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カテゴリ:教授はつらいよ
うちの大学の事務から連絡があって、神奈川県にある某国立大学から私に何か連絡があると。
で、何かと思ったら、「あなたが毎年送付してくれる紀要ですが、今後、もう送ってこなくていいです」というお断りの連絡でした。 はーーん。あっそー。そーですかそーですか。 分かりましたよ! もう2度と送るかっ! まあね、向こうの事情も分からなくはないですよ。どこの大学図書館も蔵書が増えすぎて一杯一杯。寄贈図書・雑誌を登録するのだって人手がいるし、もう、大概の紀要はネット上で見られる時代なんだから、紙媒体の実物を送ってこなくてよござんす、っていうことなんでしょ。 でも、一生懸命論文書いて、編集して、版下作って、印刷所と交渉して、完成した紀要を袋詰めして、日本中の大学に送るまでを一手に引き受けているワタクシからすると、手塩にかけたものを「いらないよ、こんなもん」と突き返されたような気がして、いい気分ではないよね。いらないなら、向こうで勝手に捨ててくれればいいのにとも思う。 ま、送るのも骨だし、郵送代がいらなくなるでしょ、っていうことで、向こうとしては善意なんだろうけどね。 しかし、この調子だと、どこの大学でも紙の紀要が無くなっちゃうんじゃないかと思うのだけど、いいのかね、それで? 私は紙に印刷された文字を読みたいけどね。 今年に入って、トマス・アクィナスの『神学大全』とか、『ハイデッガー全集』の出版で有名な創文社が潰れて、それがあまりにももったいないということで、同社の文化的遺産たる出版物を、東大出版会などが引き継いだそうですけど、こういうのもそのうち、「ネットで読めれば、どの出版社もつぶれて良き」ということになるのかな。 「もう紀要は送ってこなくていいです」っていう連絡をする図書館員の方は、本来、本の守り手であるべき自分が、それにもかかわらず、今、紙媒体の絶滅に加担しているんだっていう意識を、少なくともちょっとは持ってもらいたいもんですなあ・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 7, 2020 07:26:00 PM
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