|
テーマ:今日の出来事(292837)
カテゴリ:教授の追悼記
宝田明さんが亡くなりました。享年87。
私が物心ついた時から存在していた俳優さんですなあ。でも、子供の頃の私の宝田さんに対する印象と言うのは・・・悪いものではなかったけれども、決していいものではなかった。何と言うか、顔の造作といい、立派な体格といい、よく通る美声といい、あまりにも常人離れしていてインチキ臭いというか、そういうイメージ。要するに、華やかなプレイボーイを見た時のような感じで、どうもこの人は信用できないな、という感じを常に持っていた。名前からしたって、「宝」に「明」でしょ。「これは明らかにお宝だ!」なんて、なんだかパチモンのダイヤとか真珠とかを売っているインチキ商人みたいな感じじゃないの。 そういう、若干マイナスなイメージが払拭されたのは、大学時代。ゼミの仲間と一緒に、この人が出たお芝居を観に行ったことがありまして。 何というお芝居だったかは忘れてしまいましたが、あるいはミュージカルだったか・・・とにかく、若手の俳優さんが中心の劇だった。で、いかにも若手俳優たちによる・・・学芸会にちょっと毛が生えたような、青臭い劇だったのよ。 ところが、最後の方でいきなり宝田明登場! そうしたらね、もう、劇が一変したというか。ガタイの大きな、声のでかい、存在感アリアリの宝田明が登場した瞬間に、素人劇がお金の取れるプロの劇になったのよ。もうね、間近で見た生身の宝田明のド迫力!! 劇は一瞬にして引き締まり、観客の目はその中心にいる宝田明に釘付け。 まあ、あの瞬間、私は「宝田明ってすごいんだ」ということを理解しました。もう、若手俳優たちとはオーラが違う。 そして、後には、あのお日様の下ばっかり歩いてきたような派手で陽気な見た目とは裏腹に子供の頃は大陸で苦労されたこと、そしてその自らの体験を基に反戦運動を続けて来られたことなども知るようになり、ますます高感度アップ! そんな日本を代表する名俳優、宝田明さんが、文字通り急逝されたと知り、私はまた一つ、昭和の灯が消えたという感を強くしているのでございます。 学生時代の私に強烈な印象を残した偉大なるステージ・キャラクター、宝田明さんのご冥福をお祈りいたします。合掌。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 19, 2022 01:28:11 PM
コメント(0) | コメントを書く
[教授の追悼記] カテゴリの最新記事
|
|