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★サンチャゴ巡礼日記

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2004年10月30日
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カテゴリ:サンチャゴ巡礼2004
■第11日 アルズア~モンテ・ド・ゴソ 35km 10月7日

アルズアを出てすぐ、サンチャゴまで「36km」という標識を見る。
空に星が見えない。
きょうも天気はよくなさそうだ。

野を越え、畑のわきを通り、森のなかを抜ける。
道は平坦で、快調にとばす。

きょうはアルカまでの19kmでいいと考えていた。
しかしどこがアルカなのかはっきりしないまま、標識がサンチャゴまで20kmを切ったことを告げる。
まだ昼前で、身体もまったく疲れを感じていない。
ならばモンテ・ド・ゴソをめざそう。

たびたび出会うブラジル人のおじさんに追いついた。
わたしを見かけるたびに「◎▲☆×!(わたしの名前) アリガト! サヨナラ!」と声をかけてくれる陽気なおじさんだ。
小一時間ほど話しながら歩く。

62歳、ボルト・アレグロで医師をしているという。
「きょうサンチャゴまで行けるかもしれない。
カミーノでいちばん楽な区間だね」
同感だ。
終わりが近く、気分が高揚していることもあるのだろう。

アリさんといった。
本当はアリステなんとかという名前らしいが、「アリでいいよ。アリガトのアリと同じ」。

「わたしはカトリックに生まれ、カトリックとして育った。
けれども宗教的な理由だけでカミーノを歩いているわけではない。
去年は仕事が忙しかった。
それで仕事を断ち、エネルギーを得ようとカミーノへ来たんだよ」

「君やわたしのように大都会で働いている者には、ふだんのルーティンから外れることに意味がある」
とアリさんはいう。
そしてつけ加えた。

「スペインには観光でも来たことがある。
しかしカミーノを歩くことのほうがはるかにおもしろい。
だって世界中からやってくる巡礼の人びとと出会い、話をする機会があるのだからね。
観光で来てもそんな体験はできないよ」

まったく同感だ。
それに出会うのは各国の巡礼者だけではない。
自分にも出会える。
それがカミーノのすばらしいところだ。

アリさんは11日にマドリードを発ってブラジルに帰る。
「13日から仕事だよ。
患者が待ってるからね」
「わたしは10日にマドリードから東京に発ち、12日から仕事です」
「東京まで14時間?
信じられんな」
「アリさん、いまの気分は?
「ハッピーだね!」

道が上りにかかったところで「先に行っていいよ」とアリさん。
そろそろひとりで歩きたいと思っていたところだった。

いつの間にか空港の横を歩いた。
木の間から飛行機の機体が見えてびっくりする。
サンチャゴ空港だ。
すでに市内まで10kmない。

道はほとんど下り。
ラバコーリャを出たところで村上くんを発見。
モンテ・ド・ゴソまでいっしょに歩く。

巨大な研修センターの一画がモンテ・ド・ゴソの巡礼宿として使われていた。
隣接する丘に巡礼者の像がある。
その像が手を上げている方向にサンチャゴの大聖堂が見えるはず…。
夕方のうすぐもりのなか、3本の尖塔がうっすらとかすんでいた。

ブラジル人のアリさん

▲アリさん。

モンテ・ド・ゴソ

▲モンテ・ド・ゴソの巡礼者像。






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最終更新日  2004年10月31日 21時46分29秒
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