依田健吾のセックス、いいちこ、ロックンロール

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• ヤマシタ君

  僕は友達が少ない。別にライトノベルの話ではなくて、現実にそうなのだ。「友達」と呼べる人間は１０人にも満たないだろう。あるいは、社会人とはそういうものなのかもしれないが、Facebookなど見ているとみんな楽しそうだな、とは思うけれど（でもそんなに羨ましくないのはなぜだろうか）。さて、そんな数少ない友人の中に、ヤマシタケンタロウというアーティストがいる。大学一年の時に知り合って、もう２０年近くの付き合いになる。一緒にノイズバンドをやったりどうしようもないことを話して笑ったり、とにかく友人の中でもトップ３に入る存在（残りの二人は小学校の時の友達ともう一人のバンド仲間）だ。そんな彼が目下精力的に更新しているブログ、「紙の束」をご紹介したい。ヤマシタケンタロウ「紙の束」彼は普段サラリーマンをしながら、時折詩集やマンガを自主制作し発表している。おかしくもあり、かなしくもあり、とにかくロマンチックなのだ。ほとんど誰にも見てもらえない（という意味のことをブログで読んだ）、ということなので、この場を借りて激プッシュさせてもらおうと思う。ちなみに、最近の彼のマンガで一番好きなのはこちら。「ペンギン」彼は作品を「（自分自身の）セラピー」と言うが、このまま継続すればいつか正当に評価されるように思う。というか、そう信じたい。

  2014.06.19

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• orz

  また、間違えて日記を消してしまった・・・。内容はオタク文化に関する考察。そこそこ気合を入れただけに残念である。ハイテクというのは非情なのだ。気が向いたらまた書こうと思う。そしてその内容は今日消してしまったものと全く違うものになるだろう。もう少し飲んで寝る

  2010.08.29

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  オレオレ詐欺

  サンデーで最も長く連載された（15年）マンガである「Major」が最終回を迎えるらしい。野球をあまり真剣にやらなかった私は野球マンガ（に限らずスポーツを題材としたマンガの大半）の醍醐味がよく分からないのでまともに読めたためしがないのだが、スポーツマンガの面白さというのは大きく分けると「ありえない大技を楽しむ」ことと「勝負（あるいは人間関係）のかけひきを楽しむ」ことの二つに集約されるのだと思う。もちろん、どちらか片方だけ扱えばいいという性格のものではないのだが、やりすぎると「アストロ球団」や「侍ジャイアンツ」のように試合中のように試合中に死者が出てしまう事態に発展してしまう。まぁこれは少年マンガに特有の「もっと過激に！」という性格もあるのだろうが。漫画太郎の「地獄甲子園」はこうしたスポ魂の滑稽さを高いオリジナリティで昇華している。「かけひきのおもしろさ」でいえば木多康明の「喧嘩商売」が圧倒的で、単行本化の際に加筆されるボリュームといいリリースのペースといい、作家のテンションの高さが伝わる名作だ。ちなみに野球マンガではないが、スポーツマンガ界最大の異端はなんと言っても「キャプテン翼」で知られる高橋陽一だろう。「フィールドが広すぎる」「キャラクターが高く飛びすぎる」などの不自然さはマンガという虚構の世界（エンターテイメント）として必要だったのかもしれないが、「努力・友情・勝利」というジャンプの大原則を守りつつ、明るくてポジティブで「網膜剥離」（ロベルト本郷）「心臓病」（三杉）「親が放浪の画家で転校してばかり」（岬）とドラマチックな要素も、なんだか翼の「恵まれている感じ」と彼らとの関係において「神聖な存在であることを再確認させる」引き立て役にしか見えないのだ。まぁ三杉なんかは少女マンガ的な「美少年」像の引用と捉えると深いように思えなくもないが、高橋先生は天然なので微塵もそんな意識はないような気がする（ただ、その分かくキャラクターに対する愛情は他のどのマンガ家よりも深そうだ）。「タッチ」がスポ魂を殺した80年代に、あれだけ純粋にスポーツマンガを好きなように描いていた作家というだけでも奇跡なのに、30年経っても全く変わらない（変わったのは成長によってキャラクターの顔が異様に小さくなったことぐらいか）というのも奇跡である。マンガの舞台が静岡とはいえ、葛飾区は「こち亀」よりも彼を評価すべきかもしれない。話を「Major」に戻すと、個人的には「島耕作」シリーズのように、「コーチ編」「監督編」と年齢を重ねるたびにそのポジション出続けてほしかった。野茂が活躍する以前から「日本人メジャーリーガー」を描き、「野球のワールドカップ」という題材でWBCさえ予言した実績から、野球を広い視野から伝え続けられる気がするのだがどうだろう？「週刊少年サンデー」は無理でも、「ビッグコミック」なら可能だったはずだ。読者の成長に合わせ、途中で「ヤングサンデー」に移籍していたらよかったのかもしれない。商業的にはこれほど成功しなかっただろうが。ところで、時期的に触れなければならないと思ったので触れるのだがワールドカップで日本が負けてしまった。勝っても負けてもどうでもいいのだが、そういう人が肩身の狭い思いをする風潮はどうにかならないものか。ディズニー映画に関心がなかったり、東方神起の名前を家なかったりするのは日常生活に支障がないが、深夜でも相当な視聴率をかせぐほど、「日本人なら興味をもつべき」出来事なのである。いいじゃないか、別に。「国威発揚」とか何とか言わないからさ（2002年の大会の時は、右翼ブームと重なったこともあってこういう意見も多かったと記憶している）。純粋にサッカーファンの方には申し訳ないのだが、全く興味のない私にとっては「さっさと負けてしまった方が話題にならなくて助かる」のだ。「けしからん」と思うのはごもっともだが、それこそミクロレベルで危険思想に向かいかねないのでは？【送料無料選択可！】shoegazer of happy valley e.p. / cruyff in the bedroomサッカーファンならとりあえずこのバンドは知っておいて下さい

