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釈迦楽

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April 17, 2019
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カテゴリ:教授の読書日記
光田秀著『眠れる預言者 エドガー・ケイシー』という本を読了しましたので、心覚えをつけておきましょう。

 ところで、エドガー・ケイシーという人、ご存じ? この人、1877年生まれで1945年没の人なんですが、一種の超能力者なのね。

 この人、割とパッとしない少年時代を過ごし、パッとしない保険外交員か何かを職業として選んだんですけど、ある時、失語症にかかるんですな。保険外交員で声が出ないんじゃ、仕事にならない。で、困っていたら、催眠療法で直してやるよっていう人が現れまして。

 で、催眠術かけてもらったら、これがまた実によくかかる。

 で、かかるばかりじゃなくて、催眠にかかったケイシーは、自分の病状を的確に把握していて、その治療法も診断したというのですな。で、じゃあ、自分で自分を治療してみなさいと、催眠状態のケイシーに暗示をかけたら、その通りにして、なんとあっさり失語症が治ったと。

 まあ、一種の奇跡ですわな。

 で、こりゃすごいってんで、この分だと、ひょっとして他人の病気も治せるかな?ということになり、またまたケイシーを催眠術をかけて、別な病人連れてきたら、その眠れるケイシーはその病人のどこが悪いのか、治療法はどうすればいいかといったことをまたまた的確に教示したと。

 つまり、ケイシーってのは「眠りの小五郎」みたいなもんで、眠ったまま事件解決! な人なわけですよ。

 じゃ、ケイシーはどういう風にして自分や他人の病気を治しちゃうかといいますと、彼はですね、「アカシック・レコード」という、人類のあらゆる事々を記録したものにアクセスするらしいんですな。で、そこに病人の前世からの記録が全部残っているから、それを読み取れば、なんでその人がその病気になったかもわかるし、これからどうすればいいかもわかると。

 で、アカシック・レコードを読み取る、というところから、ケイシーの秘跡は「リーディング」と呼ばれます。

 ちなみにそのアカシック・レコードによれば、ケイシー本人も前世でギリシャ時代の化学者だったことがあるので、病気の治療なんてものはお手のものだったんですな。

 で、まあ初めのうちはケイシーの活動は病人の治療をもっぱらにしていたらしいのですが、そのうち、アカシック・レコードにアクセスできるのなら、別に病気のことじゃなくて、人生における指針とか、そういうのもできるんじゃね? ということになって、病気の治療(=フィジカル・リーディング)だけでなく、人生のお悩み相談(=ライフ・リーディング)とか、夢解釈とか、霊的アドバイスとか、ビジネス上のアドバイスとか、そういうのも引き受けるようになっちゃったと。

 それから、ケイシーは予言もできちゃいます。例えば第1次世界大戦の時、ケイシーの息子も兵役に取られて、出征前に同じく兵役にとられた友達と出征前パーティーをやったそうなんですが、そこに参加したケイシーが、段々暗い顔になってきて、やがて退室してしまった。

 で、息子がケイシーに、「どうしたの?」って尋ねたら、「だって、パーティに参加した連中の中で3人、戦死するのが見えたんだもん」と。実際、この時ケイシーが指摘した3人は、戦死したそうです。ケイシーにはそういうのも見えちゃうのね。

 はーい、ここまでの段階で、多くの人が「うっそ~!」って思うよね。

 でも、ケイシーのリーディングの正確さというのは半端じゃないそうで、例えばある人のアカシック・レコードにアクセスしてその人のことを占った後、また10年くらいしてから、同じ人がケイシーのリーディングを頼んだら、前とほぼ同じリーディング結果が出た。見ず知らずの何千人という人のリーディングをしていても、同一人物のリーディングに一貫性があったということは、やっぱりケイシーは同じアカシック・レコードの記録を読んでいたとしか思えないと。

 で、そんなケイシーによれば、前世ってのはあるらしいんですな。今、地球上に存在している人間の大半はそれこそもう何十回も生まれ変わりを経験している。

 で、今、自分が悩んでいることがあったとして、それはほぼ確実に前世の影響、すなわち「カルマ」が引き起こしている現象であると。

 たとえば今、人から見下され、劣等コンプレックスに悩んでいる人がいるとするじゃん? それはですね、多分、前世では逆に優等意識が高くて、他人を見下したり、出来の悪い人をあざ笑ったりしたことがあるのよ。そのカルマが巡ってきて、今度は自分が見下される立場になったと。そうやって前世でやらかしちまったことのツケを、今、払う立場になっているわけ。

 さて、もしケイシーの言うように、この宇宙がそういう仕組みで出来ているとしたら、皆さんはそのことについてどう思われます?

