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2007.10.15
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テーマ:住宅コラム(1809)
お久しぶりです。最近ご無沙汰しましてすみません。

イタリアならでは8月の何も動かない間に焦って、秋からのいろいろなマタニティ関係のクラスだとか、セミナーだとか申し込んだおかげで最近毎日出ずっぱり。
ある日は午前にMonzaの病院のマタニティセミナーを受けたら午後からは近所の病院のマタニティビクス、夜からはおっと同行の夫婦セミナーと、いい加減疲れてきた。
義務教育の学校じゃないのだから、さぼればいいものを真面目日本人はそんなことが出来ないのであった。

****

さて先日もちょっとふれた家の裁判。
あの大雨のときにはっぱをかけたのも関係してか?ようやく弁護士事務所からひさびさのお呼びがあった。
用件はこれ以上、裁判を続けるか否か、ということである。

なぜならはじめてすぐ、わたしは足を骨折して入院、それからはおっとが主体になっていたものだからわたしは具体的に関与が出来ていなかった。今回わかったのはこの裁判、とっくに勝訴しているのだ!!←早く言えよ、おっと!
当たり前だ、被害状況からしていくら裁判所のペリートが不動産屋に裏金を掴まされて裁判を延ばしたり、報告書に細工したところで、あからさまにこちらの勝ちであることはわかっていたことなのだ。

しかし。

勝訴の段階で不動産屋がすぐに不服を訴えたらしい。
なぜなら、我々の建築士が屋根を修理するとして提出した費用が高額すぎる、というのである。
そこでおっとは念のため、他の業者に屋根の修理代の見積もりを出したらしいが、だいたい我々の建築士がはじきだしたものと同額であった。つまり常識的な額。
だが不動産屋が「仕方がねえな、払ってやるからとっとと閉廷しやがれ。」な勢いで提示してきた額は我々が提出した額のたったの1/3であった。
裁判所までが奴らの悪行を公式に認めているというのに、あきれて開いた口がふさがらない。

我々の弁護士と、あちらの弁護士がまるで八百屋の店先のように「もっと払えよ。」「いや、もっと負けろ。」と問答しているうちに、再判決定期限1ヶ月前を切ったわけだ。

この2年、闘ってきて雨が降るたびにヒヤヒヤするのも、床に滴った雨水を掃除しながら「こうなったのも誰のおかげだ?この野郎!!」と歯軋りするのも精神的に疲れてきた。
おまけに弁護士からお呼びがあったりメールがあるたびに、素人には想像も付かなかった奴らの更なる悪行が暴露され、そのたびに電気ショックを受けたような心臓衝撃が走るのだ。

おっと「もうすぐ子供も産まれるし、出来ることなら産まれる前までに屋根の修理を終えたいからもう終わりにしよう。」

わたし「うん。。それは賛成だけど、でも奴らの提示してきたたったあれだけの額じゃ今までかかった弁護士もろもろの費用は別として、閉廷の際にかかる費用の捻出だけでも赤字だから少なすぎるよ。」

おっと「ぼくらの弁護士が言うには、半分ぐらいまでなら奴らに出させられるみたいなんだ。だから過去の赤字はもう仕方がないとして、材料はうちらで揃えてマルコ(我が家の向かいに住む工事業者)に工事代だけ払って修理してもらおうよ。」

確かに。裁判所の決定を不服としてまで絶対に払わない姿勢をみせるこの極悪不動産屋。
これ以上続けたところで、さらに膨大な費用がかかるし、ヘタしたらこちらが言われもない揚げ足を挙げられて敗訴に追い込まれるリスクもある。

わたしとおっとの意見は決まった。
わたしたちは弁護士がいう提示額の半分の額を条件に閉廷することに決めたのであった。

弁護士「そうですか。。。現在の屋根の状態を考慮すると、裁判を続けるには時間がかかりますし、その決定が懸命かもしれません。」


ああ、やっとこの戦いも幕を閉じようとしている。。。長かった。裁判なんてそうそうするもんじゃない。


しかし、我々の場合は仕方がなかった選択だった。あのまま不動産屋と裁判もはさまず示談していれば、「修理費用半分ずつ折半にしましょう。」(←なんでやねん!?)と彼らの出してきた現在の我々の提示額1/10以下のさらに半分の額で丸め込まれるところだったのだ。
そんな小額でどこをどう修理できるというのだろう?
今までの応急処置でかかった費用だけでもその額をゆうに超えている。

結果だけ見れば我々は精神的にも金銭的にもボロボロになって得はおろか、損しかしていないのだが、こんな奴らに正義の鉄拳を下し、奴らの財布の口を無理やりこじ開けさせれるだけでも収穫はあった。

しかしその後の弁護士の言葉でわたしたちは感慨から現実に引き戻された。「先日、アルベルト ルイジ(懐かしの我が家のずさん工事犯野郎!である。)が供述の中で『オプションとしてかかった料金がまだ支払われていない。』と言っていたそうです。心当たりはありますか?」
それまで黙っていたわたしは「ルイジ」という言葉で簡単に爆発した。「オプションで屋根の工事を奴にさせてしまったのが、裁判になるきっかけのようなものだったんですよ!?これはすでに家の契約時に不動産屋にローンの中に組み込んで払っています!!」