  2010.06.30

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  努力、友情、勝利

  「週刊ヤングジャンプ」に異変が起きている。ご存知少年向けコミック誌の王道「週刊少年ジャンプ」を卒業した層向けである（と考えるのが妥当である）本誌であるが、「努力・友情・勝利」の大人バージョンともいうべき作品群から、ルサンチマンを強く感じさせる作品が目立ってきているのだ。現在発売中の2010年第28号で6回目を迎える「馬鹿者のすべて」（村岡ユウ）。コンビニで店長を務める主人公は、恋人との別れやアルバイトの死をきっかけに、高校時代自分をいじめていたボクシングのチャンピオンに当時巻き上げられた5万円を返してもらうため、ジムの門を叩く。「いじめられっ子」と「ボクシング」は「はじめの一歩」でも用いられた構図だし、社会的弱者がスポーツでのし上がるという図式は何も「あしたのジョー」でなくともマンチェスターあたりの労働者なんか今でも当たり前に夢見ているストーリーだ。だが、本作が決定的に異質なのは、主人公が熱い心を秘めながらも「何となく」28歳まで生きてきたことにあるだろう。プロになるにはあまりにも遅い年齢だ。映画化された「ボーイズ・オン・ザ・ラン」と同じと言えば同じだが、「あこがれのあの子」もいなければ物語の序盤からいいことが一つもないし、あるのはいい過去と暗い過去だけ。いずれにしても何も持っていない。部下であるアルバイトの死（店舗での強盗事件が原因）をきっかけに店長からアルバイトに降格させられるし、これだけ密度が濃くてどれだけ続いていくのかいささか不安ではあるが（作者は初の週刊連載ということだ。技術的に「伏線がどう」とかいう余裕がないのかも）、どうなるか気になる作品ではある。もう一つ、強烈なインパクトを残す作品として、27号から始まった「日々ロック」（榎屋克優）を挙げたい。ストーリーはモテなくて（やっぱりいじめられっ子で）な主人公が音楽を通じて伝説を・・・といった使い古されたものだし、絵も稚拙なのだけど、なぜか気になってしまう「華」があると言ったらいいすぎか。強いて難点を挙げるならば、ひっそりととはいえ、いじめられっ子である主人公がたった一人でステージに立ち続ける、ということに違和感を感じずにいられないのだが（そういうタイプはやりたいことがあっても出来るだけ目立たないように押し殺すものだと思う）、何しろ彼は5年後に伝説になる男らしいので「それでもやらずにいられない」のだろう。とにかく作者もまだ若いみたいなので期待したい。ジャンプの第一次黄金期を築いた「キャプテン翼」（高橋陽一は良くも悪くも本当に脳天気な作品を描き続けている）、何度も連載が繰り返され、そのたびにドラマ化される「サラリーマン金太郎」（個人的に本宮ひろ志の一貫した「男気」は小学生の頃から好きだが）といった連載陣の中で、新人がこれだけのインパクトを与えるというのは過去になかったのではないだろうか。それも同時期に二本も。今の「ヤングジャンプ」の読者は、おそらく「ドラゴンボール」「スラムダンク」といった第二次黄金期の終わりと「ワンピース」以降の復活期を両方知っている世代がメインであろう。「就職氷河期以降」といったところか。なんとなく「はじめから」あきらめムードが漂っている世の中に順応しつつ（順応出来なかった人間も多いだろうが）、「やっぱりそうじゃない」とどこかで感じているに違いない。と言うと大げさかもしれないし、この二作品が続かなかったらその読みも間違いかもしれない。だが、私はこの「ヤングジャンプ」の変化に期待せずにいられないのである。50％OFF池田夏希 Horizon 【新品】今週号の表紙のこの人が妙に色っぽいのもいいコントラストになっています

