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『今日のクラシック音楽』 指揮者エルネスト・アンセルメ
1969年2月20日、スイスの名指揮者エルネスト・アンセルメ(1883-1969)が亡くなっています。 アンセルメを語るときには、「バレエ音楽の神さま」「音の画家」「オーケストラの魔術師」という言葉で形容されるほど、標題音楽や音楽の具象化に優れた才能を発揮した指揮者でした。 それに彼の経歴が変わっています。 スイスに生まれたアンセルメは子供の頃は音楽よりも数学に興味を示しており、フランスのソルボンヌ大学やパリ大学を卒業して数学者としてスイスに戻り、ローザンヌ大学で数学の教鞭をとっていたという音楽家としては随分と変わった経歴の持ち主です。 大学で数学を教えながらジュネーブの音楽院で音楽を勉強しており、そのときの師匠がユダヤ人のブロッホだったそうです。 そして27歳でモントルーで指揮者としてベートーベンの「運命」交響曲を振ってデビューを飾り大成功だったと言われています。 アンセルメと言えばスイス・ロマンド管弦楽団です。 彼自身によって1918年に創設しました。 その4年前に彼の生涯で最も重要な、衝撃的な出逢いがありました。 イゴール・ストラビンスキーとの邂逅でした。 ストラビンスキーによってバレエの神さまと言われたデイアギレフと知り合いとなり、このデイアギレフの主宰するバレエ団の指揮者として迎えられて、アンセルメは多くのバレエ音楽や現代音楽の初演を手がけたそうです。 そしてスイス・ロマンド管弦楽団を創設して、自ら手塩にかけて厳しい訓練を施してまるで「精密機械」とまで呼ばれるようになるほどの世界でも第一級のオーケストラに育てあげました。 ほとんど英デッカに、このスイスロマンド管弦楽団と多数の録音を残しています。 ラベル、ドビッシー、サン=サーンス、フランクなどのフランス音楽、R.コルサコフやムソルグスキーなどのロシア音楽、ベートーベンやブラームスの交響曲全集などのドイツ音楽、そしてなんと言ってもチャイコフスキーやストラビンスキーのバレエ音楽は定番と呼ばれるほどの名演を数多く残して、1969年11月11日に心臓麻痺で亡くなりました。 亡くなる前年(1968年)11月に行なったアンセルメ最後の録音が、ストラビンスキーのバレエ音楽「火の鳥」全曲でした。 バレエとその音楽をこよなく愛したといわれるアンセルメらしい遺作です。 ものすごく色彩的にオーケストラを鳴らし、リズムは激しく生鮮で、ロシア民謡を多く素材として使われているこの曲に土着の香りをふりまきながら、どの音にも強い生命力を与えた演奏は、何度聴いても感動させられます。 60年代に手兵のスイス・ロマンド管弦楽団と来日した折に、客席で聴いた「火の鳥」の目もくらむような色彩感とダイナミックな演奏は、私の生涯の宝物として今でも「心のポケット」で息づいています。 (DECCA原盤 ユニヴァーサル・クラシック UCCD7077 1967年録音) それとあまり話題にならないのですが、アンセルメのスイスロマンド管弦楽団とのベートーベンも美しい演奏だと思います。 私が特に好きなのは第7番です。 この曲は全体的にリズミカルなんですが、ドイツ系指揮者の重厚な、渋い、深みのある演奏ではありませんが、リズム処理が抜群の明るくて溌剌として躍動感に溢れた秀演です。 、イギリスのフィルハーモニア管弦楽団を振ったパリでの演奏会の映像記録(1967年11月25日)が顕著にその良さを味わえる演奏です。 これはオットー・クレンペラーとニューフィルハーモニア管弦楽団のベートーベンの第9番の演奏会DVD(1964年11月8日録画)のボーナス・トラックに収録されています。 (EMI CLASSICS DVB5999349) 『今日の音楽カレンダー』 1816年 初演 ロッシーニ オペラ「セヴィリアの理髪師」 1877年 初演 チャイコフスキー バレエ音楽「白鳥の湖」 1969年 逝去 エルネスト・アンセルメ(指揮者) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 『日本国土』 私は自分の職業柄顧客は圧倒的に外国人でした。 日本をよく知っている人や知らない人、様々な国や人種と交流を深めてきました。 日本や外国での商談の中の珈琲ブレイクやビジネスランチ、夕食の席などで日本について語る機会がたくさんありました。 話題は経済、社会のようなビジネスに関することから、風俗、習慣、娯楽、宗教、教育、家庭生活(料理、夫婦、親子、子供の躾など)、国民性、伝統芸術、工芸など多岐にわたりました。 勿論、それぞれの話題について専門的に語れませんが、雑学程度でお茶を濁していました。 それらの話題の中で最も興味を持って聴いてくれたことがいくつかありますが、日本の国土についての説明が一番興味を持って耳を傾けてくれたようです。 