファインドジョブ系のサイト登録してる?」とそのサイトからのニュースレターを見せてくれた。 「あんたにぴったりそうな募集が出てるわよ、見て。」(←昼休みはちょっとはネットが見れる。) 見ればなるほど、わたしが日本で経験を積んだ職の募集だ。 イタリアはこの手のデザインはドイツやイギリス、中国からの輸入ばかりなので、イタリアに来た当初は必死で探して見つからなくて撃沈して、仕方がないので経験とはあまり関係のない今の会社に就職したのだ。 そうか。。やっとイタリアも自国でデザインするようになったか! アンナ「あんたならきっと向こうも興味を持つわ。すぐに履歴書を送りなさい!」 わたしはドキドキしながら履歴書を送った。 翌日、さっそく連絡があって1週間後に面接、という運びとなったのだった。 わたし「バンザイ!!」 アンナ「やっぱりね~、すぐに連絡があると思った。でもこの募集内容には契約形態もなにも書かれてないから、あんまり期待しすぎないで行ったほうがいいよ。」 わたし「あ。。。そうか。フルタイムじゃないと、生活できないし、今より給料安かったら家のローンも払えないもんね。涙」 この1週間、わたしはいろいろな想いをめぐらせながら、古い作品をあちこちから引っ張り出して一冊のポートフォリオになんとかまとめ(今更見ると、恥ずかしくて見せられない作品が多々あった。)、大きく深呼吸をして、会社の扉を叩いたのだった。 会社はミラノの南端の工場地帯にあり、決して通勤に快適でない距離である。今の会社より30分以上時間がかかるが、この際これは妥協はしなければならないだろう。 この会社は大きな倉庫に併設されたオフィス。 がらんとだだっぴろくて、無人の会議室ばかりが並んでいて、その向こうに開け放たれたショールームが見える。 わたしはこのひとつの会議室で水の一杯も出されず、ぽつねんと1時間待たされた。 「お待たせ。」とやっと白髪の社長と思われる女性が入ってきた。 さっそくわたしはポートフォリオを見せて説明しようとしたのだが、彼女はパラパラとめくりながらわたしの応募の動機や、今の会社でいくらもらっているのか、どこに住んでいるのかを聞いてくる。 「まあ、遠いわねえ。ここまで来るの、時間がかかったでしょ?」 「ええ、遠いですけど慣れですから。日本では通勤に2時間かけてましたし。」 「クルマをお持ち?電車じゃなくて、我が社はクルマで来るほうがいいわよ。」 「ありますけど、運転練習中でまだまだここまで来るのは。。。」 作品、ちゃんと見て欲しいな。。。 社長はやがて「ショールームに来て。」と立ち上がった。 整頓されたショールームにはサンプルがぎっしりと並んでいて、社長はいろいろと手にとって見せて、手作りのプレゼンテーション用のデザインブックも「どんどんめくって見てちょうだい。」というので、どんどんとめくっていく。 。。。これらのデザイン、わたしの画風に合ってるし、この感じ、採用されそう? ちょっと自信が出てきた。 やがてプランナーの女の子を紹介される。 社長「彼女にこの夏のコレクションでまだ出てないテーマを渡して。」 これって、もう仕事をくれるんですかっ!!?? プランナーはわたしに4つのテーマを渡した。 そしてまた会議室へ。 「この宿題を終えたらわたしに連絡ちょうだい。じゃ。」と社長が立ち上がりかけたので、わたしは慌てた。 「ちょ、ちょっと待ってください。まだ契約の話も何も聞いてませんし、どういうことでしょう?それにいつまでに仕上げたらいいんですか?」 社長「契約の話は次回宿題を持ってきたときにしましょう。期限は。。そうね、1週間後。」 わたしはめげずに食い下がる。「えと、わたしは一応フルタイムが希望なんです。ここの仕事をするならそれだけに集中したいので。」 社長「。。。そうね、とりあえず宿題をみないとなんとも言えないわ。それにうち、すでに10人デザイナーが働いているのよね。」 わたし「わ、わかりました。では1週間後、きちんとしたお話をお願いします。」と引き下がるしかなかった。 帰る道々、わたしはどんどん落胆していった。 この会社、フルタイムはいらないってことか。 それにわたしは遠いし、いいところやっぱりフリーのたまに忙しいときの助っ人扱い? なんだかそんなものに、真面目に宿題をするのも癪にさわるけど、勝手な自己解釈なだけで実際どうなるかもわからないし、とにかくやってみることにした。 大昔のスケッチブックを引っ張り出して、ラフスケッチをはじめたのだがひさびさの仕事に腕が鈍っていることを実感する。 10年ぐらいこの仕事から離れていたしな。。 この日は週末でまたもやヤギたちのBBQにしつこく誘われたのだが、必死で断って家でコリコリ静かに描いていた。 あ~、イライラする。思ったように鉛筆が進まない。 しかし懐かしさがどんどん溢れてきた。 やっぱりこの仕事のほうがやっていて楽しいな。 最初は楽しくスタートした宿題、さすがに会社では出来ないので家に帰って毎晩ごはんを作って食べたあとにやっていたら疲れてきた。 おっとはそばでTVの音量を大にしてゲハゲハ笑いながら見てるし、ときどきからんでくるのでうっとおしい! やっと昨日の夜中、おっとがすでにいびきをかいて寝ているときにヘトヘトになって全ての宿題をプリントアウトした。 これから助っ人でも引き受ける?どうする??やっぱり両立は絶対無理!! いよいよ今日が宿題提出日である。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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