  2010.06.13

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  デトロイト・ロック・シティ

  飲みすぎてつい居眠りをしてしまい、ネットオークションの終了時間に間に合わず廃盤となった「DENIME」の66モデル（デッドストック）を手に入れ損ねたり（定価より若干安く終わっていました）、もはやファッション業界では伝説となっている書籍「アラン・フラッサーの正統服装論」を格安で手に入れたり、ヒノヤの割引券の期限が近かったので楽天で欲しいものを検索して買いに行ったら自分のサイズだけ取り寄せになってしまい結局お金だけ払って手ぶらで帰ったり（モノはあるので後日取りに行く予定）と、週末は何かと「買った、買わない」が予想外に動いていた。株をやっている人はこういうことで一喜一憂するのだろう。趣味に時間をかけたい人間（お金は必要だが、探したり調べたり眺めたりというプロセスも楽しみの要素なので、資金調達に時間を割けない）である私は一生貧しいのではなかろうか。まぁどうでもいいが。さて、そんな感じで出かけた場所といえば上野（アメ横）ぐらいなものだが、新しく出来た古本屋さんで「デトロイト・メタル・シティ」の新刊が出ていて購入。連載終了がヤフーのトップニュースになったほど大ヒットしたので、今更説明する必要もないだろうが（でも単行本の発売後二ヶ月近く気付かないとは、その後の失速ぶりが窺える。どこの書店にもアナウンスのポップがなかったような）。「デトロイト・メタル・シティ」は文科系男子とデスメタルのギャップが魅力的なわけだが、その細部には渋谷系世代である作者のこだわりが詰まっている。先日私が手に入れた第9巻でも、主人公が「カローラ2」に乗る、という正直に言って「それはオシャレじゃないだろう」なネタ（コマーシャルソングを小沢健二、カジヒデキが手がけていた）があるのだが、「渋谷系ミュージシャンとカローラ2の関わりと、急速に大衆化されていくカルチャー」という下敷き（そのベタさの「イタい」ところがミソ）があって初めて本当に面白い、というプロセスが必要なあたり、やはりギャグとしては相当にハードルが高い。一時期は某巨大掲示板サイトにも「元ネタ検証」のスレッドがあったようだが、この「深さ」について行くことが困難だったからこそ、急速に飽きられてしまったのだろう。渋谷系によってジャズやボサノヴァ、ヒップ・ホップがお茶の間に流れ込み、「なんだかオシャレだよねー」なんて人々が言い出す頃には小沢健二も小山田圭吾も求道的になっていったのと似た図式である（関係ないけど「ヴィレッジ・ヴァンガード」でJ-POPをボサノヴァで歌っているCDの醜悪さは見事としか言いようがない）。そんな本作で最もしゃれた渋谷系の引用は、（何巻だったかは忘れたが）主人公が片思いの女性と一緒に見に行くライヴのバンドが「アルミニウム・チューンズ」という名前であることだ。これは昨年活動休止を発表した音響系バンド「ステレオラブ」のレア音源集のタイトルから来ている。日本限定でアナログ3枚組＋Tシャツのボックスセットが発売され、発売日の朝に町田の「タハラ」に買いに行ったのはいい思い出である。ちなみに開店直後に行って品出し準備のカートから奪い取ってレジに行ったらまだPOSにデータが入っていなくて随分待たされた。「何色が入っているかは開けてのお楽しみ」なTシャツは25枚しかない茶色で、「ラッキー」という気持ちと「茶色いTシャツなんて着れないよ」という気持ちが複雑にからんだのをよく覚えている。その翌年発売された「ミルキーナイト」のキャンペーンでもTシャツが当たったのだがやはりジャケットを模した茶色いTシャツで、私にとってのステレオラブはすっかり「茶色」のイメージになってしまった。このTシャツはLサイズだったのでどうにも着ることが出来ず、アルバム発売直後の来日公演で会場近くの「無印良品」で買い物するメンバーにサインをもらうことに成功し、しかも最前列を確保出来たのにメンバーに見せることが出来なかったのが残念である。ま、いい思い出ってやつだ。話がそれてしまったが、世の中の様々な出来事はリンクしているんだよな、ということをこの数日間久しぶりに感じた。ブルー・ハーツでパンクと出会い、オリジナルを探求する中でモッズに傾倒しなければ、アラン・フラッサーの書籍に手を出すこともなかったんだよなぁ、としみじみ思う。アマ○ンで4万円の値がついているみたいだけど（購入価格は3000円）、手放しませんよCHESWICK チェスウィック　S/S T-SHIRT　『ENGVALL EAGLES』　CH74953　≪新商品！≫こいつを購入。

