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釈迦楽

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November 3, 2006
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カテゴリ:教授の追悼記

昼食後、ベッドに寝っころがりながら、信州で牧師として暮らしながら、信州の素朴な自然と人と大地の実りを愛した太田愛人師の『辺境の食卓』(中公文庫)という本を読んでいました。で、四季折々の信州の風景、とりわけ観光客が引き揚げてひっそり静まり返る野尻湖周辺のたたずまいなんかを頭の中に思い描いていると・・・

はーっくしょい!

何だか野尻湖を吹き渡ってきた風に首筋を舐められたかのような、大きなくしゃみをしてしまいました。大学で授業なんかしていると、「今年はいつまでも暑いな」なんて思いますが、今日のように家の中に籠もっていると、肌寒いもんですねえ・・・。

で、寒いなあ、なんか上に羽織るものはないかなあと思って家の中を彷徨していると、ちょうどタイミングよく家内が夏物と冬物の入れ換えをやっているじゃないですか。そして半年ぶりに顔を出した冬物の山の中に、フリースを発見! で、「ちょっと拝借」とか言いながらそのフリースを被ってみると・・・

あったかーい! これだよ、これ! このぬくもり。

ということで、ちょっと気が早い気もしますが、先刻から今年お初のフリース姿となって、何だか幸せな私だったのでした。


ところで、この幸せな気分とは裏腹に、今日は一つ悲しいニュースが。

アメリカを代表する作家の一人であるウィリアム・スタイロン氏が亡くなったのだそうです。享年81歳ですから、歳に不足はないんですけどね。

この人は1925年の生まれですから、今話題のトルーマン・カポーティなんかとほぼ同世代だったんですが、まだ若い時分に書いた『闇の中に横たわりて』(1951)で高く評価され、その重厚な作風から「ウィリアム・フォークナーの再来」などと言われて、カポーティなどとともにアメリカ南部文学の旗手として持て囃されたものでした。

その後は大体5年から10年置きぐらいに重厚な大作をボーンと出す感じで、たとえばある黒人牧師が引き起こした白人一家惨殺+人種暴動事件を史実に基づきながら描いた『ナット・ターナーの告白』(1967)であるとか、ナチス・ドイツによるユダヤ人強制収容を生き延びた一人のポーランド人女性の数奇な運命を描いた『ソフィーの選択』(1979)など、運命に翻弄される人間の苦悩を描き続けたんです。しかし1980年代半ばに深刻な鬱病に罹り、その時の壮絶な体験を『目に見える闇』というエッセイにまとめて出版したものの、その後は見るべき作品を書かぬまま亡くなってしまった・・・。『目に見える闇』で自ら味わった地獄を、エッセイとしてではなく、小説の形にまで昇華して表現して欲しかったですけど、それはかなわぬものとなりました。

しかし彼が書いた数々の大作小説は、時を経た今もその輝きを失ってはいません。(黒人サイドから「白人なんかに黒人の苦悩が分かってたまるか」という趣旨の批判に晒された)『ナット・ターナーの告白』にせよ、『ソフィーの選択』にせよ、今読んでもものすごく面白いですもんね。10年程前、アメリカ作家としてトニ・モリスンという黒人女性作家がノーベル文学賞を受賞した時、私は賞をあげる人を間違えてない? アメリカ作家にあげるのだったら、むしろスタイロンにあげるべきじゃない? と思ったものですが・・・。

ま、それはとにかく、20世紀後半のアメリカ文学を代表する一人の作家が亡くなったということで、アメリカ文学を研究するものとして、ここに黙祷を捧げたいと思います。


追伸:
ウィリアム・スタイロンの作品をアフィリエイトで紹介しようと思いましたが、紹介したい作品はほとんどが絶版になっていました・・・。

しかし、河出書房版で出た『ナット・ターナーの告白』(私の恩師・大橋吉之輔訳)、新潮文庫版で出た『ソフィーの選択』、白水社版で復刻された『闇の中に横たわりて』(私のもう一人の恩師・須山静夫訳)などは古書店・古書市などでしばしば見かけるものです。興味のある方は、ぜひ!





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Last updated  November 3, 2006 04:47:24 PM
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ケンケン@ Re:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) 先生と同業の末席にいるものですが、 その…
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