弁護士「ということは領収書は契約時の小切手の明細でわかりますね。確認しておきます。」

。。。ということはまだ不動産屋からルイジの野郎に支払いが完全に済まされていないということか?もしそうならいい気味だ。

こうしてわたしたちはミラノの中心にある弁護士事務所を後にし、久しぶりに我が田舎町には存在しない日本食レストランで寿司を味わったのだった。
そのときに出た話題。

おっと「屋根ももうすぐ修理できるし今年こそ薪ストーブを買わなくちゃ!」

わたし「え。。。屋根の修理も、閉廷にかかる費用もいったいどれぐらいになるかわからないし、出産っていろいろ物入りみたいだし、乳幼児がいる家に薪ストーブって危険じゃない?もうちょっと先に延ばそうよ。」

おっと「何言ってるんだよ?買うなら今だ。取り付けの工事だって大変だろうし、乳児がいるのに今年の冬も例年みたいにボイラーが壊れて数日間暖房が入れられなくなるのが、何よりも心配なんだよ。」

わたし「それはわかるけど、暖炉用の配管工事もルイジがやったって事実をお忘れなく。わたしは奴の工事なんて絶対信用してないからね。」

おっと「大丈夫だよ、さすがに家全体がずさんってことはないだろう?」

甘いな。。。入居当時のことを忘れたのかおっとよ。
電気はコンセントを差し込んでもつながらず、そのため冷蔵庫はあるのに数日使えず、洗濯機を廻せば、壁の水道の蛇口の根元から水が噴水のように吹き出しただろうが!
そんな目に見えるところでそうなのだから、壁の内側に隠された配管なんて、ちゃんと通ってるかどうかなんてわかりやしない。

おっと「とにかく配管はしてあるんだ。今度薪ストーブを見に行こう。」と、ある週末に我々は2年前にも訪れたおっとの仕事の顧客先の薪ストーブ屋のドアを押したのだった。
「今年こそ薪ストーブを買う決心がついた?」と店主はにこやかにわたしたちを迎えた。

おっと「うん、もうわかってると思うけど、2年前に決めていたリスのマークのストーブが欲しいんだ。」

店主「ああ、Morsoのストーブね。(下の写真みたいなの。)

暖炉・薪ストーブを楽しむ(vol.2)
で、家に煙突とかは付いてる?それによって工事費用とか期間がずいぶん変わってくるからね。」

おっと「煙突の配管工事は入居前に済ませてあるよ。」

わたし「ただ、ちゃんと機能するかどうかが問題なんだけど。」と苦笑いをする。

するどい店主、それで顔色が少し変わった。「そういえば裁判どうなったの?ぼくもね、今あるお客さんの裁判のアドバイザーとして証言しにいったりしているところなんだけど。」と、ポケットアルバムを持ってきた。
アルバムは火事で焼けただれた家の一部をあらゆる角度から撮った写真で一杯だった。わたしたちは息を呑む。
「これはね、ベルガモの新築の家が薪ストーブによって火事になったときの写真なんだ。煙突の配管には耐熱性の管が必要なんだけど、工事業者が安い管を使い、しかも建築法で「管のまわりの直径10cm以上は木材から遠ざけなければいけない。」と決められているのに家の柱に使った木と、天井に使った木に密着させて取り付けていたものだから、使っているうちにじわじわ木が木炭状に燃えて火事となってひろがったんだよ。」

思わずこの工事業者はルイジではないか?という不安が頭を横切った。

店主は焼け残った管の拡大写真を見せる。「これがその問題の管なんだけど、お宅のはこれかい?」

わたしとおっと「ああ、まさにこれ!!」

店主は続ける。「これだけじゃないんだよ。前冬ベルガモだけで30件以上の薪ストーブによる火事があったんだ。その全てが使用者の不注意なんかではなく、工事業者のずさん工事のためだったんだ。」

30件。。。といえばルイジが一冬に働けるだけの数だろうか?とまた考えるわたし。

店主は「本当はこういう丈夫な管を使わなければならないんだ。」とピカピカでいかにも分厚そうな金属製の管のカタログを見せた。
「しかしあの写真のと同様の管を使っていたとなると、壁にはたぶん問題ないとは思うけど周りに木があるかどうか確かめなくちゃ、うちもそんな危険な家にストーブは売れないよ。どうする?うちから専門業者を派遣する方法もあるけど、知り合いでそういうひとがいるならそのひとにまず見てもらったほうがいいよ。」
つまりは、またさらにお金がかかるということか。

おっと「心あたりがあるんで、まず見てもらってから返事するよ。」


わたしたちはがっかりして店を出た。
家の問題はこんなにも後を引くものなのか?
薪ストーブひとつも安心して買えやしない。
ルイジみたいな奴が建築業界でのさばっているイタリア、許していいのか??はぁ。。。。。。





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Last updated  2007.10.16 03:05:25
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 shion0851@ そーなんだ 26歳なんですか、そうですか・・・(-_…

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