  2010.06.07

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  こちら美浜区海浜公園前幕張

  世の中で最も寿命の短い職業とは、もしかしたらギャグマンガの作家ではないか、と最近思っている。当たればデカい、というのがマンガ家なのだが、ことギャグマンガというジャンルは作家の消耗が激しい分野だと思うのだ。アイドルなんかも旬は短いようだが、年齢を重ねたら重ねたで需要が途切れない。だが作家は自分の内面から出るアイデアで商売するため、枯渇したら終わり、というシビアな面を持っているのだ。これはどんな作家にも言えることだが、「ギャグマンガ」と限定した場合とたんに現実味を帯びてくる。マンガにせよ音楽家にせよ、仕事を選ばなければ本来どうにでもなるのだが、「ギャグ」というジャンルだけはそうはいかないようである。かつて雑誌「クイック・ジャパン」で連載され、後に単行本化された「消えた漫画家」（太田出版）でインタビューを受けていた「マカロニほうれん荘」の鴨川つばめは「ギャグを生み出すことによる体力の限界」を原因とはっきり述べているが、「読者に飽きられない新鮮なギャグ」なんていうのは青春真っ只中のロック同様、若い時の一瞬の輝きのような価値が全てなのかもしれない。ギャグ作家が生き延びる方法には二つあると考えられる。一つは「マンネリ化を恐れずに自分のスタイルを貫く」ことだ。「こち亀」の秋本治はラモーンズの曲のように「金太郎飴」的な内容でもはや「『サザエさん』や『コボちゃん』のような新聞のマンガ並に当たり前にそこにある」という状態だし、「伝染るんです」（このタイトル、若い子には意味が分からないだろうな）の吉田戦車や「ピューと吹く！ジャガー」のうすた京介やおおひなたごうは相変わらずだし、もっと言うと田中圭一なんてサラリーマンをしながら下品なマンガを20年以上描き続けて、しかもあとがきに毎回のように「またお下劣になってしまった」と言い訳を繰り返すし、という状態である。だがこれらの作家が読者に飽きられているかといえばまったくそのようなことはなく、彼らの「定型」が唯一無二のものだからこそ、だ。「こち亀」は時代を的確に捉える意欲を失っていないし（スタッフが優秀なのかもしれないが）、吉田戦車は「スポーツ」「恋愛」とカテゴリーを固定した上で挑戦を続けている。田中圭一の模写力に至ってはそれだけで一つの芸として完成されていて目を見張るものがあるではないか。そして、「東大一直線」「おぼっちゃまくん」が大ヒットした小林よしのりも、基本的には路線を変えていない。世の中の「右翼ブーム」を牽引した「ゴーマニズム宣言」は一見社会派の作品で、それまでのギャグ作品と異なるようだが、「ゴー宣」以降の小林が何を表現しているかというと結局は「エンターテイメントとしての思想」であり、子供にうけるギャグを生み出せない年齢になった代償として、自身が身をもって主人公＝エンターテイナーとなっているのである。極端な思想、及びその主張はもはやギャグの領域だ（無論批判したり右傾化をからかっているのではない）。彼はある意味ギャグマンガ家の鑑だ。「こち亀」第一巻に巻末コメントを寄せた男だけのことはある。ギャグ作家のもう一つの生き方は、思い切って作風を変えることだ。「行け！稲中卓球部」で一世を風靡した古谷実は、徐々に人間の内面を追求する方向に向かって第一線で活躍し続けているし、「幕張」でうすた京介とギャグの二大巨頭を築いた木田康明は講談社に移籍した後編集部に翻弄されながらも心理的なトリックを利用した格闘マンガ「喧嘩商売」で成功した（単行本化に伴う加筆のギャグセンスは相変わらずだ）。彼らに共通しているのは、当時から「単に飛び道具的にギャグを使う」のではなく、人間をよく観察し、心理的に共感出来るギャグを描いていたことにある（特に古谷の「稲中」に登場する、「いかにもいじめられそうな」脇役の描写は秀逸だ）。人間をよく観察し、「笑ってはいけないけれど笑ってしまう」ような場面をギャグとして描いていたように思う。そういう意味では、彼らにとって「ギャグマンガ」というのは必ずしも必然ではなかったのかもしれない。ここまで書いて思い出したが、そういえば鳥山明も「ギャグマンガ」に分類される作家だった。「ドラゴンボール」も初期の頃は「Dr.スランプ」の延長線上にあったが、メカに関する豊富な知識からか世界観が広がったことによってギャグにとどまらなくなったのだろう。鳥島氏をはじめとする編集者の能力も大きそうだが。あ、「キン肉マン」も最初はギャグマンガだったな「次はもっと過激に！」と求められる、「紅白における小林幸子の衣装」のような状況にあるギャグマンガ界だが、つぶれてしまう原因は最終的には作家のストイックさにあるような気がする。不幸なギャグマンガ家の代表といえば、「コージ苑」「かってにシロクマ」が大ヒットした相原コージだ。「コージ苑」の時点で彼の観察眼や表現力が完成されてしまったがために、90年代に入ってからは泣かず飛ばずで、読者を置いて行く形で実験を繰り返して消えていってしまった。若いスタッフでも使って時代の空気を利用しながら「コージ苑」の路線を続けていれば吉田戦車くらいの地位は保てただろうが、同じことを続けることに納得出来なかったのだろう。2000年代に入って「スピリッツ」で（まるでお情けのように）掲載された連載「何がオモロイの？」はそんな彼の生真面目さが空回りしていて、読んでいて痛々しかった。このようにギャグマンガの作家は「常に死と隣り合わせ」のような状態なのだ。「ストップ！ひばりくん」を絶頂期に突然やめてしまった江口寿司（本作は個人的にこの「当たり前に続きそうな」終わり方がベストだったと思っている）なんかは日本の週刊マンガ雑誌のシステムに異を唱え、その後「ロッキング・オン」なんかでチョロチョロ作品を発表した後は「マンガを描かないマンガ家」という特殊な地位を得ているが、要するに単に「面白い」以上の才能がなければやっていけない分野なのかもしれない。原作をつけるわけにもいかず、また若手が手っ取り早く（一読者としてはそういう印象がある）成功しようと多数参入してくる分野である。常々「日本のマンガはレベルが高すぎて、過去をなぞるだけである程度のクオリティを保ててしまう」ことに疑問を感じている私であるが、何のことはない、ギャグマンガの世界は既にそうしたことに厳しい状況が20年以上続いているのだった。【中古】　 ◆ コージ苑 全3版 相原コージ 全巻 完結

