|
カテゴリ:教授の読書日記
ハーレクインを代表する作家の一人と言ってもいいアン・メイザーの『楽園の秘め事』(原題:Innocent Virgin, Wild Surrennder, 2010)を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。
このところ2000年代、いや2010年代のハーレクインを立て続けに読んでいて、なるほどと思ったんですけど、最近のハーレクインのパターンというのが見えてきましたね。 最近のハーレクインのヒロイン像ってのは、ハッキリ言って割と高齢です。高齢って言っちゃアレだけど、昔みたいに「19歳」とか、そういうのじゃないのね。大体28歳から30過ぎ。で、体格的には大柄。で、バストもボリューミー。で、人目を惹くべっぴんさん。昔のヒロインはもっと地味だったような気がするけどね。 だけど、いまだに変わらないのは、たとえ30歳でも処女っていう。そこは変らない。今回読んだ『楽園の秘め事』のヒロイン、レイチェルもまさに30歳で処女。仕事は地元紙のしがない記者。そういう職業の設定も、昔ながらかな。 それから、単なる印象かもしれないけど、ヒロインの名前は、妙に「R」音で始まることが多いような気がする。 で、そんなイギリス人のレイチェルが、なぜカリブ海の島に一人旅だつことになったかと言いますと、父親に頼まれて、出奔した母親を連れ戻すため。定年を迎えた夫に飽きた母親が、昔の恋人とよりを戻そうと、南の島に行っちゃったのね。 この時点で酷い話ですよね・・・。っていうか、どうしてレイチェルの父親は自分で行かなかったんだろう?って話でもあるんですが。 とにかくレイチェルが島に行ってみると、この島の唯一のホテルの経営者であり、実質的に島全体のオーナーでもあるマット・ブロディという男がいて、どうやら母親はこの男の恋人だったらしい。その場合、随分年下の恋人ということになってしまうのだけど、本当にレイチェルの母親は、こんな若いツバメに入れあげたのか?? とにかく、なにしろ島にはホテルは一つしかないわけで、レイチェルはマットのホテルに泊まることになるのですが、なにせレイチェルの名字がクレイボーンで、母親サラと同じ(母親が夫の名字を名乗っているのだとしたら)なわけですから、マットはすぐにレイチェルの正体を見抜きます。で、どんな女か探ろうとレイチェルと接触するわけですが、そこはそれ、ハーレクインの定石で、二人は会ったとたん、皮肉の言い合いですぐに喧嘩沙汰になってしまう。 だけど、そうでありながら、もうレイチェルはマットの肉体的圧力というか魅力に屈し、彼が近くにいるだけでもうメロメロ(そんなことって、あるの?)。 で、この先はマットとレイチェルの言い合いと喧嘩と、それにも拘らずマットがいきなりレイチェルを抱き寄せ、「欲望の高まり」をこわばらせたりする一方、レイチェルも方でもすぐに「胸の頂」を固くしたりして、何なの一体?っていう展開が続きます。 で、まあ、そんな具合ですから、いずれマットはレイチェルの初めての男になります。むろん、マットとしてはレイチェルの30歳だし、当然、数々の遍歴があるのかと思っていたので、初めての証を見た時にはものすごく後悔したりするんですが。 で、この後、ストーリー的にはすごい人間関係が明らかになってきます。 それによると、まずレイチェルの母親のサラは、16歳の時にマットの父親、ジェイコブと恋に落ち、赤ん坊を産みます。それがマットね。だから、実はマットとサラは恋人同士ではなく、息子と母親の関係だったと。 だけど、さすがに若すぎて育てられないので、マットのことはほっぽらかしてイギリスに戻り、やがて19歳だったラルフと結婚する。一方、ジェイコブはジェイコブでダイアナという女性と結婚する。 だけど、サラ的には自分が一度は捨てた息子マットのことが忘れがたく、何度か彼に会いに行った揚句、今回、夫ラルフを捨てて島に渡っちゃったと。酷い話! で、サラが出奔したので、ラルフは大ショックかと思いきや、サラの妹のローラがすぐに後釜に入ったので、実は全然不自由してないのね。酷い話だよね! でもまあ、とにかくサラはもう夫のラルフのことなんかどうでもいいので、この島で息子マットを独り占めして暮らしたいと思っている。そこへ、娘のレイチェルが迎えに来たものだから、もう娘が邪魔で邪魔で、レイチェルに対して「さっさと帰れ!」みたいなことを言う。 で、そんな状況の中、レイチェルはマットと結ばれちゃうじゃない? ということは・・・ そう、マットとレイチェルは、兄と妹の関係なのに、肉体関係を持っちゃった! で、それを知ったレイチェルは、マットを忘れるために逃げるようにイギリスに戻ってきてしまう。 ところが。 実は、レイチェルは知らなかったんだけど、彼女はラルフとサラの娘じゃなかったのね。ラルフの方に原因があって、夫婦は子供が作れなかったので、幼い時にレイチェルを養女にしたのでした。 だから、レイチェルとマットは、実は近親○○じゃなかったのね。ホッ・・・。 そのことを知っていたサラは、しかし、それをレイチェルに告げなかったのは、もちろん、レイチェルをイギリスに追い返すための手段だったわけで。 で、サラの策略でレイチェルが傷ついてイギリスに逃げ帰ったことを知ったマットは、イギリスまでレイチェルを探しにやってきます。 で、出会った途端、またがっつり結ばれて。それで求婚。 で、二人の結婚式には、ジェイコブとダイアナ夫妻はもちろん、なぜかヨリを戻した(よく戻せたな・・・)ラルフとサラ夫妻も参加して、なごやかに(よくなごやかにできたな・・・)執り行われましたとさ。 ・・・ってな話。 サイテーな話じゃないかい? まあ、こういうのが、今は女性に受けるんですかねえ・・・。よく分からんな・・・。 楽園の秘め事 【電子書籍】[ アン・メイザー ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 12, 2019 05:10:27 PM
コメント(0) | コメントを書く
[教授の読書日記] カテゴリの最新記事
|
|