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May 5, 2006
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カテゴリ:食べ物
ボクはラーメンが好きだ。
いや正確にいえば、今はそれほどでもないが、
昔は相当好きだった。
行列のできるラーメン屋をチェックして、
早くから並んで食べたりもした。
当時東京都内にあった人気店はあらかた制覇したと
自負している。

当時家計に余裕などなかった身で、なぜそこまでハマったか。
ラーメンが貧乏人にとって、適度に贅沢な食べ物だったからだ。
高いと言われるラーメンでも、1000円札でお釣りが来る。
それでいて、完成度の高いラーメンは、
本当に満足度が高かったので、たまの贅沢を感じるには十分だった。

しかし最近は、ラーメン熱は冷めてしまった。
世間のマスコミの取り上げかたが冷めてしまったのと、
ボクが郊外に引っ越したのと、
ラーメン屋の傲慢が見えてきたからだ。

どんなに人気店になっても、
お客様からオカネを得ている客商売である。
しかも、直接、最終消費者=来店客相手に商売している業界だ。
お客様のありがたさ、という認識を、持ち続けなければならない。
ボクはそう思う。

人気店になれば、行列ができるわけで、
食べたい客は数十分も店の外の風に吹かれて待つことになる。
そこまでするのは、客本人の判断にあるのは自明だ。
並ばれるのは店主にとって繁盛の証だろうが、
それが当たり前という傲慢さが目についたのだ。

お客様に対して、
「俺の店の味を食したいならば、待つのが当たり前だ」
「俺の店では俺の流儀を守ってもらう」
「イヤなら来るな馬鹿野郎」
という態度のラーメン屋が出てきたのだ。
起きている問題を、解決しようという姿勢なく、
ただ単に店主の主張を客にぶつけるようになった。

ボクのラーメン熱を冷ますには、十分のものだった。
そのような暴論を展開したなかに、
たしかに美味しいラーメン屋もポツリポツリとはあったが、
しかし客として、たかがラーメン店主なんぞに
そこまで言われて不快にさせられる筋合いはない、
と思った。
あの時代に、ラーメン熱が世間から引いていった理由のひとつだったと
ボクは思っている。

ラーメンとは所詮ラーメンである。
大衆のための低価格な外食の客商売の1ジャンルであって、
ラーメン店主の自己表現が、オカネを落とすお客様の大切さよりも、
勝るわけがない。
もし自己表現が勝るならば、私財をなげうって、
オカネをとらずにひっそり趣味でやればいい。

ラーメン店主の食に対する探求心とこだわりは結構だが、
それは厨房のなかで、弟子を前に喚いていればいい。
客の扱いレベルを下げ、こともあろうに持論を客に強いた時点で、
もはや外食産業のメジャーな立場から転がり落ちるのは、
ボクには時間の問題に思えた。

さて、
世間ではゴールデンウィークである。
かくいうボクも、連休を暦通りに楽しんでいる。
個人的には、こういう祝日はバラけてきてくれたほうが、
ビジネスに慣れた体にはありがたいのだが。
時間をもてあましているのもあり、
久しぶりに、ラーメン屋に行くことにした。

関東の地方にある、最近はテレビに出たりしはじめた店主の店である。
トンコツ系でありつつ、王道を外し、一風変わっているラーメンが売りだ。
店の前には50~60人くらいの行列ができ、
駐車場はいっぱいであった。
庇もなにもない、ジリジリとした直射日光の下、
1時間弱待たされての入店である。
店外で待つあいだついぞ一度も、
店員による待ち時間案内やお詫びは店外の客になかったのが
相変わらずの業界だと思わせてくれた。

(その時点で、ボクはよく待ったなぁと
 久しぶりの行列にめげなかった自分に拍手である。)

で、入店して厨房全体が見えるカウンターに座り、
注文してつぶさに観察する。
店員の数には驚かされた。10名以上いるのだ。
しかし、客回転が悪い。悪すぎる。
店員の動きが緩慢過ぎる。あまりに無駄がありすぎるのだ。
ボクは職業上、行程のライン設計の無駄と改善を考えてしまう。

所詮、低学歴まるだし店主のラーメン店ごときに、
キッチリした工程改善まで求めるのもどうかと思うが、
しかし店外に待たせた客の数を楽しむかのような
彼らの無駄な調理行程には、怒りを感じた。

そう感じていたのはボクだけではなかったようで、
1時間以上待ってカウンターに座りつつ、
さらに10分以上も待たされている客は全員、
恨めしい視線を厨房に投げかけていた。

しかも、列に並んでいる途中で、客の間から漏れていた声は、
このラーメンに期待するものではなく、
手際が悪いだとか、待たせ過ぎ、といった悪口ばかりだった。
そんな声を知ることもなく、
店は繁盛落ちの道をまっしぐらに進んでいるようだった。

彼らのラーメン作りは、10人いる厨房のなかで、
主に2人しか関わっていない。
ラーメンを作るうえで重要な行程はすべて、
その2人でノタクタとやってやがる。

他の8人はといえば、11時という遅い開店時間前に済んでいるはずの
具材の下ごしらえを延々とやっているか、
できあがりのどんぶりを客に運ぶか、
たまに発生する会計を行うか、
それだけしかやってない。

結局、その2名が握りすぎているのだ。
味に関わる行程は、たった2名だけで行っている。
しかも、見習いとおぼしき人間には、何もさせようとしてない。
調理行程を見せる隙すら与えず、広大な厨房の端のほうで
皿洗い機をひたすら操作している。
あれでは、次世代のラーメン職人が育たない。

通常のラーメン屋ならば1軒はいりそうな広大な厨房で、
設備能力にも余裕があり遊んでいるほどなのに、
一度に作るラーメンの数が少なすぎる。
2名で「余裕をもって」できる数しか作らないのだ。

ボクの見ている限り、作業者の意識さえ高ければ、
麺茹でからできあがりまでの1タクトを、2倍数程度まで高められるはずだ。
それだけで、待ち時間は1/2になるし、客数が維持できれば
売り上げも2倍である。
客も店も悪いことはない。
しかしその「悪」の2名は、たまに薄ら笑いを浮かべて話しながら、
余裕の作業をこなしているだけだ。

特にイライラしたのは、麺の湯切り行程だ。
パフォーマンスのつもりか、単なる拘り(の狂信)か、
チャカチャカと小振りの湯切りを、1玉あたり10秒も行っている。
いい加減にしろ!と殴ってやりたかった。

もう、それだけでラーメンを味わって評する気をなくしてしまった。


効率改善も顧客主義も二の次で、
趣味のような味のこだわりだけで店をやってるならば、
「趣味でやってます」と看板に書いておけ!と言いたい。
その時点で、ボクのような考えの大多数のヒトは、決して客として行くまい。
そして店主も自由にラーメンが作れるわけだ。
それで店も客もハッピーだ。

しかしそこで店が色気を出して、
ひとりでも多くの客が欲しいために、テレビなどに出て、
「店主の拘りに同意して頭を下げて来い」
と言う態度だから始末が悪い。

顧客が購入先に頭を下げさせられるのは、
どう考えても異常な状態だ。
カネを払う側の立場が上なのは当然。
その経済大原則を堂々と破って、
繁盛落ち一直線のラーメン屋N。
ラーメン業界の傲慢は、あの頃と何も変わっていない。

安心してくれ店主よ、
ボクはもう行かないし、
きっと店はそう長くないよ。
テーブルの下に落としたチャーシューを、薄ら笑いながらどんぶりに乗せていたのを
カウンターの客はしっかり見ていたからね。





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最終更新日  May 6, 2006 02:39:11 PM
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