6051102 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

教授のおすすめ!セレクトショップ

教授のおすすめ!セレクトショップ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

釈迦楽

釈迦楽

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

Shopping List

お買いものレビューがまだ書かれていません。
July 2, 2017
XML
カテゴリ:教授の読書日記
オグ・マンディーノという自己啓発ライターの書いた『十二番目の天使』なる本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。


 オグ・マンディーノという人は、自己啓発ライターではあるのですが、基本、ノンフィクションとしてではなく、小説として作品を発表するんですな。ですから、この本も小説仕立ての自己啓発本、ということになります。

 じゃあ、どんな物語が展開するのかと申しますと、主人公は四十歳代そこそこにしてアメリカの大コンピュータ会社のトップにヘッドハントされたというバリバリのビジネス・タイクーン、ジョン・ハーディングなる人物。で、今回、その新しい肩書きに収まるべく、彼は故郷であるニューイングランドの小さな町ボーランドに戻ってくる。で、そんなビジネス界の大立物が故郷に戻ってくるというので、ボーランドの町は大騒ぎ、ここ出身の名士を迎えるため、わざわざ町を挙げての大歓迎会が開かれる始末。

 ところが、そんな幸せの絶頂にあったジョン・ハーディングに突然の不幸が襲いかかる。なんと、不慮の交通事故によって最愛の妻サリーと最愛の息子リックが死んでしまうんですな。で、ジョンは幸せの絶頂から不幸のどん底へと突き落とされ、社長の椅子も放棄して家に閉じこもり、自殺のことばかり考える日々が続くと。

 と、そこへ親友のビル・ウェストが尋ねてくる。ビルはかつてジョンと共にボーランドのリトル・リーグで活躍した仲だったのですが、そのビルがジョンを励ますため、地元のリトル・リーグのチーム監督を引き受けてくれと頼みにきたんです。で、もちろんジョンはそんな気分じゃないと断るのですが、すったもんだの末、結局この仕事を引き受けることになる。

 で、ボーランドのリトル・リーグは4チームによるリーグ戦で優勝が決まるのですが、その4つのチームが毎年ドラフト会議を開き、その年のチームを決定することになっていて、ジョンもその会議に出席し、彼が面倒を見ることになったエンジェルズのメンバー12人が決定します。で、その中にはどのチームも狙っていた好投手トッドも含まれ、今シーズンのエンジェルズの先行きは明るいのですけれども、一人、年齢の割に小柄で、野球もものすごく下手なティモシー・ノーブルという少年が、ドラフト会議の成り行きでエンジェルズに入ることになってしまった。

 で、懸念した通り、ティモシーは打撃も守備もからっきしで、チームのお荷物となってしまいます。しかし、そんな状態であっても、ティモシーは野球に異様なまでの執着を示すんですな。で、チームメイトから笑われようが、からかわれようが、決してひるまず、一生懸命練習に励んでいる。

 で、そんなティモシーの姿を見たジョンは、彼に興味を示し、一人だけ特訓してあげたりするのですが、そうやって個人的に親しくなってみると、ティモシーの家の事情というのも分かってくるわけ。

 実はティモシーの家は母子家庭で貧しいんですな。だから、グローブ一つとってもぼろぼろのものしか持ってない。スパイクもないので、ぼろぼろのスニーカーでプレイしているし、練習に来るための自転車もおんぼろで、やたらに壊れるものだから、ティモシーは遠路はるばる歩いてグラウンドにこなければならないんですな。で、お母さんは働いていて忙しいものだから、時々食事も抜かなければならない始末。これでは、ティモシーの野球の上達が思うに任せないのも致し方ないところ。

 しかし、ティモシー自身は元気そのもの。なぜかというと、彼には一つ、信念があったから。

 それは何かというと、かかりつけのお医者さんであるメッセンジャー先生から教わったという二つのおまじないの言葉を知っていたから。そのおまじないとは、「毎日毎日、僕はあらゆる面で進歩している」というのと、「絶対、絶対、絶対、絶対、絶対、絶対あきらめない」という言葉。前者は有名な精神療法家であるエミール・クーエのもので、後者はイギリス宰相ウィンストン・チャーチルのもの。この二つの言葉の信奉者となったティモシーは、決してくじけないんですな。

 ちなみに、アメリカのリトル・リーグでは、1チーム12人のメンバーなんですが、その全員が規定打席に達しないとダメ、というルールがあるらしく、ティモシーみたいな下手なプレーヤーも必ずシーズン中、ある程度は打席に立ったり、守備をしたりする決まりがあるらしいんですな。だから、下手だからといって万年補欠というのはあり得ない。

 だから、ティモシーも他のプレーヤーに混じってプレイし、その結果、チームの足を引っ張ってしまうこともあるのですが、しかしエンジェルズのメンバーは、決してティモシーをのけ者にはしません。というのも、ティモシーはどんな時でも一番大きな声を出してチームの応援をするから。そのうち、ティモシーの決めゼリフである「絶対あきらめない」は、エンジェルズのモットーとなり、それを元にしてチーム一丸となってリーグ戦を勝ち進んで行くんですな。

 で、結局エンジェルズはシーズンの成績がヤンキーズに次ぐ2位となり、プレーオフ進出の権利を得ます。そしてヤンキースとの優勝決定戦を迎えることになる。さすがにシーズン中1位2位を争った2チームだけに、一進一退の好ゲームとなります。

 そして決定的なチャンスにティモシーの打順が回ってくる。これまでジョンの特訓もあって大分上達していたティモシーですが、結局、シーズン中1本もヒットを打っていない。そのティモシーに一世一代の舞台が用意されてしまったと。もう、監督のジョン、コーチのビルはもちろん、エンジェルズのチームメイト全員が祈るような気持ちでティモシーの打席を見つめます。

 と! 

