ププププーさんのゲームブック日誌

全編に漂う狂気と寂寥感と悪意。
ゲーム性は皆無ながら、何らかの強いメッセージ性を感じる
ホラーモノのアドベンチャーゲームです。

トワイライトシンドロームの続編的な作品でありますが
前作までの、女子高生達が怪奇現象に出会い解決なり遭遇していく…的な
続き物の話を想定して始めますと、とんでもないことになります。
主人公は前作の三人の１人、岸井ミカ。
当時的には普通の女子高生だった…と思われる風俗とキャラクターの持ち主です。
この上滑りな明るいキャラクターが、ホラーモノに遭遇すると…。

で、前作までの怪奇現象は普通にオバケっポイものとの遭遇に近く、
あんまり怖いとは言えないのが正直な印象でした。
ところが、今回の怪奇現象は…オバケとか言うものではなく、「狂気」です。
幽霊らしいものは殆ど遭遇しませんし、超能力なんてもありますが
それは本筋とは…あえて言えば同でも良い話でしょう。
何か意味不明の事を訴えてくる三人の路上の人物、
ミカのそれらしいといえばそれらしいけれど、狂気を感じざるを得ない夢。
一本筋の物語がありえない矛盾だらけの解釈不能なストーリー。

狂気に告ぐ狂気の中、主人公はミカから華山リョウに移行していきます。
そう、ミカは途中退場したままで最後まで登場しません。
彼女の物語的な役割は…私解釈としては生贄…かなぁ。
真の主人公といえるのは、このリョウではあるのでしょう。
トワイライトシンドロームでの他の２人の主人公も出ますが…死にます。

本作の物語は、解釈が完全には不可能なものになっていると思います。
恐らく、きちんとしたメッセージ性もない作品なのではないかと。
でも、全編に溢れる狂気は本物。普通のホラーゲームよりも怖いですよ。
本作の発売時期を考えると、エヴァブームの影響を考えざるを得ませんし
物語上の事件が、某サカキバラ事件を想い出し嫌な気分になることは請け合いです。
ただ、これはゲームに過ぎませんし、残虐描写を描きたいのとも違うのでしょうから
別として書かせていただきますが、物凄くショッキングな内容だったのは確か。

一方でゲーム性は皆無といっていいでしょう。
僅かにダンジョンぽい部分や、選択肢が微妙に出ますけれど
基本的には「物語を進行させていくための障害」に過ぎません。うざったいもの。