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釈迦楽

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October 14, 2014
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カテゴリ:教授の読書日記
 1970年代のベストセラーにして、最近、「第4部」が付け加わった完成版が出たばかりの『かもめのジョナサン』、仕事がらみで読んでしまいました。

 これ、私も1970年代に読んだことがあるのですが、読んだといっても子供の頃に読んだのですから、通り一遍に読んだだけで、別に深い意味を読み取ったわけでもなし。だから、今回読み直すに当たっても、「読み直す」というより、ほとんど初めて読むのと変わらなかったかも。

 だけど、改めて読んでみても、うーん、あんまりよく判らないという意味では、子供の頃に読んだ時の読後感とほぼ同じ。成長がないね・・・。

 まあ、昔のベストセラーですから、私と同年代の人は多分、読んだことがある、という人も多いと思いますが、これは「ジョナサン・リヴィングストン」という名のカモメの話。

 ジョナサンは、いわば異端のカモメでありまして、とにかく「飛ぶこと命」。いかに速く、いかに高いところから、いかに見事に飛ぶかっつーことに命を賭けている。仲間のカモメが餌食ってのんびりしている間にも、練習、練習、また練習。あんまり練習に熱心なあまり、仲間はドン引きして、ジョナサンを仲間外れにする。

 しかし、そんなことにもお構いなく練習しているうちに、ジョナサンは別次元のカモメになってしまったのでした。

 別次元も別次元、もはや「飛ぶ」とかそんなレベルではなく、ワープですよ、ワープ。「ここに行きたい」と念じるだけで、その場所に瞬間移動できるほどになる。

 そして、そこからさらにレベルアップする、という道もあったのですが、ジョナサンはその道はとらず、自分を仲間はずれにした平凡なカモメたちの中にも、潜在的に自分と似たような若者がいるんじゃないかとか殊勝なことを思って、かつて自分を追放した仲間のもとに帰り、その中から弟子を育てることにするんですな。

 で、その弟子たちも立派に成長し、飛ぶ訓練についてはその弟子たちに任せれば良くなってきた。そこで、もはや自分がここに居る必要はないな、と見切ったジョナサンは、去って行ったのでした。

 ここまでが第3部、すなわち、以前はここでこの物語は終わっていたわけ。


 で、ここから新たに付け加わった第4部が始まるのですけど、第4部になりますと、もうジョナサンは伝説と化していて、ジョナサンの初期の古い弟子たちすら半分伝説になってしまっている。それで、いくら古い弟子たちが「ジョナサンはね、一生懸命練習したから速く飛べるようになったんだよ」と教え諭しても、新しい弟子たちは、「ジョナサン大先生は、どんな姿をしておられたのですかあ?」みたいなことばっかり知りたがり、もう練習なんてそっちのけになっちゃうわけ。

 つまり神格化によって、教えが腐敗したわけですな。

 だけど、そんな腐敗し、練習も軽視されてしまった末法の世界で、次の世代が登場してくる。

 この新しい世代は、腐敗化したジョナサン伝説なんて無視して、自分達で勝手に速く飛ぶ練習に打ち込みだすんです。

 そして、そんな新しい世代に属する一羽のカモメが懸命に練習に打ち込んでいるうちに、ふと気づくと、自分に併走しながら見事な飛翔をするカモメを発見する。若いカモメがあっけにとられてその名を問うと、「俺かい? 俺はジョナサンさ」と答えました。

 ちゃん、ちゃん。終り。


 さ・て・と。

 で、これ一体、どういう話?

 素直に考えれば、ジョナサンはカモメ版のイエス・キリストなんだという解釈になるのでしょうけれども、そんなに簡単に答えを出してしまうと、逆に、「そんな簡単な答えでいいの?」的な不安が湧いてきて、もっと別な解釈をしなきゃいかんのじゃないのか、とも思えてくるという。

 だけど、これを書いたリチャード・バックという人も、そんなに大したことないライターっぽいから、案外、上のような簡単な解釈でもいいのかもね。

 
 ところで、本書の訳者あとがきを読んでみますと、本書を訳している五木寛之氏は、これを訳しながらも、ずっと違和感を感じていた、ってなことが書いてありまして。

 五木氏がどこに違和感を感じたかというと、この話が、何だか妙に上から目線で語られること。また、こんな説教臭い物語を、どうして人々が有難がって読むのか、それもよく分らない。それから、飛ぶことに命をかけたジョナサンが特権化され、そうでないカモメ、つまり、生きることに汲々としている平凡なカモメたちが、いかにもつまらない存在の様に描かれることへの不満もあった、というのですな。


 なるほど。

 
 でも、この本を一種の「自己啓発本」として考えると、上から目線、という点は分ります。自己啓発本というのは、「こうすれば他人より頭ひとつ秀でられますよ」ということを上から言うものなんですから、そもそも。

 で、更に自己啓発本の立場から言えば、聖書もまた一冊の自己啓発本ですから。「求めよ、さらば、与えられん」ですからね。

 そう考えれば、聖書の内容をカモメの世界に譬えた自己啓発本として、いわば説教臭くとも抹香臭くはない自己啓発本として、その時代の迷えるアメリカ人たちに受けた、ということなのかも知れません。

 もっとも、私が思うに、この本の成功の半分以上は、挿絵的に無数に挿入されるカモメの写真、ではないですかね。お洒落だもん。ジャケ買いだよ、ジャケ買い。


 ってなわけで、相変らずよく判らないながらも、カモメはフォトジェニックだよな! という確信だけは得た私だったのであります。


これこれ!
 ↓





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Last updated  October 14, 2014 09:15:57 PM
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ケンケン@ Re:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) 先生と同業の末席にいるものですが、 その…
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