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カテゴリ:教授はつらいよ
あのさぁ・・・思うんだけど・・・日馬富士問題はもうどうでも良くない? どのテレビ局もまあ一生懸命になって取材しているけれども、よく考えてみたら、モンゴル人力士同士の単なる内輪もめでしょ。
でまた、その程度のことを必要もないのに掘り下げるもんだから、旭鷲山をはじめ、「内情を知る」人たちってのが次から次へと登場しては、知りもしないことをしゃべって小金を稼いでいるじゃないの。 そろそろテレビ各局も我に返って、本来の業務に戻ってはいかがかしら。 閑話休題。 本来の業務といえば、ワタクシもまた今日は本来の業務に戻って、一生懸命卒論の添削をしておりました。 今日添削していたのは、アメリカの絵本作家ドクター・スースについての卒論だったのですが、添削するに当たって私もウィキペディアを始め、いくつかネット上の情報を調べて、スースについてのおおまかな知識だけは蓄えておいたわけ。 で、その過程で幾つか面白い発見がありまして。 まず一つは、ドクター・スースの絵本に特徴的な韻律について。 スースは好んで「アナぺスティック・テトラミーター」という不思議な韻律を使うのよ。これは「弱・弱・強/弱・弱・強/弱・弱・強/弱・弱・強」という12音節のリズムなんですけど、もう少し具体的に言うと「タ・タ・タン、 タ・タ・タン、 タ・タ・タン、 タ・タ・タン」という感じで、3つ目の「タン」のところにアクセントが来る。 これ、エドガー・アラン・ポーの有名な「アナベル・リー」という詩で使われる韻律ね。そもそも「アナベル・リー」というヒロイン名からして「アナ・ベル・リー」で、「リー」にアクセントが来るもんね。あと、変わったところでは、ラップ・シンガーのエミネムが「The Way I AM」という曲で使っているんだとか。 これこれ! ↓ Eminem, "The Way I Am" ま、それはいいんだけど、なんでまたスースがこの特殊な韻律を使ったかと言いますと、彼が奥さんを連れてヨーロッパ旅行した時、帰りの船のエンジン音がまさにこの「タ・タ・タン、 タ・タ・タン」だったというのですな。で、このリズムが頭から離れなくなっちゃって、それでこのリズムに合うフレーズを考えていたら、「And to think that I saw it on Mulberry Street」というフレーズが思い浮んだと。 で、このフレーズを脹らませて作ったのが、『マルベリー通りのふしぎなできごと』だったのだそうで。 は、はーーーん! なるほどね、って感じでしょ? あともう一つ面白かったのは、スースが絵本を書き始めたのには、彼自身に子供が無かったからなんじゃないか、という説。 スースは1936年、33歳の時に初めて絵本を書くのですけど、実はこの同じ年、妻のヘレンが妊娠できない体質だということが判明するわけ。 で、スース自身は「人は子供をつくるけど、僕は子供を楽しませるんだ~」とか言って、気にしていない風を装っていたようですけど、その一方、彼は1939年に「Infantograph」という特殊な写真機の開発に携わっているのね。 で、この「インファントグラフ」ってのは何かと言いますと、両親の顔を合成して、二人の間に出来る子供の顔を予測する、という機械なんですな。そんなところを見ると、やっぱりスースとしては、もし自分に子供がいたら、どんな顔になっていたのかな~、なんてことを考えることがあったに違いない。ちょっと切ないね。 だけど、『不思議の国のアリス』を書いたルイス・キャロル、『かいじゅうたちのいるところ』を書いたモーリス・センダック、『ピーター・ラビット』の原作者ビアトリクス・ポター等々、児童文学の傑作を書いた人の中に、自分自身の子供を持たなかった人って多いんですよね。 つまり、子供を持つことへの憧れのようなものが、人をして優れた児童文学を書かせるのではないかと。逆に、本物の子供を持ってしまったら、それを育てるのが大変過ぎて、とても憧れなんて抱いていられないんでしょうけれども。 そういうことも含めて、自身に子供がなかったスースが、児童文学の道に進むってのは、何となく分かるような気がするなと。 ま、卒論の添削をしながら、そんなことをつらつら考えていた今日のワタクシなのでありました、とさ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 24, 2017 10:20:24 PM
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