 これは本書の著者の光田氏も言っていることなんですが、この「カルマ」という考え方は、それこそ人類にとって福音であると。

 それは確かにそうなので、もしそういうことであるならば、今の苦しみの原因は自分にある、ということがはっきりしますからね。だから、我慢できるじゃん? 自分のせいなんだから、人を恨んでも仕方がないですからね。

 これ、もしカルマを信じなかったら、苦しいですよ。いつまでも「なんでこうなんだ!!」って悩み続けなくてはならないわけだし。そして、その挙句に人を恨んだりしてね。でも、もし人を恨んだり、あるいはその結果、人に危害を加えたりしたら、またそこでカルマが生まれて、次に生まれ変わった時にまたそのツケを自分が払わなければならなくなる。

 だから、カルマを信じ、自分の代でそのカルマを終わらせるように行動すれば、少なくとも次に生まれ変わった時に得をするんだと信じれば、この世の悩みなんて終わってしまう。

 そういう可能性があるんだ、ということを、ケイシーの存在が教えてくれるわけですね。考えてみれば、すごいことでありまして。

 あ、あとね、例えばピアノの才能の無い人が、人生の晩年になってピアノの練習をする、なんてことがあるとするじゃん? それ、普通は時間の無駄、と思いますよね。しかし、カルマを信じれば、今、ここでピアノの練習をすることで、次に生まれ変わった時に、すごいピアノの才能の持ち主として生まれ変わることが出来る可能性が高いんですな。
 
 そう考えると、老人がたどたどしいピアノの練習をすることにもちゃんと意味が出てくる。そしてこれは一つの例であって、このような考え方をするならば、人生に無駄なことなんか一つもない、ということになるわけですよ。

 素晴らしくない? カルマを信じるって。

 ちなみに本書の著者の光田氏も、若い頃、自殺を考えるほど人生に悩んでいたこともあったそうですが、ケイシーのことを知ってから、生きる意味を見い出したそうです。それで、ケイシーのことを日本に伝える使命に燃えて、日本エドガー・ケイシー協会の会長さんみたいなことをやっておられるそうですが。

 確かに、ケイシーの存在が前世の存在の証となり、前世の存在の証が、人間の生きる意味を保証するのであれば、これは人類にとっての福音ですな。

 ま、本書を読むと、そういうことを考えさせられます。

 あ、それから、ケイシーが解説したこの世の始まりというのもすごく面白いです。

 それによると、まだ時間も空間もなかった頃、神(Universal Force)だけがあったと。

 で、その神が自分自身を認識し始め、また仲間を欲するようになった。そしてみなぎる力をバーンと放出し、宇宙が出来たと。その時に神の体の一部として霊も飛び出していったんですな。

 で、その霊も最初の内はあまり意識を持ってなかったのですが、そのうち、霊も目覚めるようになり、それが次第に出来上がりつつあった物質世界の中に降ったと。で、地球にも1億3千万くらいの霊が降ったんだそうで。

 で、そのうちにその霊たちは神から独立した自意識を芽生えさせ、好奇心を覚えて自由意志を持ったと。で、地上の動物たちが生殖活動をするのを見ながら、「俺たちもああいうのやってみたい」と思ったと。それで、自分勝手に自分の想念で動物を作っちゃった。それが世界各地の神話に残るドラゴンとか、ケンタウロスとか、そういう魔物ですな。

 で、最初はそうやって想念から動物を作っていたんですけど、そのうちに霊が、自分の作った動物(=肉体)の中に入り込んでしまい(ケイシーの用語ですと entanglement が生じ)、出て来られなくなると共に、霊としての意識も失ってしまうようになった。これは、あきらかに想定外の出来事であったんですな。

 で、それを見ていた霊が、動物と化した仲間の霊を救うべく、地上に降り立ち、その動物たちに進化を促した。そうやって動物は進化し、やがて人となるわけ。進化論でも、サルが急に進化する時代ってあったでしょ? あれは霊の介入があったからだったんですな。ちなみに、この最初の霊の救済に駆け付けた霊こそが、イエス・キリストであったと。
 
 だから、救済の最終段階は、ケイシーの言葉を借りれば、「Be yourself and yet one with ALL」、すなわち、「人間がそれぞれ個々の人間でありながら、かつ大いなる宇宙全体(=神)と一体になること」だと。

 ・・・とまあ、ここでケイシーの言説は、巷の自己啓発言説、とりわけ「引き寄せ系」の自己啓発言説と重なってくるわけよ。人間は宇宙の一部であって、世界の万物とつながっている、的な。

 でも、ケイシーの創世説って、なかなかよくできていますよね。ビッグバン理論も、進化論(とりわけ、なぜ急にサルが人に進化できたのか、という辺り)も、みんな吸収しちゃうんだから。それを、本人はさしたる学力もなく、ただ眠っているうちにアカシック・レコードを読むことによって伝えちゃうっていうね。

 まあ、色々ビックリよ。

 私はこれまでエドガー・ケイシーのことをまったく知らなかったんですが、知ってみると、まあ、沢山関連書があること。特にニューソートの歴史を語る上で欠かせない人だ、ということはとりあえず分かったので、もうちょいあれこれ読んで、ケイシーの立ち位置をはっきりさせる必要はありそうです。興味のある方は是非!



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Last updated  April 17, 2019 04:23:54 PM
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ジェシカ@ Re[1]:オコナーの未完の小説(09/05) 釈迦楽さんへ ご返信ありがとうございま…
釈迦楽@ Re:オコナーの未完の小説(09/05) ジェシカさんへ  未完のものとして、『C…
釈迦楽@ Re[1]:恐ろしいほどの退歩(09/05) よびなみさんへ  あの奇想天外な数え方…
ジェシカ@ オコナーの未完の小説 すみません、話はずれるのですが、Jessica…
よびなみ@ Re:恐ろしいほどの退歩(09/05) 本題からは外れた感想になってしまいます…

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