 なんと奇跡のヒット! ティモシーのシーズン初ヒットは、同点となる一打となり、ゲームは振り出しに。そしてその後、勝ち越しの点を入れ、最終回を押さえたことで、エンジェルズは優勝!

 かくしてジョン・ハーディングは、エンジェルズの監督となり、またそのチームを見事優勝に導いたことで再び人生に立ち向かうだけの勇気を得、シーズン後に社長として会社に復帰。少しずつですが妻と息子を失ったことに対しても、それを受け入れることが出来るようになるんですな。そして、そういう心境になったのも、いわば、ティモシー・ノーブルという少年の、あの決してあきらめないガッツに触れたことが大きかった。

 ところが。

 再び会社人間として忙しくしていたジョンのもとに、ティモシーの主治医であるメッセンジャー氏から電話がかかって来て、話したいことがあると言われるわけ。

 で、老医師に会って話を聞いてビックリ。

 実はティモシー・ノーブル少年は、脳腫瘍のため、死期が近づいていると。

 というか、そのことは野球シーズンが始まる前から分かっていたし、ティモシー本人も分かっていた。にもかからわず、ティモシーは野球がやりたかった。一度でもいいからヒットを打ちたかった。それで、無理をしながらチームに入り、そして念願のヒットも打つことができた。ティモシーのプレイ中の動きがぎくしゃくしていたり、他のメンバーに比べて上達が遅かったのも、脳腫瘍の影響であったんですな。

 それを聞いたジョンは、矢も盾もたまらずティモシー少年の貧しい家に駆けつける。と、すでに大分状態が悪くなって、寝てばかりいたティモシーも、監督がわざわざ見舞いに来てくれたというので、嬉しくて飛び起きてしまう。そしてそれからというもの、ジョンは忙しい仕事の合間をぬって時間を見つけては、ティモシーのもとを訪れるようになる。

 が、病魔には勝てず、結局、ティモシーは間もなく亡くなると。

 でも、ティモシーは、自分の死と引き換えに、妻と子供を失って廃人のようになっていたジョン・ハーディングを立ち直らせたのであって、ドラフト会議では最終順、つまり12番目に引き当てた選手ではあったのですが、その12番目の少年こそが天使であったと。『十二番目の天使』は、そんな感じで終わります。


 どう? この話?

 感動的?

 まあ、若干、御涙頂戴的なところはありますが、一応、感動的なんだろうね。安手のハリウッド映画とかになりそうな話じゃない?

 ま、それはともかく、自己啓発本的側面としては、エミール・クーエの「毎日毎日、僕はあらゆる面で進歩している」という呪文と、チャーチルの「絶対あきらめない」というガッツ、これさえあれば人生どうにかなるよと。そういうことを、小説仕立てで主張しているわけですな。

 オグ・マンディーノの作品としては、前に『この世で一番の奇跡』という本を読んだことがあるのですが、あれよりはこっちの方が小説としてはよく出来ている、かも知れません。ただ、より小説っぽいので、注意していないと、自己啓発的側面を読み飛ばしてしまうかも。何にも知らない人がこの小説を読んで、「やっぱりこの小説のキモはエミール・クーエだな」とは思わないだろうな・・・。

 ま、そんな感じ、でしたかね・・・。


十二番目の天使 [ オグ・マンディーノ ]


 さて、週末、実家で過ごしていたワタクシ。もうね、父の死後、怒濤のように襲って来たありとあらゆる事務処理をこなし、ヘトヘトになりながら、これから名古屋に戻ります。でもまだ相続だの家の登記だの、やるべきことは山積みで、人が死ぬってことはどんだけ大変なことなんだと痛感させられる日々でございます。先が思いやられるわ〜・・・。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  July 2, 2017 06:46:33 PM
コメント(0) | コメントを書く
[教授の読書日記] カテゴリの最新記事


Calendar

Headline News

Favorite Blog

きのうきょう AZURE702さん

コスマテスク様式の… ゆりんいたりあさん

YAMAKOのアサ… YAMAKO(NAOKO)さん
まるとるっちのマル… まるとるっちさん
Professor Rokku の… Rokkuさん

Comments

釈迦楽@ Re[1]:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) ケンケンさんへ  「赤死病」ですか! …
ケンケン@ Re:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) 先生と同業の末席にいるものですが、 その…
釈迦楽@ Re[1]:「new born 荒井良二」展を堪能!(04/26) りぃー子さんへ  あああ! お久しぶり…
りぃー子@ Re:「new born 荒井良二」展を堪能!(04/26) こんにちは、迫力と湧き出る力強さ、美し…
釈迦楽@ Re[3]:クタクタの誕生日(04/09) がいとさんへ  いやいや、あの頃が僕に…

Archives


© Rakuten Group, Inc.
X