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釈迦楽

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January 12, 2012
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カテゴリ:今日もいい日だ
 
 今日は週末に控えたセンター入試がらみで大学が休みだったので、愛知県美術館で開催中の「ジャクソン・ポロック展」を見に行ってきました。ポロックの生誕100を記念しての、日本で初の回顧展だそうで。

 が、その前にまず腹ごしらえ。新栄のイタリアン・レストラン「TOPE」でランチを。ヤマザキ・マザック美術館の地下にあるこのレストラン、前に栄にあった時からの贔屓なのですが、今日もおいしかった~。おまけに、この店は店員さんが皆、プロなのよ。サービスに徹している。そこがまた気持ちいい。

 で、心地よく満腹した私と家内は、愛知県美術館へ移動~。

 名古屋の方ではテレビや新聞で大々的に宣伝していますし、会期末も近いので、今日も混むのかな~と思いきや・・・あら? 案外、空いております。ふうむ、やっぱりポロックの知名度って、こんなもんなのかなあ。

 ま、いいや。こちらとしては、空いていた方がいいですからね。ガラガラ上等。

 で、初期の、まだ具象的な物を描いていた時代の絵から見はじめたわけですが、それがたちまち色鮮やかな極彩色の抽象絵画へと変貌を遂げていく。この時代には、ポロックはメキシコの芸術に影響を受けていたそうですが、なるほど、そんな感じです。っていうか、ちょっと岡本太郎の抽象画みたいな印象もありますな。

 で、その時代を通過しながら、いよいよポロックの代名詞であります絵の具の垂らし込み、いわゆる「ポーリング(pouring)」の手法を使った時代へと移行していく。ただ、これも最初は、ある程度完成した抽象画にエッセンスを加えるように絵の具を垂らしていたようで、それが段々、垂らし込みだけで絵を構成する、あのポロックの特徴的な絵画へと成長していくわけ。この辺は、画家が自分の手法を見つけ、それを最大限に利用する手法を見出していく過程がまざまざと見られて非常に面白いところ。

 で、最初はこの手法も批評家から「くそったれのカオス」などと呼ばれるのですが、しかし、やがてこのポロックの画風は評判を得て、もしかしてポロックこそがアメリカでもっとも注目に値する芸術家なのではないか、という評価も出始め、幸か不幸か、ポロックは一夜にして時代の寵児となっていく。

 ところが、このようにして独自の手法を完成させた後、ポロックはそこで立ち止まれないんですな。次の一歩、すなわち完成した垂らし込みによる絵画を超えるものを目指して、模索を始める。例えばそれまで沢山の色を使って垂らし込みを行なっていたのを止めて、黒一色による垂らし込み(ちょっと日本の書道を思わせるようなところもある)にトライしてみたり、また垂らし込みによる画面の中に筆による抽象画を描きこんでみたり、色々と実験をしている。

 ところが、そんなポロックの模索を、当時の批評家なんかは認めなかったんですな。「ポロックの凋落」などと評し、もうポロックはダメになったんだ、と見做した。彼らとしては、ポロックらしい垂らし込みだけによる絵画をもっと続けてもらいたかったのでしょう。ポロックが最初にそれを始めた時には、「くそったれのカオス」と酷評したのではありますが。

 かくして、自分が確立した手法を超える次の一手が見つからないわ、批評家からはダメ出しされるわで、もともとアルコール依存体質だったポロックは、またぞろ酒に手を出し始め、ますます絵が描けなくなっていきます。アトリエに行っても、何も描けないまま帰って来る日が続くというのですから、画家にとっては地獄のような日々だったでしょう。

 そして、そんなまさにカオスな日々の中で、彼は奥さんの留守中、愛人とその友人の3人で酒に酔ったまま猛スピードでクルマを運転し、立ち木に激突して事故死。享年44歳だったそうです。

 ま、画家というよりは、ジャズマンのような死に方ですなあ・・・。

 とまあ、そんな感じで早死にしちゃいましたので、大回顧展とは言い上、展示された作品数は70点ほどと少な目。それを補うように、ポロックのアトリエを再現したコーナーがあったり(これ、床板そのものがポロックの垂らし込み絵画みたいになってます)、彼が垂らし込みをやっているところを映した映像を放映していたりして、それなりに面白いのですが、うーん、正直言いますと、若干、見足りないところがあるかな・・・。

 ということで、個人的には期待したほどでもなかったか、の感がありますが、しかし、ポロックの作品を、ごく初期のものも含めてこれだけまとめて見られるというのは確かに得難いことではありますので、興味のある方にはおすすめしておきましょう。会期は1月22日までですので、お見逃しなく!


これこれ!
 ↓
生誕100年 ジャクソン・ポロック展


 ところで、ポロック展の一番最後のところで、ポロックが住んでいたニューヨーク・ロングアイランドにある「イースト・ハンプトン」の映像を見られるコーナーがあって、そこで今も現存するポロックの家の映像を見ることが出来るのですけど、これがね、すごくいい。私もここに、この家に住みたい!!と思うほど素晴らしい。

 イースト・ハンプトンって、池田満寿夫がリランと結婚していた頃、暮らしていたところでありまして、彼のその頃のエッセイを読むとその土地の話が色々出てくるのですが、まさにそのエッセイで描かれたような、すっごいステキなところなんだということが分かって、私としては大興奮。っていうか、次にニューヨークに行く時にはぜひイースト・ハンプトンに行ってみようと密かに決意、って感じです。

 で、私と家内が目を輝かせてそのビデオを食い入るように見とれていた時、ふと気が付くと、同じ映像を見ていた方々(大半がそこそこ高齢のお嬢様方・・・つまりおばあさん達)が、全員、こっくりこっくり居眠りをされていたのでビックリ。なんだ、なんだ、催眠ビデオか、これ??

 イースト・ハンプトンの美しい風景は、展覧会を見終わってお疲れになった方々の目には、涅槃の風景に映ったようで・・・。





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Last updated  January 12, 2012 11:29:50 PM
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ケンケン@ Re:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) 先生と同業の末席にいるものですが、 その…
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