特にアメリカ人には。 日本の国土(4島に沖縄、他の島々も含めて)は70%が山地で、そのうち森林が66%を占めており、農業用地が14%、工業用地はわずか0.4%で、人が住める宅地は3%です(2000年頃の資料ですが)。 日本の人口は約1億2700万人です。 ですから国土のわずか3%の土地にこの1億2700万人がひしめいているわけです。 この日本の国土面積とほぼ同じなのがアメリカ・カリフォルニア州です。 アメリカの人口は約2億5000万人だと記憶しています。 すると日本人全部がカリフォルニア州のわずか3%の土地に密集して住んでいる、或いはアメリカの人口の約半分がカリフォルニア州の3%に押し込まれていると考えてもいいわけです。 これをアメリカ人に説明すると"Unblievable !"と叫びます。 日本とはそんな国土なんです。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
梅の花、とてもきれいですね。
なんだか、いい香りがしてきそうです。 我が家の梅の花もずいぶんと咲いてきました。 話し変わりますが、今ブルックナーの4番「ロマンティック」を買って聞いている途中です。1楽章、2楽章はだいたい頭に入りましたが、個人的には先に聞いた7番のほうがいいかな、と思っています。 もっとブルックナーの曲を聴きたいと思っていますが、あと何番がお勧めでしょうか? ブルックナーって結構金管楽器が表にでていますよね。 (2005年02月20日 14時40分14秒)
翻訳、通訳がご本職とプロフィールにありますよね。
このサイトを出版されても充分にお仕事になり得ると私は思っているのですが、 どのようなジャンルの翻訳をされているのか実は興味があったのです。きょう少しその辺りに触れられていたので興味深く読ませて頂きました。 (2005年02月20日 16時21分49秒)
モルデントさん
>梅の花、とてもきれいですね。 >なんだか、いい香りがしてきそうです。 >我が家の梅の花もずいぶんと咲いてきました。 > 満開になるのが楽しみでしょうね。 いい匂いがお庭を包んでくれるといいですね。 >もっとブルックナーの曲を聴きたいと思っていますが、あと何番がお勧めでしょうか? >ブルックナーって結構金管楽器が表にでていますよね。 ----- ブルックナーは教会のオルガニストで、オルガンを使って作曲をしていました。 あれは何と名前か知りませんが、音の切り替えに必ず使うもの(車のギアーチェンジみたいなもの)がありますね。 それであの人の曲は、突然転調したり、止まったりするのです。 金管楽器の響きもやはりオルガンの影響だと思います。 それで、お薦めの曲ですか最もブルックナーらしい曲は第5番、これは神々しい響きに包まれたオーケストラ音楽の魅力がいっぱいです。 そして第8番。 晴朗な響きで圧倒的で、第3楽章のアダージョはおそらくブルックナーが作った最も美しい音楽ではないでしょうか。 そして第9番。 未完で3楽章までですが、第1楽章は未曾有のドラマに満ちており、第3楽章は「神の声」のような神々しさに満ちた「アダージョ」です。 5番はヨッフム盤(THARAレーベル TAH247) 7番もヨッフム盤 (Altusレーベル ALT015/6) 8番はカラヤン盤(グラモフォン 1988年録音ウイーンフィル) 9番は朝比奈 隆/N響(Fontec FOCD9142) が私の好む盤です。 (2005年02月20日 16時57分15秒)
キャスルナイツさん
>翻訳、通訳がご本職とプロフィールにありますよね。 > >このサイトを出版されても充分にお仕事になり得ると私は思っているのですが、 > >どのようなジャンルの翻訳をされているのか実は興味があったのです。きょう少しその辺りに触れられていたので興味深く読ませて頂きました。 ----- 社会人になって以来一貫してメーカーの海外営業をやっており、これまでに欧米やアジアの20ヶ国を訪れました。 翻訳はメーカーの技術書(取り扱い説明書)を英語に、海外文献を日本語にしております。 自費出版でこのサイトの記事を「今日のクラシック音楽」とでも名付けて出版しようかとも考えています。 外国人への営業には雑学のようなことでも日本のことについて幅広く知っている必要があると感じていました。 (2005年02月20日 17時09分10秒)
アンセルメ氏のベートーヴェンは聴いたことがないような気がします。
私の頭の中にはアンセルメ氏とスイスロマンド管弦楽団はセットでインプットされています。有名ですね。 この話題の後にお書きくださってあります「白鳥の湖初演」についてもお話聞きたかったです。 (2005年02月20日 19時31分01秒)
ピア2753さん
