Mr.Ｈ'sBLOG・・好日夢譚

これも爺の繰言だが、1955年に封切りされたシネマスコープに『慕情』（Love Is a Many-Splendored Thing）という映画が　あった。

ヒロインの女医で中国人とのハーフのハン・イースンを
ジョニファー・ジョーンズ、
恋人役の新聞記者で　程なく朝鮮戦争に派遣され爆死するマーク・エリオット役をウイリアム・ホールデン

H氏が見たのは新社会人になって間なしに　大阪配属となり、それも　おせっかいにも　半恋人同士の会社の同僚と三人で見に行った記憶があるから封切後10年後の事・・。
結局　彼女と彼氏は　結ばれず　そのままになったが・・
　


何しろ　主題歌を　あのナット・キング・コールが　朗々と歌い、舞台のイギリス領　香港が　海も山もおだやかで　素晴らしく、いつまでも　忘れられぬ映画となった。

その香港を訪れたのは　それから幾星霜、娘が　短大の推薦入学が決まり、そのお祝いにと
正月休みを利用し、嫁と三人で、名古屋・小牧空港から　キャセイパシフィックで訪問した三十年前。

まだ英領だったし、飛行場は　カイタック飛行場で、まるで下町の物干しざおを　ひっかけんばかりの狭い空港に降り立ち、街にはユニオンジャックが　旗めき、二階建て電車にも乗り、香港島の山頂に　ケーブルで登れば、まだ「慕情」の　ラスト場面に出てくる　蝶が舞う趣が　あった・・。

中国に　一国二制度の元に変換された後、それからも年月を経て、仕事がらみで仲間と、出かけ、


対岸から　夜の恒例となった　花火打ち上げを九竜側から見物したり、山頂から立ち並ぶ高層ビルを見下ろしたり、マカオ迄　高速船で往復したり、


或いは　その後も　嫁と　ネパール・カトマンズ行きの乗り継ぎで行き帰り共　香港新空港で　数時間待ちしたりしたが、
今更　その間に市内まで出かけるのも億劫になって　行かず終いにしてしまった。

今となってみれば、もう二度と　　あの　香港を　訪れる気にもならない・・・

記憶に残る　あの『麗しの香港』を瞼を閉じ、思い起こすだけで　充分・・・