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テーマ:今日のこと★☆(106266)
カテゴリ:教授の映画談義
ここ数年、独自のプリントなどを作って講義形式で「アメリカ映画論」を講じていたのですが、今年は市販の教科書を使い、授業形態も演習形式に切り換えてこのテーマの授業を行っています。 そしたらね、テキストに指定した『Gender and American Film (映画の中の女と男)』(英宝社)という本が割と面白く書かれていて、これ選んで大成功。ワタクシとしても結構楽しみながら授業を進めておるんですわ。 この本、今年は第三章を読んでいるのですが、ここは1960年代以降、すなわち第二次フェミニスト運動盛んなりし頃から現在に至るまでのハリウッド映画の中で、女性がどのように描かれているかってなことが書かれているのですけど、そうなると当然、1960年代のアメリカ社会のありようを解説しないといけなくなる。 で、たとえばベトナム戦争のこととか、公民権運動(=黒人差別撤廃運動)とか、ヒッピー文化のこととか、そういうことも知っておかないとまずいわけで、テキストにもそういうことがさらっと解説してあるわけ。 で、そのさらっと解説してある中からキーワードを拾い出し、学生にもう少し詳しく調べてこさせて、授業中に発表させるわけですけど、そうすると学生も結構面白がってちゃんと調べてくる。 たとえば今日は「カウンターカルチャー」と「ポップアートとアンディ・ウォーホル」という2つの発表があったのですが、担当した学生二人とも、しっかりした資料を作って発表に臨んでおりました。感心、感心! それにしても、この種の授業をやると、平成生まれの学生たちと、昭和育ちの自分のジェネレーション・ギャップを痛感しますな。今時の大学生なんて、ボブ・ディランのボの字も知らないし、ジャニス・ジョプリンのジャの字も知らないですもんね。いや、ワタクシだってリアルタイムで知ってはいないですけど、それでも色々な本を読んで、興味を持って、自分でCD買って聴いたもんですが。 そんなふうですから、もちろん大半の学生たちはアンディ・ウォーホルのアの字も知らないわけ。いや、ウォーホル知らないどころか、キース・ヘリングもバスキアも知らないよ。 で、「だって、ユニクロにキース・ヘリングやバスキアの絵のTシャツ売ってるだろう? あれは何だと思ってたわけ?」と聞くと、シーーーーンッですもんね。 そこでワタクシは学生たちに説いて曰く、「あのね、はっきり言おう。知識ってのは、魅力なんだ。たとえば女の子と付き合い出すとするだろう? で、その子がバスキアの絵が好きで、何冊か画集を持っているなんてことが判明したとする。その時点で、俺はやられる。あ、この子、馬鹿じゃないんだと悟った瞬間、その子の魅力は200%増しだ。だから、知識がある、知識を身につけるというのは、女ぶり、男ぶりを上げる一番簡単な方法なんだよっ!」 シーーーーーンッ! 熱弁もむなし・・・。 ま、知識のない奴が知識のない奴と付き合う分には、関係ないのか・・・。 それはともかく、このテキストによると1960年代には、ハリウッドの自主検閲コードシステムがぐだぐだになったこともあって、「セクスプロイテーション」と呼ばれる(ソフトコアながら)女性のヌードを売り物にしたようなB級映画が沢山作られて・・・なんて話も出てきて、結構面白いんですよね。 大学の授業で使うテキストって、なかなか使い易いものがなくて困ることが多いのですけど、このテキストは割と使えると思いますので、アメリカ文化論なんかを担当される同業者の皆さま、『映画の中の女と男』、教授のおすすめ!です。 これこれ! ↓ 映画の中の女と男 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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