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テーマ:本日のお勧め(385840)
カテゴリ:教授の読書日記
落語家の林家正蔵さんがジャズファンだということは、その筋の人たちの間では有名な話ですが、その正蔵さんが書いた『知識ゼロからのジャズ入門』(幻冬舎・1500円)を読んでしまいました。ま、正直、それほど期待もせずに・・・。 ところが。 これがね、案外、いい本なんじゃないかと。 まず、一番最初に私が「おっ!?」と思ったのは、ベーシストのポール・チェンバースを紹介した項。「正蔵のジャズ談義」と題されたコラムの中で、正蔵師匠は次のように書いている: 数多の名演奏に顔を出しているチェンバースですが、あえて申し上げますと、私は彼のアルコ(弓)弾き嫌いがいまだに直りません。 たまに巧い方が、綺麗なバラードなんかで、寄り添うようにアルコ弾きするのは好きなのですが、チェンバースのようにハード・バップなんかでやられると、好きになろう好きになろうと思っても、どうにも好きになれないんです。「なぜアルコで弾くの!? ちゃんとしたテイクも録っておいてくださいよっ!」と、思ってしまいます。 え~、いまだに、「アルコ」と「ナマコ」は好きになれず! (89頁) まあ、最後のオチはアレですけど、この意見には私も完全に同意。ほんとにチェンバースがアルコ弾きし始めると、もうゲッソリするほど嫌になるんです、ワタクシも。ポール・チェンバースのアルコ弾きに一番近い音は、ノッポさんと一緒に出てくるゴン太くんの、あの「ホヘホヘ」って音、あれですよ。あんなふざけた音がご陽気に飛び出してくると、「やめて、それ、頼むから」って言いたくなる。 でも、自分以外の人がそういうことを言っているのを読んだのは、私の知る限り、正蔵師匠が初めて。感性、近いかも。 それだけじゃありません。この他にも例えばオーネット・コールマンについての「ジャズ談義」はこんな調子: 『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン』とか、生々しくて面白いですね。 ・・・(沈黙)。基本的にあまりコメントがありません(苦笑)。といいますのも、いまだに「オーネット・コールマンが大好きなんだ」と胸を張って言えるところに行き着けていないんです。(後略)(45頁) これもワタクシと同じ! 激しく同意! あとね、「快適な眠りを誘うジャズ名曲」というコーナーで、「ちょっとツウですが、ローランド・ハナ(p)なんかはオススメです」(74頁)と書いていますが、私、他の初心者向けジャズ本の中でローランド・ハナのことを薦めている本って読んだことがない。でも、実は私も好きなんです、ローランド・ハナ。 で、その他、彼が薦めているジャズCDで、私が知らないものを次々とアマゾンで試聴してみるのですが、確かに良いんですよね。実際、正蔵師匠に薦められるままに、何枚も買っちゃっいましたよ。 ってなわけで、私も巷に出回るジャズ入門本を随分読みましたが、ひょっとしてこれがベスト?と、密かに思い始めているのでありました。 が! そういうことを大きな声で言えない事情がありまして、実は私の家内が大のアンチ正蔵派なの。なんかイケスカナイそうで。だから、家の中ではおおっぴらに正蔵師匠のことを誉められないワタクシ。 仕方がないから、ブログでこっそり誉めておきましょう。林家正蔵師匠のジャズ入門本、意外な好著でございます。これからジャズを聴いてみようなんてムキには是非! 教授の、ないしょでおすすめ! です。 これこれ! ↓
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Last updated
February 11, 2012 02:44:32 PM
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