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釈迦楽

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October 26, 2016
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カテゴリ:教授の読書日記
 私の古本道の師匠、岡崎武志さんがブログで勧めていた北尾トロさんの『ぶらぶらヂンヂン古書の旅』を読んでおります。

 岡崎さんのご著書もそうだけど、「古本本」というジャンル、根強い人気がありますなあ。『古本ツアー・イン・ジャパン』の小山力也さんとか、『古本暮らし』の荻原魚雷さんとか、新しい系の古本ライターも出てきたし、倉敷で「蟲文庫」という古本屋を営む田中美穂さんの『わたしの小さな古本屋』も最近ちくま文庫で文庫化されたし。

 で、北尾さんの『ぶらぶら』は、ご自身でネット古書店も営まれている北尾さんが、趣味と実益を兼ねて、地方に出張ってセドリをする、その顛末記ですな。

 だから一応はお仕事なんだけど、とてもそうは見えないほど、地方の古本屋さんを1泊とか2泊とかの旅程で回る、そんな忙しない古本探索の旅をほんわか楽しんでいる様が文面から伺えて、ゆるーく楽しめる本でございます。

 道すがらの風景は楽しみつつも、基本は地方都市の古本屋を巡ることが優先の古本旅。だけどそこが古本業界のゆるさというか、せっかく行ってみたのに肝腎のめざす古本屋が休みだったとか、期待していたほど収穫がなかったとか、そういうことはざら。しかし、だからといってガッカリというわけでもなく、「こんなもんだろ、それに1冊でも収穫があったからいいじゃん」的なところが窺え、古本好きとしては「そう、そうなんだよ!」と膝を打つところ。

 それから、古本を買うのに資金を回すため、ビジネスホテル代をケチって、あまりにショボイ朝食にガッカリするとか、逆に収穫があった時など、買ったばかりの古本をホテルのベッドに横たわりながらパラパラやる時の至福とか、これまた古本好きならば誰もが経験していることで、「それ、あるある~」って感じですね。

 要するに、そんな感じの「古本好きあるある」本であって、それだけの本なんですけど、それだけのことを語る北尾さんの語り口につい読まされちゃうニクイ本。それに、私もまた学会出張などで地方を回ることが多いので、北尾さんのこの本を読んで、そうか、そっちの方の地方都市にはそんな古本屋があるのか、よーし、今度そっちの方に行くことがあったら私も行ってみよう、っていう興味も出てきますからね。

 というわけで、確かに岡崎師匠の言う通り、古本好きならたまらない北尾トロ本、私もおすすめ!と言っておきましょうかね。


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Last updated  October 27, 2016 01:00:32 AM
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