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カテゴリ:マンガ
サンデーで最も長く連載された(15年)マンガである「Major」が最終回を迎えるらしい。
野球をあまり真剣にやらなかった私は野球マンガ(に限らずスポーツを題材としたマンガの大半)の醍醐味がよく分からないのでまともに読めたためしがないのだが、スポーツマンガの面白さというのは大きく分けると「ありえない大技を楽しむ」ことと「勝負(あるいは人間関係)のかけひきを楽しむ」ことの二つに集約されるのだと思う。 もちろん、どちらか片方だけ扱えばいいという性格のものではないのだが、やりすぎると「アストロ球団」や「侍ジャイアンツ」のように試合中のように試合中に死者が出てしまう事態に発展してしまう。まぁこれは少年マンガに特有の「もっと過激に!」という性格もあるのだろうが。漫画太郎の「地獄甲子園」はこうしたスポ魂の滑稽さを高いオリジナリティで昇華している。 「かけひきのおもしろさ」でいえば木多康明の「喧嘩商売」が圧倒的で、単行本化の際に加筆されるボリュームといいリリースのペースといい、作家のテンションの高さが伝わる名作だ。ちなみに野球マンガではないが、スポーツマンガ界最大の異端はなんと言っても「キャプテン翼」で知られる高橋陽一だろう。「フィールドが広すぎる」「キャラクターが高く飛びすぎる」などの不自然さはマンガという虚構の世界(エンターテイメント)として必要だったのかもしれないが、「努力・友情・勝利」というジャンプの大原則を守りつつ、明るくてポジティブで「網膜剥離」(ロベルト本郷)「心臓病」(三杉)「親が放浪の画家で転校してばかり」(岬)とドラマチックな要素も、なんだか翼の「恵まれている感じ」と彼らとの関係において「神聖な存在であることを再確認させる」引き立て役にしか見えないのだ。まぁ三杉なんかは少女マンガ的な「美少年」像の引用と捉えると深いように思えなくもないが、高橋先生は天然なので微塵もそんな意識はないような気がする(ただ、その分かくキャラクターに対する愛情は他のどのマンガ家よりも深そうだ)。「タッチ」がスポ魂を殺した80年代に、あれだけ純粋にスポーツマンガを好きなように描いていた作家というだけでも奇跡なのに、30年経っても全く変わらない(変わったのは成長によってキャラクターの顔が異様に小さくなったことぐらいか)というのも奇跡である。マンガの舞台が静岡とはいえ、葛飾区は「こち亀」よりも彼を評価すべきかもしれない。 話を「Major」に戻すと、個人的には「島耕作」シリーズのように、「コーチ編」「監督編」と年齢を重ねるたびにそのポジション出続けてほしかった。野茂が活躍する以前から「日本人メジャーリーガー」を描き、「野球のワールドカップ」という題材でWBCさえ予言した実績から、野球を広い視野から伝え続けられる気がするのだがどうだろう? 「週刊少年サンデー」は無理でも、「ビッグコミック」なら可能だったはずだ。読者の成長に合わせ、途中で「ヤングサンデー」に移籍していたらよかったのかもしれない。商業的にはこれほど成功しなかっただろうが。 ところで、時期的に触れなければならないと思ったので触れるのだがワールドカップで日本が負けてしまった。勝っても負けてもどうでもいいのだが、そういう人が肩身の狭い思いをする風潮はどうにかならないものか。ディズニー映画に関心がなかったり、東方神起の名前を家なかったりするのは日常生活に支障がないが、深夜でも相当な視聴率をかせぐほど、「日本人なら興味をもつべき」出来事なのである。いいじゃないか、別に。「国威発揚」とか何とか言わないからさ(2002年の大会の時は、右翼ブームと重なったこともあってこういう意見も多かったと記憶している)。 純粋にサッカーファンの方には申し訳ないのだが、全く興味のない私にとっては「さっさと負けてしまった方が話題にならなくて助かる」のだ。「けしからん」と思うのはごもっともだが、それこそミクロレベルで危険思想に向かいかねないのでは? 【送料無料選択可!】shoegazer of happy valley e.p. / cruyff in the bedroom サッカーファンならとりあえずこのバンドは知っておいて下さい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.07.01 00:22:17
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