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釈迦楽

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February 23, 2022
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カテゴリ:教授の映画談義
今日は祝日。でも外は寒いし、何か家で出来る娯楽はと考えて、録りためてあった映画を観ることにしました。今日観たのはウェス・アンダーソン監督の2014年の作、『グランド・ブダペスト・ホテル』。

 タイトルもあんまり興味を引くほどのこともないし、あまり期待しないで観始めたのですが、まあ、これがまたビックリするくらい面白い作品でありまして。以下、ネタバレ注意です。

 架空の国の話なんですが、場所的には東欧という設定で、そのため、大戦争の度にファシスト国家に領土を侵され、時代に翻弄される(なんか、いつの話なんですかね?)んですが、その国の端っこの方にあって、かつては豪華ホテルとしてヨーロッパの一流の人士たちの社交の場となっていたものの、今では落ちぶれて、廃墟になりかけているホテル、それが本作の舞台となる「グランド・ブダペスト・ホテル」なんですな。

 そんなホテルに、一人の作家が泊まりに来る。で、たまたまそのホテルのオーナー(その名も「ゼロ」)と知り合いになった彼は、ゼロがいかにしてこのホテルのオーナーになったかの、長い長い物語を聴かせてもらうことになると。

 実はゼロは、戦争で国を追われたインド系の移民で、元々、このホテルのロビー・ボーイだったんですな。ロビー・ボーイというのは、要するに一番の下っ端。しかし、あることがきっかけでホテルを切り盛りしていたコンシェルジュの目に留まり、彼の指導の下でホテル・マン修行が始まるわけ。

 ところが、この名門ホテルの顧客(実はコンシェルジュの愛人でもある)にして大富豪の貴婦人が突然亡くなるんですな。で、その知らせを受けたコンシェルジュはその葬儀に参列するのですが、そこで彼は貴婦人からある名画の遺贈を受ける。もちろん、遺族の反対は目に見えているので、彼はその絵を同行したゼロと共に盗み出し、ブダペスト・ホテルに逃げ帰ります。

 もちろん、その後、警察がホテルにやってきて、コンシェルジュは逮捕されるのですが、その容疑は絵画の盗難ではなく、なんと貴婦人殺しだった。そう、遺族(特にドラ息子)の陰謀で、彼は殺人犯に仕立てられてしまったわけ。しかも、彼は殺し屋を雇って、関係者を次々に殺害。遺産の独り占めを目論んでいる。

 で、コンシェルジュは投獄されるのですが、ゼロとゼロの恋人のケーキ職人の娘の協力、それにコンシェルジュが刑務所で培ったムショ仲間の助け合いを使って、彼は見事脱獄に成功! コンシェルジュは、例の名画をブラックマーケットで売って、弟子のゼロとゼロの恋人の3人で連れ立ってどこか外国に高跳びしようとするんですな。しかし遺産の独り占めを目論むドラ息子(財産に物を言わせて、今はナチスのSSを想起させるような軍隊特別部隊を率いる将校のようになっている)がコンシェルジュの逃亡を察知し、グランド・ブダペスト・ホテルを軍の宿泊所として接収し、脱獄したコンシェルジュが名画を取り戻しに来るのを待ち構えているんですな。しかも、彼の雇った例の腕利きの殺し屋も、コンシェルジュをしつこくつけ狙っている。

 さて、コンシェルジュと弟子のゼロ、そしてゼロの恋人は、無事、絵を取り戻せるのか? そして名門グランド・ブダペスト・ホテルの運命は??

 ・・・というようなお話。

 もちろん、全体としてはおとぎ話的なコメディではあるのですが、その中に喜怒哀楽、悪と正義、師と弟子の友情、若い恋人二人の純粋、そういうものが詰め込まれていて、面白いったらない。特にコンシェルジュの造形の面白さ。しかも、彼以外でも、本作の中で重要な役柄を担うのが驚くほどの名優ばかり。ええ、この俳優が、この役?! というような驚きが満載。そしてウェス・アンダーソン映画の特質というべき色彩の鮮やかさとテンポの良さ。そして全体にかかわる映像センスの良さ。私は同じウェス・アンダーソン監督の『ロイヤル・テネンバウム』はあまり評価しないんですが、『グランド・・・』は、すごくいいと思います。

 いやはや、この映画を観たおかげで、今日はいい祝日らしいいい日となりました。この映画、教授の熱烈おすすめ!です。


これこれ!
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Last updated  February 23, 2022 05:31:19 PM
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釈迦楽@ Re[1]:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) ケンケンさんへ  「赤死病」ですか! …
ケンケン@ Re:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) 先生と同業の末席にいるものですが、 その…
釈迦楽@ Re[1]:「new born 荒井良二」展を堪能!(04/26) りぃー子さんへ  あああ! お久しぶり…
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