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カテゴリ:わけ分からん
スタッフルームに新聞記事のコピーがこれ見よがしに貼り出してあったので、なんじゃこりゃ、と思って見たら、国立大学法人評価委員会(野依良治委員長)による全国86の国立大学の評価結果でありました。 6年ほど前、国立大学が「大学法人」になった際に、それぞれの大学が「中期目標・中期計画」とやらを立てさせられたのですが、それが達成できたかどうかが審査され、その結果、研究・教育・業務運営・財務内容などの諸項目について「たいへんよくできました」「よくできました」「ふつうです」「もっとがんばりましょう」的な評価を受けたのが公表されたんですな。 で、我が勤務先大学のお成績は、と見ると・・・うーん、大体どの項目も「おおむね良好」か・・・。「不十分」と言われなかっただけよかった、よかった。 じゃ、他の大学は、と見ると、まあ同じようなもんです。 でもじっくり見ていくと疑問点も少々。 例えば東大とか、そういうところでは「研究」なんて項目は「たいへんよくできました」かなあ、と思うと、そうでもない。また名古屋大学みたいにここ数年、ノーベル賞に絡んだ人材を輩出したところこそ高評価だろうと思うと、やっぱりそうでもない。どちらも「良好である」止まりの評価です。京大に至っては、教育研究の学業成果の分野で「期待される水準を下回る」とされた学部・研究科が7つもあったと。 はあ? これ、どういうこと? って、そう思うでしょ? ま、からくりはこういうことなんです。今回の件というのは、各大学が自分で中期目標立てて、それを自己評価したものを提出して審査を受けているので、やたらに高邁な中期目標を最初に立ててしまった大学は、6年経ってもその目標が達成できませんでした、と報告せざるをえないので、それで審査評価が下がるんですな。逆に、適当な目標立てておいて、「当初の目標よりさらに高い目標をクリアしました」的な自己申告をすれば、「よくできました」の評価がもらえる、と。そういうシステムなんですよ。だから、ある意味、「よくできました」と「もっとがんばりましょう」の差は、要領よくやった大学とそうでない大学の差でもあるんです。 っつーことはですね、要するに実際の大学の実力と、国立大学法人評価委員会の審査結果はぜんぜんリンクしてないってことですよ。 ま、今回の評価を受けて、評価委員会に猛烈抗議した大学が22校もあったようですが、その気持ちは分かるね。 ・・・と自分で納得したところで、ワタクシも段々腹が立ってきました。 今回の審査を受けるまで、実はものすごい労力とお金が掛かっているんです。中期目標を立てるだけでも、委員会を立ち上げて、ものすごい苦労をしている。で、その目標を達成したかどうかを申告するためのデータ集めにもものすごい労力が掛かっています。さらに、その膨大なデータを整理して報告書にまとめるのにもものすごい時間と労力が掛かっています。で、それを評価委員会に審査してもらうために、審査料として数百万単位のお金を支払っているわけ。 それで出た結果を見ると、大半の大学が「おおむね良好」とかいうアバウトな判定ですよ。しかも、実際の大学の実力とはまるで無関係の。 もう、馬鹿としかいいようがない・・・。こんなことのために我々大学教員が費やした膨大な労力を研究に振り向けていれば、よほど世のため人のためになったであろうに。 ま、文科省とか、その手下たちがやってることなんて、こういうレベルなんですわ。本当に馬鹿丸出し。 っていうか、文科省も、暇なんだろうな。暇だけど、なんかやらなきゃ自分たちの存在意義が無くなるので、わざと人を困らせるようなことをするんでしょう。 とにかく、上が馬鹿だと現場が困る。そういうことが大学でも起こっているということを、強く訴えたいと思うのであります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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