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カテゴリ:主にレトロゲーム
サンパギータはプレイステーションの全盛期でもある1998年に発売されたアドベンチャーゲームです。やるドラという名前で、コンビニ流通もしましたし、それなりにヒットした作品だったといえるでしょう。アニメーションする当時的にはかなりの技術力と一般層へのアピールをしたゲームです(成功したのかな?)。で、内容的には途中で選択肢が浮かんでくるので、一寸ゲームブックっぽい感じがします。
主人公は合コンの帰り終電も無くなり雨の中をずぶ濡れになって帰っていた。 そんな夜、路地裏で一人の褐色の肌の少女を見つける。 とりあえず自宅につれて帰り事情を聞いてみるが、記憶が失われているという。 所持品の中には大量の現金と本物の拳銃が。 不安を抱えながらも、主人公とマリアは共同生活をすることになった。 この当時ははっきりとした萌え文化は無かったように思いますが、まさしくそれを狙ったシリーズでした。同シリーズの他作品も、そんな雰囲気であり、一作品を覗けば萌え狙いなのは間違いないところでしょう。しかも、キャラデザインは褐色肌の女性を描かせたら右に出るものはいないと思われる、士郎正宗さん。本作のヒロインのマリアも力が入っています。 ですが、このゲーム、終わってみればモヤモヤが溜まる一品でした。 何故って? 萌えるための邪魔が多い。 これに尽きます。 作品はシリアスな様相を呈し、主人公とマリアの幸せな生活は終わりを告げるのです。マフィアに追われるマリアと謎の男ボーイ。ボーイはマリアの何を知っているのか?マリアは何者なのか?そして主人公はマリアを助け出すことが出来るのか… マリアは物語がうまく進めばさらわれてしまいます。これを助けようと主人公は戦いに赴きます。そう、戦う力も無い平和な日本人が勇気を奮って… 面白そうでしょ?…甘い。 このゲームはマルチエンディング。幾つかのハッピーエンドが用意されています。ですが、どれも今一つすっきりした終わり方をしません。 普通マルチエンディングなら、主人公がどうにかして無事にマリアを救い出して幸せを見つける…というハッピーエンドがあってもいいかと思います。 ですが、それは用意されていません。驚愕のエンディングが幾つか用意され どれも唖然とさせること請け合いです。主人公が助け出す?そんなのリアルじゃないよという声が聞こえてきそうなくらい主人公は無力。ドラマの中でもそれは徹底していました。 エンディングは結構凄いものがあるのですが、その一つだけ紹介。 主人公はマリアを助け出すことには成功するものの、銃弾を浴びて死んでしまいます(!!) しかし、その魂は現世にとどまっていました。 魂だけの主人公はフィリピンに、マリアの故郷に向かいます。 そこで見たものは…マリアの赤ちゃん。主人公との愛の結晶でした。 …いい話ととるか、そんなんありかと問うかは個人差があるでしょうけど 私はかなり脱力した口です。 エンディングだけではなく、やるドラはドラマ性を重視したらしく 萌えはかなりおろそかになっていました(ベットシーンまであるのに)。 マリアのキャラクターは良くても、生活臭が漂いすぎる展開は 萌えるのを阻害しますし、褐色肌の女性という設定は フィリピンから来た貧しい少女というかなりリアルな設定を引き出してきました。 何だか楽しく遊びに来たら、真面目に説教されたような感じ? ゲーム自体が何となくフィリピン賛歌で説教臭いのも萌えにくい。 …南の国の亡きアトランティスの王女とかいう能天気な方が売れたかも(笑) 本来萌えゲーとして売るはずだったサンパギータ。 しかし、内容は東南アジア事情を鋭く描いたバイオレンス作品でありました。 これってトンデモ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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