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釈迦楽

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December 19, 2011
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カテゴリ:教授の映画談義

 アメリカ映画関連の授業で、学生たちにマイク・ニコルズ監督、ダスティン・ホフマン主演の傑作アメリカ映画『卒業』(1967)を見せ、この頃から「結婚」という切り札がストーリーに大団円をもたらす時代が終わり、1970年代後半の「離婚映画ブーム」ないし「結婚しない女ブーム」に向かっていくんですよ的な話をしたのですが、学生たちの反応がイマイチ薄いのが気になり、ふと尋ねてみたわけ。「ところで、『卒業』っていう映画、面白かったでしょ?」と。

 そしたら、面白かったと答えたのがたったの2人。残りの学生たちは全員、「面白くなかった」と答えたのでした。

 え”ーーーーーー! う・そ・だ・ろっ!

 『卒業』見せて「面白くない」って言われちゃったら、あと何見せればいいのよ・・・。

 で、いささか気落ちしながら・・・というか、半分気を失いながら、「ど、どうして? 何が面白くないの?」と尋ねたところ、「特に前半のあたり、何の話か分からなかった」とか、「あんまり刺激がなかった」とか、そんなことを言う。

 あの映画の前半と言えば、自分の将来の進路が見いだせずに無気力な日々を過ごすベンの姿と、そんなベンをミセス・ロビンソンが圧倒的な存在感で誘惑する、すごい場面の連続じゃないすか。あと、ベンとエレーンが駆け落ちするというラストシーンに対して「刺激がない」と言われたら、もう返す言葉がありまへん。

 ちなみに、この映画が面白かったと言った2人は、2人とも男子学生で、その一人曰く、「この映画のことを友達に喋るとなると、語るところが一杯ある。例えばロビンソン夫人の誘惑シーンもすごいし、エレーンとのデートのシーンも印象的だったし・・・」と。

 君、それが答えだ。それが正しい答えなんだよ!

 
 ま、せめて2人だけでも正しい反応を示した学生がいたことを寿ぐべきなのかもしれませんが、しかし、やっぱり嘆かわしいね、この現状。過去の名作の面白さが理解されないのでは、文化の伝承がなされないじゃないの。しかもさ、『卒業』は決して、難解な映画じゃないよ。むしろ面白さがストレートに伝わってくる映画ですわ。にもかかわらずこれの良さが分からないのじゃ、今の若い人たちの理解力とか感性に何か欠陥があるのではないかと思わざるを得ません。

 『卒業』でこれでは、『地獄の黙示録』とかさあ、『2001年宇宙の旅』とか、そんなもの見せた日にはどうなることか・・・。

 いや、『2001年宇宙の旅』なんかの場合、見てすぐに「こりゃ、面白い!」って理解するのは無理だろうし、そうする必要もないと思うのですけど、しかし、たとえ自分にはその面白さが分からなくても、コレが面白い!という人がいて、映画史上に名高いというのならば、それはどうしてそう言われているのか考えてみたい、そしてもう一度見直してみたい、ついでに関連本・解説本も読んでみたい、という気にはなってもらいたいわけよ。それが大学生らしい「知的好奇心」というものじゃないの? 少なくとも私が学生だったころには、その程度の努力をした上で、「この映画を自分は完全に理解できないし、端的に言って好きではないけれど、こういうところが見どころだと言われていることは知っているし、確かに部分的には感心するところもある」という結論を出したものだけどなあ。

 ま、傑作であることがあんなに分かり易い『卒業』すら理解できない子たちの辞書には、「知的好奇心」という言葉自体が載ってないかもね。

 ということで、ゆとり教育世代の学生たちにアメリカ映画の面白さを語ることの難しさを突き付けられ、いささか途方に暮れているワタクシなのでありました、とさ。トホホ・・・・。





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Last updated  December 19, 2011 08:24:14 PM
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