|
テーマ:今日のこと★☆(106266)
カテゴリ:思わず納得!
今日は国立大学の前期二次試験があり、私も英語の問題の採点作業をやっておりました。 ま、受験生諸君が難解な英文に向き合った時に、苦し紛れにひねり出す奇想天外な解答の数々は、ブログのネタとしては絶好のものではあるのですが、さすがに入試関連のことなので、ここでは口外しないようにいたしましょう。 とはいえ、「ゆとり教育」なるものが我が国の知的水準に与えた悪影響の大きさは計り知れないものがあるということは確かでありまして、その諸悪の根源はもちろん文科省にあり、しかも彼らはその大失態の責任を感じて赤面するどころか、そんなことは知らないことにして、彼らが育て上げたアーパな学生たちの無知蒙昧ぶりの尻拭いを大学に負わせようとしている、その破廉恥なあり方を、小なりと雖もこのブログで非難したいと思うのでありますよ。 さてさて、話題は変わりまして、昨日行ってきたベン・シャーン展ですが、そこで買った図録、これが結構読み応えのあるものでして、帰宅してからパラパラと拾い読みしていたのですが、その163頁、李美那という人の書いた「阿部展也の見たベン・シャーン」という一文の中に、「1960年10月、阿部はルーズヴェルトのシャーンのアトリエを訪れる。シャーンの親友ジョージ・ナカシマの設計で増築した住まいの2階に、木の階段下で靴を脱いで上がると・・・」という一節がある。 で、ワタクシ、「ん?」と思ったのでございます。ジョージ・ナカシマ・・・。どこかで聞いた名前だなと。しかも最近。 思い出しました。先日読んで、このブログでもご紹介した『アメリカの名作住宅に暮らす』という本の一章が、まさにジョージ・ナカシマの設計した家を取り上げていたんですな。で、この本が取り上げている家は、まさにナカシマの自宅で、今はナカシマの次女のミラさんが暮らしている。 で、さらによく見ていくと、なんとこのジョージ・ナカシマの自邸の一角に、ベン・シャーンの絵が飾ってあるではないですか。 なるほどね。これでベン・シャーンと、日系の建築家、ジョージ・ナカシマを結ぶ線がつながりました。言い換えれば、そういうところでも、ベン・シャーンと日本はつながっていたわけだ。第五福竜丸ばかりではなく。 ま、自分で言うのもなんですが、色々な種類の本を沢山読むことのメリットというのは、こういうところにあるのでしょうな。絵画にまつわる本と、建築にまつわる本、ジャンルの異なる本をほぼ同時期に読んでいたことで、予想もしなかったことが分かってくると。 でまた、この経験から言えるのはですね、「人はモノを知らないと、モノが見えない」ということですね。 最初にジョージ・ナカシマの設計した家の写真を見ていた時には、そこにベン・シャーンの絵が飾ってあることに気が付かなかったんですから。そして、ジョージ・ナカシマとベン・シャーンが親友同士だったということに気づいてから、ようやく、ナカシマ邸に飾られていたベン・シャーンの絵が目に入ったんですから。 重要なのは、ですから、「知識」、なんですな。知識があるから、モノが見える。知識がなければ、モノを見ていても、気づかないと。 ま、ベン・シャーン展を見たおかげで、その後からも色々といい勉強をさせてもらいましたよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 26, 2012 01:58:58 AM
コメント(0) | コメントを書く
[思わず納得!] カテゴリの最新記事
|
|