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釈迦楽

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July 10, 2012
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カテゴリ:教授の読書日記

 小沢コージ著『クルマ界のすごい12人』(新潮新書・680円)を読了しましたので、心覚えを書きつけておきましょう。

 
 本書は「バラエティ自動車評論家」を自称するライター、小沢コージ氏が、自動車産業に様々な形で携わる成功者たちを取材し、そういう人たちの生い立ちとか、いかにしてそれぞれの分野で一流となり、成功を納めて行ったかについて書き記したもので、クルマ/ライフスタイル誌『エンジン』に連載されていたのをまとめたもの。

 で、そのクルマ界のすごい12人が、具体的には誰のことなのか、そのメンツを書いておきますと、山内一典氏(ゲームソフト「グラン・ツーリスモ」の開発者)、尾上正志氏(カーコンビニ倶楽部創業者)、丸山和夫氏(ミニ専門店MINIマルヤマ創業者)、羽鳥兼市氏(中古車買取会社「ガリバー」創業者)、梁瀬次郎氏(ヤナセ名誉会長)、和田智氏(カーデザイナー)、光岡進氏(自動車メーカー「光岡自動車」創業者)、小野光太郎氏(ホイール製作等・小野グループ代表)、横幕宏尚氏(改造車製作等・ヴェイルサイド創業者)、星野一義氏(レーサー/インパル社創業者)、藤井孝雄氏(自動車関連専門書店「リンドバーグ」創業者)、山田眞次郎氏(自動車ドアロック等「インクス」創業者)の12人。ヤナセ会長の梁瀬次郎さんとか、レーサーの星野一義さんのように、結構名前が知られている人もいますが、必ずしも知名度の高い人ばかりではありません。

 でも本書を読むと、確かにここに挙げられた12人は誰もみな「すごい人」であることが分かります。

 で、その「すごい」にも色々なニュアンスがあって、卓越した才能を開花させて己の進む道をぐんぐん突き進んでいった人もいるし、あるいは「顧客サービス」を愚直なまでに推し進めることで、その道のトップに立った人もいる。また、他の人たちが目を付けないところに目を付けることでビジネスを成功させた人もいるし、逆境を利用して、それをむしろ味方につけて成功した人もいる。それぞれの人がそれぞれのやり方でてっぺんを取っていったというところが何とも面白いし、また痛快なんです。

 だから、どのエピソードを読んでも勉強になるし、思わず膝を打つようなところがあるのですが、個人的に一番面白かったのは、「MINIマルヤマ」を創業した丸山和夫さんの話でした。もうね、丸山さんの人生なんて、ある意味、実録版「わらしべ長者」ですよ。

 丸山さんは東京は墨田区のご出身なんですが、小学校4年くらいの時に、荒川で手こぎボートに乗りたいなと思ったんですって。で、川沿いにはボロい小船がいくらも転がっている。

 で、そんなボロい小船の持ち主を探し出し、2,500円ほどで売ってもらったというのですな。もちろんそのままでは浸水してしまうので、自力で修理し、それで荒川に乗り出すと。

 で、荒川に船を浮かべてみて分かったのは、荒川にはやたらに野球のボールが浮いている、ということだった。河川敷で草野球をやる人たちが多いので、ホームランボールが沢山あるんでしょう。

 そこで小学生の丸山さんは、自分の小船を使ってそのボールを拾いまくり、日曜日とかに河川敷で草野球をやっている人たちに一袋いくらで売ってみたところ、ガンガン売れるんですって。それで小学生の丸山さんは、仕入れ値タダの野球ボールで小学生にとってはひと財産を稼ぐ。しかも、小学校を卒業する時には、「船でボールを拾い、それをまとめて販売する」というシステムというか、権利を、後輩に2,500円で売ったというのですから、その商才、双葉より芳し。

 で、中学生になった丸山さんは、小学校時代に貯めた資金で、ゴーカートを自力で製作し始める。ま、実家がクルマ屋さんだったので、道具は揃っていたとはいえ、見よう見まねで結構スピードの出るカートを作り、それを販売までしたというのですから大したもの。

