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カテゴリ:教授の映画談義
昨夜、アマゾン・プライムでサム・メンデスの戦争映画『1917』を観ました。以下、ネタバレ注意ということで。
ま、戦争映画って、悲しく悲惨な話になることが多いので、さほど好んでは観ない方なのですが、この映画に関しては、ほとんどカット割り無しの、まるで最初から最後までワンカットのような編集で撮られているというのが話題でしたので、そのあたりのことも含めて興味があったんですな。で、プライムで観られるなら、観ちゃおうかなと。 粗筋は、きわめてシンプルでありまして、敵のドイツ軍の退却に乗じ、致命的な攻撃を仕掛けようとしている友軍に対し、「これはドイツ軍の罠だから、攻撃を中止せよ」という伝令を伝えるため、二人の若い兵士が中立地帯を抜け、さらに撤退した(はずの)敵陣を通り抜けた先に駐留している1600名の兵隊たちの元に向かう、そのミッションを最初から最後まで写す、というもの。伝令に出た二人のうちの一人は、自分の兄がその1600名の友軍の一人であり、兄の命を救うためにも絶対にこのミッションを果たさなければならないというところがある、というのも見どころの一つとなっております。 で、ただ単に伝令がメッセージを伝えに行くだけという、きわめてシンプルなミッションだからこそ、ワンカット・ノンストップという特殊な演出が効果を発揮するわけですが、もちろん、シンプルとはいえ危険なミッションではあるわけで、途中、二人の伝令には、様々な艱難辛苦が待っている。 そういう艱難辛苦を通過して、一つの仕事をやり遂げるとなると、当然、それがそのまま、若者たちの通過儀礼というか、成長譚となっていくわけでありまして、実際そうなんですけど、なにせ戦争映画ですから、その通過儀礼・成長譚は、「何かを得ていく」過程というよりは、むしろ「多くのものを失っていく」過程となる。そのやるせなさがね、要するに戦争の無意味さ・不条理さの言い替えになるわけですな。また、そうした不条理を越えて、それでもなお若者は何かを得る、というところもあって、そこが人間の強さの表現にもなっていると。 というわけで、なかなか見せる映画ではありました。一見の価値はあると思います。でも、近年の印象的な戦争映画としては、やっぱり私は『ダンケルク』の方が好きかな。 ![]() 1917 命をかけた伝令【Blu-ray】 [ ジョージ・マッケイ ] お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 5, 2021 01:43:36 PM
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