  2010.05.12

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  独立大阪漫人集団

  ブックオフの105円コーナーでまとめ買いした「嗚呼！　花の応援団」を一気読みした。70年代らしいパワーあふれるギャグに、笑いはしないが楽しませてもらった。バロン吉元の「高校四年」も大学時代に偶然手にして最近ようやくネットで全巻揃えたのだが、モラトリアム期にある学生、それも少々落ちこぼれに分類される層というのは、高度経済成長期に置いていかれた都市の裏側の風景とよくマッチする。「体制/大衆」のコントラストにおいて美しいというか、大都市の吹き溜まりの「ひたむきさ」がよく現れる格好のモチーフだと思うのだ。私が最も好きな映像作品は（リアルタイムではないが）かの名作「傷だらけの天使」だが、本作もそうした「変わり行く日本の景色」を絶妙に捉えた作品という点で評価している。まぁ一般的な見どころはショーケン扮する「オサムちゃん」のかっこよさと、彼を「兄貴」と慕うアキラ（水谷豊）のひたむきさなのだが、都心のマンションで優雅に暮らす「中の上」のような人々と、農村や団地でつつましく暮らす人、あるいは場末の飲み屋のママなど「中流って何？」みたいな人や風景が映像資料としても貴重だ。さて、二度映画化された「嗚呼　花の応援団」だが、作者は本作で有名になった「どおくまん」だ。「どおくまん（独漫）」をリーダーとする大阪芸大で結成された四人によるユニットで、今で言えば「CLAMP」のような感じなのだろう。予断ではあるが掲載誌である「漫画アクション」ウィキペディアによると出版史上初の青年誌だそうで、当時は「少年マガジン」を卒業した若者の心を掴んだことだろう。かつての連載作品を見ると、「どれか好みの作品があるだろう」といわんばかりに、後に「スピリッツ」「ヤングマガジン」など細分化されていくマンガのジャンルがごった煮のように詰め込まれていて、そのカオスぶりに驚くばかりである。「文化は『いびつ』な時が一番面白い」と語っていたのはファッション誌「Asayan」でのスチャダラパーの言葉だっただろうか。とにかく、絵も洗練されていなければストーリーも予定調和的だし、そもそも「作者は本当に大学に通っていたのか」と言いたくなるような「大学らしくない」描写（応援団の理不尽な実態はよく捉えているようだが）に当時の作家、および読者の現状を感じつつも、それを補ってなお余りある底力にただ感服するばかりである。「落ちこぼれ」という言葉が死語（この言葉自体が「死語」？）となった今（大学全入時代ですから）、誰もが「そこそこに」を望みながらその一部は「下流」へと流れ、諦めと停滞のムードが支配する現代である。ギャグマンガは「シュール」「ナンセンス」が主流であるが、こうした「何だかよく分からないけど面白い」作品、それも「（単に時事ネタでない）時代の空気を背景に感じさせる」作品が出てくるともっといいな、と思った。♂バイオレンス・ギャグ/ぶんか社◆なにわ遊侠伝【1-24巻】/どおくまん

  2010.05.10

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  （今更）村上かつら「サユリ1号」を読む（文化的側面で）

  夢は酒に飲まれ、今夜も「あの時ああしていれば」と思うのである。が、それでも目先の「生活」とそれに耐えるための「ささやかな楽しみ」（私の場合酒とインターネットおよび買い物）に縛られている。DJ saves my life。でもリズムは永遠には続かないのだ。さて、先日の日記で「ミクロレベルでの『ユルい』カルチャーが若者に夢を見させた」ということを話した。そんなことを考えさせられたのは、実は一つのマンガ作品だった。村上かつら「サユリ1号」☆ポイント5倍！【中古】≪コミック≫(青年 小学)サユリ1号 1～5巻 5巻完結セット【PC家電_128P5】2002年から「ビッグコミックスピリッツ」（小学館）で連載された青春ラブコメ？