 で、その後、中学・高校とゲームセンターに入り浸り、メカ好きが嵩じてゲーム・センターで壊れた機械などを直してあげているうちに、ゲームセンターにゲーム機を納入しているメーカーからスカウトされ、高校時代に既に給料をもらっていたという・・・。そして高校卒業後は父親の経営するクルマ屋に就職。

 で、その後、新婚旅行で出かけたパリで、丸山さんの将来を決定づけるようなことに出くわすんですな。それがイギリスの小さな名車ミニ。パリの街中を小気味よく走りまわるこの小さなイギリス車を見かけた丸山さんは、一目でこのクルマに魅了され、いずれ日本でもミニ・ブームが来るのではないかと予感するんです。

 で、日本に帰ってから、自動車雑誌にいきなり広告を打つ。「ミニのパーツ、大量入荷!」と。もちろん、大量入荷どころか、そんなもの一つもないのに、です。とりあえず、嘘の広告を出してみて、反響を見ようとしたわけ。

 すると、広告が出た一時間後から、ひっきりなしに電話がかかって来た。一部のマニアの間だけとはいえ、ミニのパーツは需要があったんですな。

 で、とりあえず電話の問い合わせに対しては「さっき、売り切れました。次の入荷は2週間後です」と適当な返事をしておいて、ミニのパーツの仕入れを計画する。

 で、本家イギリスに買い付けに行ったのでは赤字になると考えた丸山さん、イギリスの旧植民地の香港なら安いパーツがあるのではないかと、香港の電話町で自動車パーツ販売店の住所を調べて地図に印をつけ、印でいっぱいになったところがパーツ屋街に違いないと目星をつけてそこに赴き、狙い通りにミニのパーツを安く仕入れることに成功するんです。で、それを丸山さんの考える「適正値段」で売りまくって大もうけをする。で、香港で7か月ほどパーツを買いあさった後、今度はシンガポールに目を付けて、そこでも大量買いして大もうけ。やがて、パーツだけでなく、ミニ本体も売るようになり、数百台のミニを売りつくすと。

 で、普通のミニを売るだけでは物足りなくなった丸山さんは、いよいよミニの故郷イギリスに赴き、その昔ミニのレース仕様を作っていたジョン・クーパーを口説き落として、「ミニ・クーパー」という特別仕様車を作らせ、そのキットを販売させるんです。そう、今もミニの特別仕様車として世界中に名高い「ミニ・クーパー」は、丸山さんの企画によるものだったんですな。

 とまあ、そんな感じでバブル時代にミニや特別仕様のミニを売りまくった丸山さんですが、バブル崩壊が近いことを予見した丸山さんは、バブルがはじける前に自ら事業を縮小、健全化し、自分がミニを売った顧客が、今後も末永くミニに乗り続けられるよう、上手に体制を整えて今日に至ると。

 ま、ざっとこれが「MINIマルヤマ」創業者・丸山さんのビジネス・ヒストリーなわけ。めちゃくちゃ面白いでしょ?


 で、これは一つの例でありまして、本書には他に11人分の、同じくらい面白いヒストリーが綴られているのだから、面白くないわけがない。クルマに興味がない方にとっても、勉強になる本だと思います。

 また小沢コージさんの書きぶりもいいんですな。癖のない文体でさらっと書いていますが、これだけの内容を分かりやすく、面白く伝えるのですから、ライターとして相当な腕前。私は昔から自動車ライターとして小沢コージ氏を憎からず思っておったのですが、本書を読んで、ますますファンになりました。


 ということで、『クルマ界のすごい12人』、教授のおすすめ!です。やっぱり成功する人たちというのは一味違う、ということを勉強するためにも、一読して損はありませんぞ!


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Last updated  July 10, 2012 05:07:49 PM
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釈迦楽@ Re[1]:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) ケンケンさんへ  「赤死病」ですか! …
ケンケン@ Re:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) 先生と同業の末席にいるものですが、 その…
釈迦楽@ Re[1]:「new born 荒井良二」展を堪能!(04/26) りぃー子さんへ  あああ! お久しぶり…
りぃー子@ Re:「new born 荒井良二」展を堪能!(04/26) こんにちは、迫力と湧き出る力強さ、美し…
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