|
テーマ:今日のこと★☆(106264)
カテゴリ:思わず納得!
今日は、院生のI君と対面しながら、彼の修論の指導をしていたのですが、一種の「Web論」である彼の論文の中で、今日のインターネット環境が実現する前の時代、すなわちいわゆる「Web2.0」時代以前のインターネット環境の記述が分量的にも少なく、そこがやや物足りないような気がしたものですから、そこを何とか改善したらどうか、という方向の指導をしたんですな。 しかし、I君が大学に上った頃は、もう既にWeb2.0の時代が到来していましたからね。彼としてはそれ以前の状況がどうだったかなんて、実体験としては知らないわけですよ。ですから、その辺りの記述がやや手薄になるのも無理はない。 でも、じゃ私なら当時のことをよく知っているかというと、それが案外、そうでもないんですな。もう、現在のインターネットの環境に慣れてしまって、わずか十数年前の状況がどんなだったか、はっきり思い出せないんですよ、情けないことに・・・。 皆さんは、思い出せます? たとえば、「インターネット」ではなく、「パソコン通信」なんて言っていた時代のこと。ヤフーもグーグルもなかった時代のこと。 確か私は「Nifty Serve」の会員でしたけど、パソコン通信時代の情報検索って、結構面倒臭かったのではなかったでしょうか? キーワード検索なんて方式ではなく、確かカテゴリー化されたトピックの中から、階層的に下って行って、ようやく何らかの情報に辿り着くとか、そんな感じではなかったかしら。 でまた、Nifty Serve の枠内を飛び出し、アメリカの「Compu Serve」につなぐこともできるけど、それをやると1分いくらみたいな感じで、結構な額のお金を課金されたのではなかったかしら。いつだったか、アメリカのことを調べていて、相当なお金を使ってしまったことがありましたよ。 あと、パソコン通信時代の一番の使い道って、情報検索よりも、むしろ「掲示板」を使ってのチャットじゃなかったかしら。 とまあ、そういうことを漠然と思い出すんですけど、そんな私の曖昧な記憶では、論文の記述に使えないしなあ。 で、ふと思ったのですが、ひょっとして十数年前の「パソコン通信入門」的な解説書か何かを見れば、当時のインターネット環境のこととか、当時人々がネットに何を期待していたか、なんてことが分かるのではないかと。 そこで、私はI君を連れて大学の近所にあるブック・オフに急行! そして1990年代初頭のパソコン通信関連の解説書・入門書を探したわけ。すると、おお、あるある! あるじゃないですか! いくらでもある。 で、その種の本を見ると、それこそ「パソコン通信があれば、掲示板を使って遠くの人とチャットもできます!」みたいなことが嬉しそうに書いてある。なんか、可愛いなあ。あと、パソコン自体の使い方としては、「データベース」の側面が非常に強調されている。やはり、情報は個々のパソコンに中に収める、という考え方が基本なんですな。今みたいに、「情報はネット上に浮遊している」というのとは正反対の考え方です。 あと、今から十数年前のパソコン通信の解説書を読んでいると、お金の問題がものすごく大きく扱われている。今みたいに「常時接続」の時代ではないですから、ネットにつなげば、つないでいる時間だけ課金されてしまったんですな。だから、アクセス時間をいかに少なくするか、なんてノウハウが書いてあったりして。 とにかく、こいつは論文の資料として使えそうだということになり、何冊かゲットすることにしたんですけど、とにかく、普通に考えれば、今やまったく役に立たない本ですから、安い安い。どれも1冊105円でしたから、財布にも優しい資料探索でしたね。 それにしても、今日の古本ハンティングはなかなか面白かった。理系の本というのはわずか十数年でまったく何の役にも立たなくなってしまうもんだな~、という感慨を新たにしたことも面白かったですが、そういう役立たずの本も、ちょっと見方を変えて、文化論の資料として考えれば逆に非常に役に立つ、ということを発見したことも面白かった。 いずれにせよ、「十年ひと昔」とはよく言ったもんです。ブック・オフからの帰り道、I君と、「今から10年経ったら、やっぱり今とはまったく違うインターネット環境が出現しているのかねえ?」などと話し合ったことでありました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[思わず納得!] カテゴリの最新記事
|
|