みたいな作品で、当時本屋でアルバイトをしていた関係でスピリッツは毎週読んでおり、当然本作品にも触れてはいたのだがその時は何も感じなかった。たまたま古本で安く手に入れる機会があり、通勤のお供にしたところ意外にも「ぐっとくる」要素がたくさんあったのである。舞台は京都の総合大学で、主人公の直哉と知子は幼馴染みで大学も一緒、アパートの隣同士に暮らすいわば「腐れ縁」だ。就職活動を目前に控えた三年の夏、二人が所属するサークルに昨年のミズ・キャンパスであるユキが入部してくる。彼女は直哉が子供の頃から思い描いてきた理想の女性「サユリ」のイメージそのままで、直哉が入れ込むことで二人の関係が云々・・・みたいなお話だ。一般的なマンガ論で言うならば、コミュニケーション不全やモラトリアムの終わり、そうした中で揺れ動く微細な感情の表現を評価すべき作品であり、それ自体は全く間違っていないのであるが、ポップカルチャー的観点で言うならばそこに前述の「ユルい人間関係とローカルな有名人」という身近なヒーローがまさに90年代後期～ゼロ年代初期的な形で表現されていることが本作において最大の特徴となっている。直哉は自分に自信がなく、周囲の評価に一喜一憂する「典型的な大学生」なのだが、その彼が圧倒的にコンプレックスを抱く友人三沢は「クリエイト集団」でVJやイベントを行う活動を行い、地元情報誌（関西のカルチャー誌「カジカジ」がモデルと思われる）に紹介される「ローカル有名人」なのだ。少し前ならば「イベント系サークルで外部から300人人を集めた」だったり、今なら「ブログが一日○万アクセスで、アフィリエイトで会社員並に稼いでいる」となるのだろうが、この「現役大学生のデザインユニット」というポジションが90年代（実際には2002年だが）的ではないか。そして部室を「BOX」と呼び、時間があればそこに顔を出すなど（直哉は京都にいながら路面電車にも乗ったことがないという）、およそカルチャーとは無縁の学生生活を送る直哉のすぐそばにこうした若者が普通に存在している（彼らが通う大学は「マンモス総合大学」という設定なので、サークル活動も盛んなようだ）、というところがミソだ。当時は私自身がそうした学生生活を送っていなかったこともあってこうした「典型的な学生ノリ」が鼻に付いた（それだけリアルなのだろう）のだが、（他のサークルの部室で連絡ノートを見て）「この手のノートも、仲間うちで読むから面白いだけで、ヨソのサークルのを読んでもわけがわからん」（本書より）とあるように、主人公達も極めてミクロな世界でジャーゴンを駆使して生きているという前提には立っているし、そうした中で「瑣末な大事件に大騒ぎしながら、大学生活は過ぎてゆく」ことも分かっている。つまり、あくまで主人公の心理を引き出す小道具としてではあるが、2002年にはサブカルチャーがそうしたレベルまで普及していた、ということなのだ。強いて彼らがマス的である点を上げるならば、この三沢が「好きなことをするために、出来るだけ大きい会社に就職してコネを作る」と目標設定しているところであるが（それ以前あるいは周囲の人間が皆夢を追っている環境ならば、「就職」という選択肢はない）、それも夢を実現させるためのリアルな視線を感じる。新卒の就職率が底を打ち、回復するかしないかという時期の若者は90年代の半ばの学生ほどバカではなく、ゼロ年代の学生ほど現実的ではなかったようだ。実際、彼ら世代の知人は出版社に就職→大手広告代理店に転職、趣味で洋書のネット販売をしながら週末は湘南の自宅に業界関係の友人を呼んでホームパーティ、といった理想的なライフスタイルを実現している。「本当の意味で成功するのはほんの一握り」という前提があり、それを見据えているからこそ、一般レベルで実現可能な最高の環境を得ることが出来るのかもしれない。直哉、知子、ユキ、そして三沢がその後どのような人生を歩むのかは何ともいえないし重要ではない。本作の最大の功績は、陽炎のように散った「おしゃれ文化」が文字通り「モラトリアムの夢」として機能し、共有されていたことを描き出したことにある。これは当時のどんなファッション誌を読み返すよりリアルに響いてくるんじゃないかと思う。

