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テーマ:暮らしを楽しむ(388605)
カテゴリ:思わず納得!
NHKに『ドキュメント72時間』という番組があるの、ご存じ? 私も毎週必ず見るってほどではないのですが、たまに見ると、これがまた良い番組でね。
で、今日もこの番組の再放送をお昼にやっていたのを見たのですが、今回もすごく良かった。 この番組、72時間(つまり3日間)に亘ってカメラをある場所に据え、定点観測的にその場所にやってくる人々を取材するという趣旨のものなんですが、今回は長崎県の五島列島のある島のフェリー乗り場を定点観測したんですな。 で、島と本土を結ぶフェリー乗り場だから、もう、そこは「別れ」の場所なわけよ。 例えば父親の仕事の関係で本土の中学校に進学することになった小学校6年生の女の子を、一人の男の子が見送るというシチュエーションがある。この女の子と男の子は小学校の剣道部に所属したライバル同士。 男の子は最初、あまり剣道に熱が入ってなかったのですが、この剣道の上手な女の子がクラブに入ってきたことによって俄然、剣道が好きになり、互いに切磋琢磨して市の大会で優勝するほどになった。で、当然、中学に進学してからも剣道部に入って・・・と思っていたら、女の子の方が本土に行ってしまうことに。 だから、彼は友達より先にフェリー乗り場に来て、彼女にお礼とお別れの言葉を言いたかったんですな。だけど、そこはそれ、年頃の男女ですから、なかなか言葉が掛けられない。そのうちに他の剣道部員やクラスメートも見送りに来てしまって、結局、大勢の見送り人の一人になっちゃった。 でも、去りゆく船に向ってその男の子は大声で何かを叫ぶ。後で「なんて言ったの?」と尋ねると、「色々な思いを込めて、ありがとう、と」と答えておりました。切ないねえ。 あるいは白髪の老人が一人フェリーの切符を買っている。本土にいる子供さんに花見に呼ばれたのだと。 で、「奥さまは?」と問うと、18年前に亡くなったのだとのこと。この男性は元大工で、カトリック教徒。奥様もカトリックだったんですって。 で、「18年前って、ハッキリ覚えていらっしゃるんですね」と問うと、「今も毎日、話しかけているから」と。奥様が生きていれば、昨年、銀婚式だったそうで。 お子さんたちは、この老人を本土に呼び寄せたいようでしたが、老人は「妻の墓が島にあるので、離れられない」とのこと。 そうかと思うと、夜遅く、もう出航する船もない待合室で、一人の老人がテレビを見ている。聞けば、奥さんも亡くなり、子供もいなかったので、今は一人ぼっち。島に帰って死のうと思って島に戻ったけれども、一人はことの他寂しいと。そうして、毎日ここへ来て、無為な時間を過ごしているのだとか。 一方、ある50代くらいの男性は、これから本土に居る家族の元に行くというのですが、彼は前に奥さんと離婚しているんですな。だけど、その別れた奥さんともう一度再婚したと。再婚を促したのは、二人のお子さんたちだったそうで。今はまだ別居しているようですが、今回は娘さんの大学の入学式に出るために家族と合流するようで。 で、彼によれば、離婚していた時期があるから、家族のことがより深く分かったとのこと。いつも一緒に居れば当たり前になってしまって見えなくなることも、別れてみるとそのありがたみが分かるようになる。そう言って彼は、間もなく家族に会える楽しみを胸に秘めて船に乗っておりました。 その他、5年間の勤務を経て自衛隊を辞め、他の職に就くために島を離れる若者が、自衛隊時代の同僚から見送られるシーン。彼は自分を180度変えるために自衛隊に入ってみたけれども、結局、体力が付いただけだったと言って自衛隊を去ったのですが、今、同僚に見送られながら船上の人となってみると、泣けて泣けて仕方がない。その泣きぬれている彼を見送る元同僚たちが、「(いざ別れるとなると)ああなるのかな・・・」なんて、少し感銘を受けながら、笑顔で見送っている姿もすごく良かった。 ・・・とまあ、島のフェリー乗り場に来る様々な人たちの、それぞれのドラマが一瞬だけ切り取られるのですけど、それを見ていると、人が生きていくってのはこういうもんかなあ、っていうね、しみじみとした感慨がある。私も思わず、引き込まれて見てしまいました。 ほんと、こういう番組を作らせると、NHKってのはいい仕事するよね。 というわけで、『ドキュメント72時間』、教授の熱烈おすすめ!です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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