|
カテゴリ:教授の読書日記
ジグ・ジグラーが書いた『人生をレベルアップする64の鍵』という本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。
ジグ・ジグラーという、チム・チム・ニーみたいな名前の人は、有名な自己啓発の講演家でありまして、1926年生まれ、2012年没という、割と最近までご存命だった人。まあ、それなりに本も出ている人なので、とりあえず1冊、2冊くらいは読んでおこうかなと。 で、この本ですけれども、原題は『Breaking Through to the Next Level』。ちらっとそれらしいことを書いて、その後にその内容を一言でまとめた格言(自作の場合もあり、有名人の言葉の引用もある)を太字でバーンと載せ、そうやって見開き2ページで完結する短い章を並べた、この業界にはよくあるタイプの自己啓発本でございます。 例えば第39章はこんな感じ。 「幸せ」とは何か、その答えを求めてウェブスター辞書を繙くと、そこには「肉体的快楽を満たすことで得られる感覚は、人を一時的には幸せな状態にするが、永遠の真の幸せを得るのは、心の平和と紙の寵愛に喜びを見いだす者のみである」と書いてある。ことほど左様に、人があなたに楽しみを与えることはできるけれども、他人のために何かをするまでは、あなたが幸せになることはない。幸せは、他人のために何かをしたとき訪れる。 とまあ、そんな趣旨のことが述べられた後、「あなたの人生の成功の度合は、あなたが幸せにしてきた人の数で測ることができる(by ロバート・ラムスデン)」という格言がバーーン! これはまあ、「自分が幸せになりたかったら、まず他人を幸せにせよ」という、自己啓発本ではよくある教えの、ジグ・ジグラー版であるわけですな。 ま、本書は全編に亘ってこんな感じ。だから、内容的には至極まともで、「おっしゃる通りです」なんですけど、それを実行に移すのは難しいというね。 例えば第14章は「憎しみを捨てる」というのがテーマなんですが、ジグラー曰く、「多くの人は『腹の立つようなことをするヤツは、許してやるに値しない』ともっともらしく主張するが、これは見当違いである。相手の価値の問題ではない。あなたが、相手を許すに値する人間なのである」と。そしてフランスの哲学者アランの格言「品よく敵を殺す方法を教えよう。それは、敵を殺すことではなく、思いやりをもって、相手を変えてしまうこと。そうすれば、敵は敵であることをやめ、殺されたも同然となるだろう」がバーーン! あるいは第51章はどうよ。テーマは「自由時間を有効に使え」。ジグラー曰く、「わたしたちの普段の会話には、必ずと言っていいほど『忙しくて自由な時間がとれなくて』という話題が出る。不幸なことに、これを真実だと思い込んでいる人がほとんどだ。しかし、ジェフリー・ガドベイによれば、『人びとは常に自分の自由になる時間の量を過少評価し、仕事の時間を過大評価する』」と。そしてウィリアム・フェザーの格言:『自分がほんとうにしたいことをするための時間は、誰でもしっかり確保するものだ』がバーーン! はいはい、そうでしょう、そうでしょうとも。 という感じ。 もちろん、この格言に関して最多出場するのはラルフ・ウォルドー・エマソンよ。「千人の友人を持つ者は、一人の友人もないがしろにしない。一人の敵を持つ者は、いたるところで敵に出会う」(第31章)、「相手を傷つければ、相手以上に自分が傷つく。相手から何かを奪おうとすれば、相手以上に自分が失う」(第58章)、「実行せよ、そうすれば、力が得られる」(第62章)の三か所。エマソンは、こういう風に、自己啓発本の中で永遠に生き続けるわけだ。 というわけで、読んで害はないし、もちろん、言われた通りに実行すれば確実に自己啓発できること請け合いの本ではあります。ただ、類書が山をなす自己啓発本の世界にあるのであれば、もうちょいひねりが欲しいなと。そんな感じの本でございました。ま、これをもってジグラーの何たるかを計るのはちょっとかわいそうなので、その辺はもう二、三、彼の本を読んでから判断しましょうかね。 【中古】人生をレベルアップする64の鍵 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 30, 2017 05:19:43 PM
コメント(0) | コメントを書く
[教授の読書日記] カテゴリの最新記事
|
|