  2010.03.29

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  俺はまだ本気出してないだけ

  街に制服の少年少女がかえってきた。そろいの狂気の記号を身につけ、二度と戻れない時間を浪費する彼らの姿に時折どうしようもなく泣きそうになるのは私だけだろうか。今や私はパリコレを逐一チェックすることもなく、出来るだけ長く着られそうなアメリカン・カジュアルの定番の服を選んで着ている。酒をはじめとする不健康な要素はウエストを押し広げ、同時に頭髪も心もとない。この状態でも、まだまだ残された時間の方が長く、あとは無様な姿をどれだけましに見せるか、ということに終始するより他はないのが現状だ。もちろん、目標とすべきかっこいい中高年がいないわけではない。ただそれは結局内面の表れでしかなく、一朝一夕にスタイルを真似ることなど不可能であることは明白だ。ならば内面を磨けばよいじゃないか、と人は簡単に言うかもしれないが、朝仕事に行っていつもと同じ事をして夜帰宅する、という生活ではなかなかそれが難しいのである。語れるような出来事もなければ胸を奪われるような事もない。どんな生活であろうと「日々是勉強」なのか？このままではダメな中年になてしまうだけである。「俺はまだ本気出してないだけ」というマンガがある。四十男がある日会社をやめ、ゼロからマンガ家を目指す、という話なのだが、非現実的でありながらも実際あってもおかしくないような絶妙なリアリティが面白く、また「明日はわが身」とどこかで思わずにいられない恐ろしさを秘めている。俺はまだ本気だしてないだけ。何度そんな言葉を口にしただろう。ならば、そんな私は本気にならないままこの年齢まできてしまったというのか？自分を偽ろうとすればするほど、現実は重くのしかかってくるのだ。結局、今日も帰宅してビールを飲んでいる。やったことといったら、このブログを更新しただけ、だ。これでいいのか、と思いつつも目の前の「疲れた」「眠い」「酒飲みたい」にはなかなか打ち勝てないのである。どうなることやら俺はまだ本気出してないだけ（1）

