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「名曲100選」 サラサーテ作曲 「ツィゴイネルワイゼン」 パブロ・サラサーテ(1844-1908)と言えば「ツィゴイネルワイゼン」。 パガニーニもそうでした。超絶技巧を誇るヴァイオリニストであったようです。ピアノではリスト。 彼らは自分の得意の楽器を演奏するだけでは物足らず、作曲それも超絶技巧を駆使して作曲をして演奏家として作曲家として名声を確立しています。 サラサーテも自分のヴァイオリンの技巧を示すために、「アンダルシアのロマンス」「カルメン幻想曲」や「マラゲーニャ」などの技巧曲を書いており、この「ツィゴイネルワイゼン」もそのうちの1曲です。 曲はハンガリーのジプシー音楽や民謡を素材にしています。 大きく分けて前半の「ハッサン」と後半部の「フリスカ」で構成される「チャルダッシュ」というハンガリーの舞曲形式をとっています。 前半の「ハッサン」は2部構成で、緩やかな哀愁に満ちた憂いいっぱいの旋律で彩られた第1部、弱音器を付けて甘く、美しく奏でられる旋律の第2部で、ヴァイオリンのむせび泣くような音色に胸をしめつけられるような魅力がありあます。後半は速いテンポの「フリスカ」で、ヴァイオリンの目の覚めるような技巧が華麗に繰り広げられています。 曲名はドイツ語の「ツィゴイナー」から由来しており、これは「ジプシー」を意味しています。 ジプシーと言えば、スペインやハンガリーを思い起こす人が多いと思います。私もそのうちの一人でした。 学生時代に読みました中央公論社の「世界の歴史」を読むまでに、ジプシーの起源はスペインか、ハンガリーだと思っていました。この曲の解説(当時のLP盤)にもハンガリーの民族音楽としか書かれていなかったからです。 ジプシーの起源は、インドの北西部にあるパンジャブ地方に住んでいたアーリア系民族が起源とされています。 彼らの一部はパンジャブ地方から、シルクロードの中継地であったタール砂漠に移住していったのです。 10世紀頃、タール砂漠(ラジャスターン地方)から、西へ西へと移動し始めた民族は、ロマと呼ばれていたそうです。 このロマがジプシーにあたる言葉です。彼らは居住地を定めず、特定の宗教を持たず、特定の伝承も文字も持たない民族で、独特の民俗・慣習(ヒンドゥのカースト制度に由来すると言われる職業階級、同族同士の内婚など)は厳格に守られているそうです。 職業は、行商や馬具・金属の加工、修理業(自動車の修理、解体業)、馬の売買(今は中古車売買)に従事する人たちが多くいます。しかし、芸能に関わり、占星術、遊芸や舞踊などを職業とするロマが有名です。俳優の故ユル・ブリンナーは、ロマ出身です。 彼らはイラン、トルコなどで定住したのち、14世紀末~15世紀初頃にバルカン半島にまで到達して、ブルガリアやマケドニア周辺から欧州各地、ロシアや北アフリカなどに分布していきました。インド北部から始まったジプシーの旅は500年をかけてこうした地域にまで足を延ばしていました。 ジプシーの歴史に想いを馳せながら「ツィゴイネルワイゼン」を聴いています。 愛聴盤 アンネ・ゾフィ=ムター(Vn) ジェームス・レヴァイン指揮 ウイーンフィル (ドイツ・グラモフォン 437554 1992年録音) 先日ラロの「スペイン交響曲」紹介時に掲載しましたムター盤は1984年録音でした。その8年後にウイーンフィル、レヴァインの指揮で録音したのが当盤で、音質ははるかにこの盤が勝っており、演奏も旧盤よりも濃厚にジプシー音楽を表現しており、「タイスの瞑想曲」、ベートーベンの「ロマンス」などが収録されています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年09月15日 00時32分55秒
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