6050984 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

教授のおすすめ!セレクトショップ

教授のおすすめ!セレクトショップ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

釈迦楽

釈迦楽

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

Shopping List

お買いものレビューがまだ書かれていません。
May 19, 2023
XML
カテゴリ:教授の読書日記
廊下の拭き掃除って、朝と夕方でやり方が異なるって知ってました?

 ほれ、あの、クラウチングスタートみたいな恰好で廊下の端から端まで縦にダーって拭く、アレが廊下の拭き掃除だと思っているでしょ。ところが実はあれ、朝の拭き方なんですって。
 
 朝の掃除ではまずはたきをかける。だから細かい塵が廊下にも落ちているから、クラウチングスタート方式でいいのだけど、これが夕方の掃除となると、今度は雑巾を持った手を左右に大きく振りながら、後ずさりしながら拭くんですって。これが昭和の家の掃除の常識。・・・と、平岩弓枝が言っていたそうです。

 そういうの、もう、分からなくなっているよね・・・。

 で、そういう常識がまだ辛うじて生きていた昭和40年代のあれやこれやを書いているのが、鴨下信一の『ユリ・ゲラーがやってきた』という本。あんまりヒマだから読んじゃった。

これこれ!
 ↓

【中古】ユリ・ゲラ-がやってきた 40年代の昭和 /文藝春秋/鴨下信一(新書)


 この本、昭和40年代の日本の文化事情を論じた本なんですけど、昭和30年代くらいまでは、まだ戦後特有の明るさがあったものの、そのエネルギーが尽きた昭和40年代は、経済的な豊かさが確立された反面、文化的には不安と暗さがバーッと広がった時代であると。

 その背景としては、大家族が崩壊して核家族へ、そして個人へという風に、組織が崩壊し、バラバラな個人の時代になっていったということがまず一つ。またそれまでは存在した社会規範が崩れ、社会のたがが外れてしまったということもある。そして安心できる大集団がなくなり、バラバラになった個人が、それでも連帯を求めて小集団をつくると、そこにカルトができ、カルトの求心力としてのアイコンが生まれる。昭和40年代は、アイコンが生まれた時代でもあると。

 とまあ、これが大雑把な時代背景で、この見立てに従って個々の文化事象を見ていくと、確かにそういうところはある。

 実際、不安と暗さの時代だった、という目で40年代を振り返ると、確かにこの時期、陰惨な事件が多いんですよね。連合赤軍とか大久保清とか。またオカルト(ユリ・ゲラーやノストラダムス)とポルノ(日活)の時代でもあったり。歌謡曲なんかでも、暗い歌詞のものが増えるし、「おらは死んじまっただ」みたいに、暗い内容のものを茶化すようなものも出てきたり。

 映画は、洋画は話題作が次々に出たけど、邦画は全滅。その中で、気を吐いたのがヤクザ映画だったり。しかし、そのヤクザ映画の様式美も、いわば失われた規範への郷愁のようなものであって、やがて廃れていく。代わって出てくるのが、大集団には受けないATG系の映画だったり。

 テレビ業界ではこの時期、ホームドラマが花盛りなんですが、一つの家庭を描くことで、一見、社会問題を排除しているように見えながら、実はホームドラマこそその時々の時事ネタがぶち込まれていた、なんてことも、本書を読んで知りました。嫁姑問題なんてのは、その一例なんだとか。

 あとね、ホームドラマというのは、細部を見ると結構、不思議な世界だったりする。40年代はサラリーマンの時代のはずなのに、ホームドラマで描かれる家庭は、個人営業の家庭ばかり、とか。しかも初期には大家族が描かれるけど、そのうちにどこかに欠落のある家族、例えば大黒柱たる父の不在(「ありがとう」とか「細腕繁盛記」とか)が顕著になってくるとか。

 あと、ホームドラマというのは、この時期万能で、例えば『8時だよ、全員集合!』なんかも、考えて見ればいかりや長介を父親とし、残りのメンバーを息子たちとみなした家族劇だと。あとこの頃に生まれた「ニュース番組」なんかも、キャスターを父親とする家族劇になっている、なんていう見立てはなかなか面白かった。

 とまあ、私は40年代に子供時代を過したはずなのに、色々知らないことが沢山あって、分からない事が出てくる度に、ネット検索したりしながら、面白く読むことが出来た次第。

 学者が書いた本ではないので、理路整然と書いてあるわけではないけれど、細かく拾っていくと収穫の多い本ではあります。この時代に興味がある方には、教授のおすすめ!です。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  May 19, 2023 11:29:45 PM
コメント(0) | コメントを書く
[教授の読書日記] カテゴリの最新記事


Calendar

Headline News

Favorite Blog

きのうきょう New! AZURE702さん

コスマテスク様式の… ゆりんいたりあさん

YAMAKOのアサ… YAMAKO(NAOKO)さん
まるとるっちのマル… まるとるっちさん
Professor Rokku の… Rokkuさん

Comments

釈迦楽@ Re[1]:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) ケンケンさんへ  「赤死病」ですか! …
ケンケン@ Re:想像ふくらむ、理想のアメリカ短編小説集(06/26) 先生と同業の末席にいるものですが、 その…
釈迦楽@ Re[1]:「new born 荒井良二」展を堪能!(04/26) りぃー子さんへ  あああ! お久しぶり…
りぃー子@ Re:「new born 荒井良二」展を堪能!(04/26) こんにちは、迫力と湧き出る力強さ、美し…
釈迦楽@ Re[3]:クタクタの誕生日(04/09) がいとさんへ  いやいや、あの頃が僕に…

Archives


© Rakuten Group, Inc.
X