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カテゴリ:教授はつらいよ
授業も期末試験も終わってちょっと暇になると、大学ってところはやたらに「FD」ってのをやりたがって始末に負えません。「FD」ってのは「ファカルティ・ディヴェロップメント」の略で、日本語にすると・・・日本語にすると何なんですか? まあ、個々の教員がそれぞれ自発的に己の教員としての質を高めようとすること、なんですが。最近変な略語ばかりで困るなあ。 ま、とにかくそんな具合で、大学上層部の方から「ほーれ、各講座で話し合ってFDやれぃ。授業改善しろぃ」という声が降って来る。 授業改善。まったくこの言葉を聞くとうんざりしますね。 要するにね、「授業改善しろ」というのは、「お前らの授業の現状はひどいものだから・・・」という前提があるわけですよ。ダメだから直せ、と。 そりゃ、誰もが理想的な授業やってるわけじゃないけどさ、こちとらだって一生懸命やってんだから、頭ごなしにダメだダメだって言うなよ。 要するに授業改善しろって言われて嫌になるのは、それが常に「マイナス評価」を前提にしてるからなんですよね。 だけどさ。そんなこと言っている執行部の皆さんよ。あんたら、小さい時に「北風と太陽」ってイソップ物語を読まなかったんですかい? 北風ビュービュー吹かしたって、効果ないんだって。太陽みたいにニコニコしてりゃ、こっちもニコニコになるんだから。 FDだ、授業改善だってやるのはいいけど、それをやるんだったら、マイナス評価の慣習を捨てて、プラス評価のFDってのを考えませんかね。 例えば、うちの大学でも「ベスト・ティーチャ―賞」っていう賞を創設するとかね。 毎年、卒業予定の4年生に、4年間色々な授業を受けてきた中で一番良かった授業、一番ためになった授業、一番面白かった授業は何か、アンケートとって、票が集まった教授を「ベスト・ティーチャー」に認定するわけ。で、選ばれた教授には学長から金一封を贈呈の上、卒業式の中で表彰する。 で、ベスト・ティーチャー賞を3回とった教授は、「殿堂入り」させて、以後は賞の対象から外す代わりに、大学の宝として給料アップ! で、ベスト・ティーチャーに選ばれた教授は、次の年度のどこかで一度、自分の授業を他の教員に公開する義務を負う、と。そしたら、「学生たちからベストと言われる教授は、一体どんな授業をしているのだろう」という興味が湧くでしょうから、参観したくなるじゃないですか。で、そこで「なるほど、俺の授業よりよっぽど上手にやっとるなあ。俺ももう少し熱を入れて授業やるか」という感想を抱くもよし、「なーんだ、ただ学生に媚びた授業をしてるだけじゃないか。俺は学生から嫌われたって、今まで通り、厳しくやるぞ!」という感想を抱くもよし。どちらにしたって、とにかく何らかの感慨は抱くでしょう? それが、結局、実のある「FD」ってもんじゃないの? とにかく、マイナス評価のFDやって、ダメな教授をあぶり出すより、プラス評価のFDで優秀な先生を表彰する方が、絶対いいですよ。 表彰、そして褒賞。これで教員の授業改善へのインセンティヴを高める。頭とカネは使いようですわ。 ということで、今日のFD会議では、上のようなことを提案したんですけど、どうなりますかね。何人かの同僚からは賛同の声は上がりましたが、後で別な同僚からは「それやったら、最初にベスト・ティーチャーに選ばれるのは釈迦楽さんだね」と言われまして。それはつまり、「自分が選ばれたいから、こういう提案するんだろ」という皮肉な意味だったのかしら? 実際、そうなるでしょうけれども。 ま、いいや。人が何を言おうと、ワタクシに言わせりゃ、「人は褒めなきゃ動かない」のでありまして、大学上層部がワタクシの提案を少しでも受け容れて、プラス評価のFDというものを考えてくれりゃーいいと思います。 しかし、上の人たちも、頭かたいからなあ・・・。あ、私もマイナス評価しちゃった! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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