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テーマ:暮らしを楽しむ(385311)
カテゴリ:思わず納得!
お昼を食べ終わって、何となくテレビを見ながらリラックスをしていたら、NHK で、『極める』という番組の再放送(4回分一挙放送)をやっていて、テーマが「コーヒー」だったので、つい見てしまいました。 この番組、このテーマに関しては「アリとキリギリス」のアリさんの方、石井正則さんが「一コーヒー好き」として狂言回しとなり、コーヒーを巡るあれこれを視聴者と一緒に学んでいく、という趣向なんですが、1回目が「美味しいコーヒーの淹れ方を学ぶ」という観点からテイスティングや焙煎のことを扱い、2回目は「喫茶店の変遷」として名曲喫茶やジャズ喫茶、カフェバーなど、時代毎の喫茶店の歴史を追い、3回目は「コーヒーと健康」として最近見直されているコーヒーの健康増進効果を科学的に実証、最終回となる4回目は「究極のコーヒーを作る」として、石井さんが自分好みのコーヒーを豆から追求していき、最後は自分好みのセッティングの中でコーヒーを飲む、というところで終わりました。 で、どの回も面白かったのですが、やっぱり一番面白かったのは2回目の「喫茶店の変遷」だったかなあ。 結局、コーヒーってのは、もちろん「味としておいしい」ということも魅力ですけど、もっと魅力的なのは、「誰と飲むか」「どういう場所で飲むか」ということじゃないすか? つまり、コーヒーそのものよりも、それに付随する雰囲気というか環境というか、その辺が文化的に面白いわけでありまして。 例えば、戦後、日本の都市部に名曲喫茶なるものが生まれてきた、というような史実がある、と。で、その背景には当時日本がまだ貧しくて、また物が無くて、クラシックのレコードを自宅で聴くだけの余裕がなかった、ということもあるわけですけど、とにかくこうした名曲喫茶の向こう側に、戦後の混乱と慌ただしさの中で、たとえひと時であれ文化的な憩いの場所が欲しかったという、当時の日本人の希求が見えてくるわけですね。 そして60年代から70年代にかけ、今度は学生運動の高まりと同時に「ジャズ喫茶」が登場してくる。クラシック=白人音楽に対抗して生まれた黒人音楽としてのジャズ、というところからしてジャズにはカウンターカルチャーの素養があるわけですが、当時の学生たちはそういうものに喫茶店で浸りながら、安穏とした音楽としてではなく、思考の具としてのジャズに入れ込んだんでしょうな。 で、やがて80年代のバブルの時代となって、「カフェバー」が登場。喫茶店がファッションになってくるわけです。 しかし、その後バブルがはじけ、時代も平成になると、今度は「カフェバー」時代のようなマーケティングの産物としての喫茶店ではなく、オーナーの個性を前面に打ち出した個性的な喫茶店が登場してくる。古民家を改装した喫茶店、オーガニックを売り物にする喫茶店、家具調度に凝った喫茶店、ま、そういった感じです。で、それが今日の状況であると。現在の喫茶店は、「そこで皆で一緒に何かを共有する」という場所ではなく、「個々の人間が、自分の好みにあった場所を選択していく」、その結果として見出された場所、ということでしょうか。 とまあ、喫茶店の変遷をたどるというのも、なかなか面白いものでありまして。 ちなみに、この回に関して、石井さんにコーヒー文化のなんたるかを教えていたのは、上智大学の小林章夫教授。『コーヒーハウス』なんて著書もある小林先生が登場したのは当然なんですが、実は私、小林教授とは知り合いなんです~。以前、私が務める大学に小林先生をお呼びして、集中講義をしてもらったことがあったもので。先生は、上智大学にお勤めではありますが、ご自宅はたしか軽井沢にありましてね。普段は高原にお住まいで、仕事の時だけ都会に出てくるというライフスタイル、私も大いに憧れるところであります。 でもいいな~、小林先生。こういう番組があると、NHKからお声が掛かって。私もNHKに出たい~っ! ま、それはともかく、この「極める」と言う番組、次は佐野史郎さんが狂言回しとなって「石」についてあれこれ学ぶそうですから、今度からは再放送じゃない奴をちゃんと毎回見ようかなと思っているのであります。というわけで、NHKの「極める」、教授のおすすめ!です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 26, 2010 05:30:41 PM
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