>アンセルメ氏のベートーヴェンは聴いたことがないような気がします。 >私の頭の中にはアンセルメ氏とスイスロマンド管弦楽団はセットでインプットされています。有名ですね。 > アンセルメとスイスロマンドは一心同体のような感じですね。 朝比奈 隆と大阪フィルのようなものでしょうか。 >この話題の後にお書きくださってあります「白鳥の湖初演」についてもお話聞きたかったです。 ----- この「白鳥の湖」にまつわるエピソードは実に興味深く、現代では信じがたい物語です。 明日21日はレスピーギの「ローマの祭」初演日で、その記事を書く予定ですが、いつも書いていますもう一つの話題(世相に関する記事)の代わりに「”白鳥の湖”誕生と初演エピソード」を紹介することにしましょう。 (2005年02月20日 20時00分34秒)
ともさんは 外国の方と たくさん接しているので、
きっと 視野が 広いのでしょうね。 日本の 人口密度は 高い方だし、 以前、「日本人の家はウサギ小屋」なんて 表現がありましたよね。 諸外国から見たら、私たち日本人が 当たり前のように思っていることも 不思議さを感じさせるものが たくさんあるかもしれませんよね。 (2005年02月20日 20時20分22秒)
>いつも書いていますもう一つの話題(世相に関する記事)の代わりに「”白鳥の湖”誕生と初演エピソード」を紹介することにしましょう。
これだから、とも4768さん大好きです(私もファンなのよ!私もよ!と言う声があちこちから聞こえてきそうです) お話楽しみにしております。ありがとうございます。 (2005年02月20日 20時45分02秒)
lemon☆limeさん
>ともさんは 外国の方と たくさん接しているので、 >きっと 視野が 広いのでしょうね。 >日本の 人口密度は 高い方だし、 >以前、「日本人の家はウサギ小屋」なんて 表現がありましたよね。 >諸外国から見たら、私たち日本人が 当たり前のように思っていることも >不思議さを感じさせるものが たくさんあるかもしれませんよね。 ----- こんな小さな国の国民がどうして世界で2番目の経済大国になったのか、それも第2次大戦の敗戦国から立ち上がって、とよく訊かれました。 この今日の日本の姿を100年前に予見していたアメリカ人が一人いました。 江戸幕末の黒船来航の張本人ペリー総督です。 彼の来航時の日記には「100年後に我がアメリカを脅かすであろう」と明記されているそうです。 彼の予言通りに100年後の日本はアメリカを席捲する国となりました。 (2005年02月20日 21時15分13秒)
ピア2753さん
>>いつも書いていますもう一つの話題(世相に関する記事)の代わりに「”白鳥の湖”誕生と初演エピソード」を紹介することにしましょう。 > >これだから、とも4768さん大好きです(私もファンなのよ!私もよ!と言う声があちこちから聞こえてきそうです) >お話楽しみにしております。ありがとうございます。 ----- 過分のお言葉に恐縮致しております。 ありがとうございます。 (2005年02月20日 21時21分49秒)
こんばんは
アンセルメの色ってわかります。 「火の鳥」もっていても余り聞いていませんでしたが久しぶりに聞きたくなりました。今日はともさんの日記をよみ、絶対にセビリアの理髪師です 通訳は大変な職業ですね。私は文章を書くときに単語を選ぶだけでも四苦八苦しております。 でも日本の事を伝えることは大切なことですね。 外国と接する機会があると、日本の文化美の素晴らしさを再認識します。 今日梅の花が咲いているのをみて春なんだなぁと実感しました。 (2005年02月21日 00時21分16秒)
いちき0635さん
>こんばんは >アンセルメの色ってわかります。 >「火の鳥」もっていても余り聞いていませんでしたが久しぶりに聞きたくなりました。今日はともさんの日記をよみ、絶対にセビリアの理髪師です > 是非お聴き下さい。 透明感と色彩感とダイナミックさが混在した秀演だと思います。 「セビリアの理髪師」は2月28日までお待ち下さい。 2月29日がロッシーニの誕生日ですが今年は29日がないのですが、28日に繰り上げて書きます。 >通訳は大変な職業ですね。私は文章を書くときに単語を選ぶだけでも四苦八苦しております。 >でも日本の事を伝えることは大切なことですね。 日本語を美しく書くのは作家にまかせて、正確に伝える言葉選びに四苦八苦しています。 >外国と接する機会があると、日本の文化美の素晴らしさを再認識します。 > 素晴らしさを再認識するのと、それをどう英語で伝えようかと苦労していました。 いくつになっても勉強だなと感じて仕事をしていました。 >今日梅の花が咲いているのをみて春なんだなぁと実感しました。 ----- 近所の公園の早咲き梅も満開になっており、いい匂いを撒き散らしています。 (2005年02月21日 01時07分16秒) |
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