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カテゴリ:教授の読書日記
老人向け自己啓発本シリーズで、外山滋比古さんの『老いの練習帳』なる本を読みました。
外山滋比古さんと言えば『思考の整理学』がベストセラーとしてつとに有名ですが、この『老いの練習帳』を出版した時、外山さんは御年95! とはいえ、本書は外山さん95歳の時の書下ろしということではなく、大昔に女性誌に連載した短いエッセイの中から「老いの練習帳」というタイトルに外れないものを厳選して編纂したという代物。 ですから、この本を読んでいると、『練習帳』とは言い条、自己啓発的な側面はあまりなくて、単なる老人の日常茶飯事を描いたエッセイっていう感じです。 たとえば冒頭近くにある「虫」についてのエッセイを見てみると、最初、外山さんのご自宅の庭の木に毛虫がたかる、という話があり、だから定期的に殺虫剤を噴霧器で撒くのだけれども、そうやって虫を退治すると、ちょっと気分がよろしい、ということが書いてある。 で、その話を継ぐように、人間にも虫がいるという話題に飛び、昔は回虫などが珍しくなかったという話から、その他にも「ふさぎの虫」「腹の虫」のようなものもあるよね、となって、そういう心の虫を退治すれば、楽天的になっていいものなんだろうな、と考えているうちに、害虫退治の噴霧器がちょうど空になった、と結ぶ、みたいな。 何コレ? うまいところに話が落ちました、みたいな? まあ、本書に書かれているエッセイって、たいがい、そんな感じですわ。心にうつりゆくよしなしごとを綴った、現代版『徒然草』みたいなものと言えばほめ過ぎでしょうか。 こういうのは、誰が買うんでしょうかね? 外山先生に教わったお茶の水女子大の卒業生とかが、「先生、お元気かな~」みたいな感じで、生存確認のために買ったのかしら。 というわけで、エッセイとして面白くないわけではないけれど、読んだからとてどうなるものでもない、老人日誌みたいな本だったのでした。少なくとも、いわゆる「自己啓発本」の範疇には入りませんな。 新書723 老いの練習帳 [ 外山滋比古 ] でも、こういうのを読むと、老人向け自己啓発本というのは、沢山あるけど、実は一冊もない、というのが実情なのかもね。だったら、私がそういうのを書くというのも、あり得るのかもしれません。私だったら、もう少し実のあるものを書けるよ。本当の意味での自己啓発的な奴をね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 4, 2024 02:48:48 PM
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