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カテゴリ:教授の読書日記
酒井順子さんの『ユーミンの罪』を読了。
酒井順子さんというのは、年齢的にいうと私よりちょい下、とはいえ、ほぼ同年代で、バブル世代。で、そのバブル世代の半歩くらい先を先導して時代を駆け抜けていったユーミンを、今時の言葉で言えば「フォロワー」であった酒井さんが、自らの体験をベースにしながら分析しているのですが、これが実に秀逸なんだなあ。 どう秀逸かをいちいち説明するのが面倒なので、興味ある人、あるいは、アラフィフ世代は是非読んで、という感じなんですけど、例えばユーミンの歌に出てくる女性というのは、しばしば恋人のことを見ている、というのですな。草野球をする恋人を応援席で見つめるとか、スキーで転んだりしている彼氏を見ているとか、ラグビー場で最後の試合に臨んでいる恋人をじっと見つめているとか。 あー、確かにそうそう。 あるいは、車を運転する恋人の助手席にいるシーンとかが、やたらに歌われたりする。 おー、確かにそうそう。 これは一体何なのか、と言いますと、ユーミンの歌に出てくる女性たちというのは、自分主体で動いているわけではないと。恋人の趣味に付き合わされたり、移動手段を恋人に頼っていたりする。その意味では、受動的なところがある。 しかし、では、ユーミンの歌の女性たちは男の言いなりなのかというと、実はそうではないと。 つまり、彼女たちは恋人を所有しているわけですな。ブランドとして。カッコいい車に乗っている男の助手席にいる私。ブランド力が高いラガーマンを、自分の恋人にしている私。そういう私って、イケてるんじゃないかしら、的な。ゆえに、彼女たちはそこで既に能動的な部分を発揮していると。 あー、バブルって、そうだった~! とまあ、酒井さんの指摘に従ってユーミンの歌を解釈していくと、この時代のことがよく判るし、またその時代を引っ張っていったユーミンのことも分かるし、またユーミンにあこがれ、まんまと引っ張られて行った女の子たちのこともよく判る。 そして、そういう風に引っ張られてしまったゆえに、今、ちょっと困った立場に陥っている女性たちもいるのではないか? そして、それこそがユーミンの「罪」なのではないか? ってなことが、実に鮮やかな手法で述べられておりまして、男の立場ではありますが、同世代としてすごくよく判るハナシになっているんです。目のつけどころがいいよね。 ということで、新手のノンフィクションとして、この本、結構いい線行っているのではないかと、私は思っております。1970年代から1990年代までの時代と風俗を、ユーミンという特異な存在を梃子にして、語っていますよ、この本は。 ってなわけで、この本、教授のおすすめ!です。 これこれ! ↓
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Last updated
June 26, 2014 11:42:35 PM
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