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釈迦楽

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July 17, 2022
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カテゴリ:教授の追悼記
自動車評論家の三本和彦さんが亡くなられました。享年90。

 三本さんと言えば、神奈川のtvkで長年放送していた『新車情報』。クルマ好きとして人後に落ちない私も、学生時代からずっと見ておりました。自動車の新型を紹介するテレビ番組と言えば、当時『新車情報』(後継番組『クルマで行こう!』)と『カーグラTV』の二種類しかなかったですしね。今も基本、そうだけど。

 とはいえ、『カーグラTV』と『新車情報』では大分趣が異なる。『カーグラ』の方は御大・小林彰太郎氏の趣味で統一されていたので、番組の構成はいつもスタイリッシュ。扱うクルマも外国製の高級車とか趣味性の高いクルマ、そしてその紹介の仕方も科学的な計測法に基づいていて、0ー400メートル何秒とか、時速100キロ到達まで何秒とか、100キロからのフルブレーキングで何メートルで止まれるかとか、そういう感じだった。

 ところが対する『新車情報』はどうかと言えば、「シートに座った時、頭の上にこぶしがいくつ入るか」とか、「地べたからシートまでの高さやトランクの広さを『不躾棒』で計るとどのくらいか」とか、そういう感じでしたからね。科学的な数値というよりは、人間の身体感覚を基準にクルマを「測定」していた。

 また『カーグラ』は、クルマの性能計測をするのに「JARI」のテストコースとかに持ち込むのだけど、『新車情報』の場合は、「いつもの山坂道に持って参りました」だからね。「いつもの山坂道」って・・・。でも、普通の人間がクルマで走るのは、JARIのコースではなく、いつもの山坂道に決まっているんだから、その意味でも三本さんはあくまでも人間の、それも庶民の、感覚でクルマを計っていたと言えるでありましょう。

 でまた『新車情報』の魅力は、新車を持ち込んだメーカーの担当者に対し、三本さんが「ここがダメだ」とか、「あそこがダメだ」とか、忖度なく「不躾」に注文を付けるところ。決して大メーカーへのお追従番組にはしないところが画期的だった。

 庶民にとってクルマは高い買い物。そして当時の庶民にとってクルマは「夢」の買物。だから、絶対に「買って後悔した」ということにしてはいけない。そういう思いが、三本和彦氏の辛口で不躾な自動車評論の根底にはありました。

 今、クルマのニューモデルの紹介は、テレビ番組よりもむしろ YouTube などの動画の方が盛んで、そういうところで「モータージャーナリスト」を自称する人たちが色々やってはおりますが、彼らがクルマを評する時、基準となるのは当該のモータージャーナリスト個人の評価軸だからね。職業柄、年がら年中、国内外の新車(高級車を含む)にチョイノリ試乗している、その経験を基に「これ、欲しい!」とか、そういう感じ。

 ま、私もそういう動画を観ますし、それはそれで楽しいのだけれど、彼らが新車を紹介するのと、三本和彦が『新車情報』において新車を紹介するのでは、スタンスが全然違う。三本さんは「社会正義」のためにそれをやっていたけれど、今のモータージャーナリストにそういう感覚はないでしょう。時代が違うと言われれば、その通りなのだけれども。

 だけど、私くらいの年代のクルマ好きからすると、やっぱり往年の三本和彦氏の自動車評論は信頼できるものでありました。

 実際、私にしたって、三本さんのクルマ評が今でも頭に残っているもんね。例えば「いすゞのエンジンはぶん回しに強い」とか三本さんが言うのを聞いて私はジェミニを買い、「ホンダのびっくり箱」という名言を聞いて「5気筒エンジン縦置きのFF」というびっくり箱(意味不明とも言う)のビガーを買ったものでした。もちろん、買った理由はそれだけではないけどね。

 あと、「クルマのボディーは泥だらけだっていいけど、四方の窓ガラスだけはいつもきれいにしておいた方がいい。運転では視界の確保が最重要だから。なに、クルマの中にボロ雑巾一枚入れておきゃいいんですよ」なんてことも、三本さん、よく言ってたなあ。

 まあ、とにかく、往年のクルマ好きからすると、三本和彦氏の御面相、あの鬼瓦みたいなぶっとい眉毛の、いかにも「不躾」な、いかにも一家言ありげな、御面相が懐かしい。

 自動車評論の在り方として一つの型を作り上げた、一本筋の通った自動車評論家、三本和彦氏のご冥福をお祈りいたします。合掌。



三本和彦、ニッポンの自動車を叱る 大辛口ジャーナリストの自動車業界救済処方箋 [ 三本和彦 ]





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Last updated  July 17, 2022 12:41:34 PM
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ケンケン@ Re:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) 先生と同業の末席にいるものですが、 その…
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