iPadについて宮崎駿監督は……。

2010.07.30

　スタジオジブリ発行のフリーマガジン「熱風」（２０１０年７月）７号で、宮崎さんは語っている（インタビューで答えたものを元にして、宮崎さん自身が新たに書き起こした）（引用は、一部、ブログ作成者が整理）。

iPadには何の関心も感動ももてない、それを触っているいる様は、気色悪いだけで嫌悪すら感じる、とし、
「その内に、電車の中でその妙な手つきで自慰行為のようにさすっている人間が増えるんでしょうね」

　インタビューアーが、iPadは欲しい情報を居ながらにして手にできる、などと先進技術や利便性を強調すると、

「あのね、誰でも手に入るものはたいしたものじゃないということなんです。本当に大切なものは、iナントカじゃ手に入らないんです」

　と切り捨てた。

　宮崎さんはiPadでは得られない大切な情報として「安宅（あたけ）型軍船」を例に挙げた。

　欲しい情報は、軍船の漕ぎ座の雰囲気や漕ぎ手の生活や心理状態。こうしたことは、iPadを使っても探し出すのは不可能。
　安宅型軍船の情報は、様々な記録から自分で推測するしかないし、大切な情報は、自分でその場に出かけていって想像力をつぎ込んでこそ初めて得られるものだ。

「あなたは消費者になってはいけない。生産するものになりなさい」

　

なんて凄い言葉だろう。

　誰にでも手に入れられる情報

　誰にでも分かるデータ

　漕ぎ手やその妻の心の動きは、どこの情報に出ている

　恋する女と男の心の奥は、何社製の機械を見れば分かる

　機械機械機械。コンピュータコンピュータコンピューター。

　小学生の７人に一人がコンピューターを持っている、とか。
　パソコン画面で専用のペンで文字を書けば、たちどころに「活字」になって現れる。

　もっと自分の文字を大事にする時期ではないのか。

　

近世の軍船－安宅船と関船
　戦国の動乱期に急速に発達したのは軍船でした。その軍船は使用目的に応じて、安宅船、関船、小早船などの軍船形式を確立しました。
しかし、17世紀に入ると徳川幕府は諸大名の水軍力の抑制策をとり、500石以上の軍船の建造を禁止しました。これ以後、軍船は美しく飾り立て参勤交代を主任務とする御座船に変わり、軍船とは名ばかりの船となりました。

【安宅型軍船　桃山時代】
16世紀末期、武田勝頼の遺臣が小早川秀秋に仕えて習得したといわれる軍船です。船体構造は、戸立造りという箱型の船首が特徴の伊勢船型で、上廻りは総矢倉の胴壁造りといって、船体上部のほぼ全体を矢倉で囲い、装甲板で覆うなど、さしずめ今日の戦艦に相当する船です。
　全長　19.6メートル　
　肩幅　8.2メートル
　深さ　1.7メートル　
　櫓の数　大櫓40挺立

【関船型軍船　桃山時代】
安宅型軍船と同様に、武田勝頼の遺臣が小早川秀秋より習得したといわれる軍船のひとつです。
慶長14年（1609）以降水軍の主力となった関船は、快速を得るため尖鋭で細長い船形をもち、長く突き出した船首が特徴でした。
また、総矢倉の装甲は軽量化をはかって竹が使用されているのをはじめ、各部に実践的な艤装がみられます。
　全長　16.7メートル
　肩幅　3.02メートル
　深さ　1.34メートル
　櫓の数　44挺立