インビクタス / 負けざる者たち
信念に生きる人間の姿を真摯に描いたクリント・イーストウッド の映画が好きです。正月にWOWOWで放送された録画を鑑賞しました。1994年、南アフリカ初の黒人大統領となった ネルソン・マンデラ がアパルトヘイトによる人種間の憎しみを克服し、国をひとつにまとめるために、95年自国開催のラグビーワールドカップで優勝をめざす ...という実話。モーガン・フリーマン と クリント・イーストウッド が組んだ3作目の映画です。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●もともと白人たちのスポーツだったラグビー。チーム名やユニフォームを変えようとする動きに対し、マンデラ がリーダーシップを発揮するシーンがすばらしい。『ドライビング・ミス・デイジー』、『ショーシャンクの空に』 などで好演のモーガン・フリーマン も大好きな役者の一人です。アパルトヘイト時代、白人を敵視する黒人たちは、専ら敵チームを応援していました。27年間投獄されていたマンデラも例外ではありません。そう尋ねるインタビュアーにマンデラが答えます。If I cannot change when circumstances demanded,how can I expect others, too.変わるべき時に私自身が変われないのなら、人々に変化を求められない ...リーダーとしてのこのセリフも印象的でした。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●さて、インビクタス(ラテン語) "Invictus" とは "undefeated(不屈の)" の意。ヴィクトリア時代に生きた詩人・アーネスト・ヘンリー(1849-1903)が、結核を患って25歳で足を切断した時に書いた詩だそうです。Out of the night that covers me,Black as the pit from pole to pole,I thank whatever gods may beFor my unconquerable soul.In the fell clutch of circumstanceI have not winced nor cried aloud.Under the bludgeonings of chanceMy head is bloody, but unbowed.Beyond this place of wrath and tearsLooms but the Horror of the shade,And yet the menace of the yearsFinds and shall find me unafraid.It matters not how strait the gate,How charged with punishments the scroll,I am the master of my fate:I am the captain of my soul.私を覆う夜の中から鉄格子の間にひろがる牢獄の暗黒神がどんな存在だろうと私は感謝する我が魂が決して征服されないことに残忍な情況の手の内に落ちてなお私はひるみもせず 大声で叫びもしなかった運命の棍棒に打ちのめされ頭からは血が流れているが私は屈しないこの憤怒と涙の地の彼方に亡霊の恐怖だけがはっきりと見えるそして何年間にも渡る脅迫も私が今も恐れてなどいないことを思い知るだろうその門がいかに狭きものであろうとどうして裁きのままに罰を受けることができようか私は我が運命の主であり我が魂の指揮官なのだ仕事のストレスなんて小さい小さい ...しばし力をもらった映画でした。