  2009.09.02

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  俺はまだ本気出してないだけ

  街に制服の少年少女がかえってきた。そろいの狂気の記号を身につけ、二度と戻れない時間を浪費する彼らの姿に時折どうしようもなく泣きそうになるのは私だけだろうか。今や私はパリコレを逐一チェックすることもなく、出来るだけ長く着られそうなアメリカン・カジュアルの定番の服を選んで着ている。酒をはじめとする不健康な要素はウエストを押し広げ、同時に頭髪も心もとない。この状態でも、まだまだ残された時間の方が長く、あとは無様な姿をどれだけましに見せるか、ということに終始するより他はないのが現状だ。もちろん、目標とすべきかっこいい中高年がいないわけではない。ただそれは結局内面の表れでしかなく、一朝一夕にスタイルを真似ることなど不可能であることは明白だ。ならば内面を磨けばよいじゃないか、と人は簡単に言うかもしれないが、朝仕事に行っていつもと同じ事をして夜帰宅する、という生活ではなかなかそれが難しいのである。語れるような出来事もなければ胸を奪われるような事もない。どんな生活であろうと「日々是勉強」なのか？このままではダメな中年になてしまうだけである。「俺はまだ本気出してないだけ」というマンガがある。四十男がある日会社をやめ、ゼロからマンガ家を目指す、という話なのだが、非現実的でありながらも実際あってもおかしくないような絶妙なリアリティが面白く、また「明日はわが身」とどこかで思わずにいられない恐ろしさを秘めている。俺はまだ本気だしてないだけ。何度そんな言葉を口にしただろう。ならば、そんな私は本気にならないままこの年齢まできてしまったというのか？自分を偽ろうとすればするほど、現実は重くのしかかってくるのだ。結局、今日も帰宅してビールを飲んでいる。やったことといったら、このブログを更新しただけ、だ。これでいいのか、と思いつつも目の前の「疲れた」「眠い」「酒飲みたい」にはなかなか打ち勝てないのである。どうなることやら俺はまだ本気出してないだけ（1）

  2009.09.02

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  コミック雑誌なんかいらない

  帰宅して何気なくテレビ（NHK）をつけたら、「フルハウス」の再放送をやっていた。その中で登場人物が「x-girl」のカットソーを着ていて驚いた。「フルハウス」放映時だったら、かなり初期の頃と思われる。制作スタッフにUSインディマニアでもいたのだろうか。「ビッグコミックスピリッツ」で、先週から花沢健吾の新連載が始まった。主人公は35歳のマンガ家アシスタント。なぜか自宅のセキュリティにかなり気を使っている。今後の展開が気になるところである。花沢作品といえば、弱者のルサンチマン（まんまのタイトル作品もあった）を主体とした「泣き虫ロック」的な内容が特徴であるが、これはいかにも「スピリッツ的」であると言えよう。「ヤングマガジン」が「ビーバップハイスクール」に象徴される「ヤンキー文化にいる若者のモラトリアム」をメインにしていたように、スピリッツはある種村上春樹的な「インテリのモラトリアム」を追求していたような気がするのだ。「ビーバップ」が「無期限休載」という名の連載終了後は、その拠り所を失くして暴力的描写主体に代わって行ったように、スピリッツも「ヤングサンデー」休刊に伴う改編でそうした「それなりに高学歴、でも弱者」という主体を消失してどこか迷走している印象があっただけに（その中で浅野いにおの「おやすみプンプン」は健闘していると思う）、花沢健吾の復活はスピリッツの起爆剤となる気がしてならない。大いに期待しよう。それにしても、小学館の雑誌はいい加減全体的に「いい子ちゃん」なのをやめてはどうか。学習雑誌を出版している都合なのか、スピリッツのグラビアにはパンチがない。「ヤングサンデー」もやや健全すぎたが、せめてあの位のグラビアを打ち出していかないといけないのではないか。それとも、スピリッツ読者は性に関して淡白なのか？ヤンマガ読者みたいに「グラビアで雑誌を買う」という行為は下品なのだろうか。私はその方が健康的だと思うのだが。【古本】ボーイズ・オン・ザ・ラン ［1~10続巻］　(著)花沢健吾

  2009.05.12

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  高橋ヒロシin秋葉原

  高橋ヒロシのマンガ作品が近年大変人気である。すでにキャラクターのフィギュア化もされているらしい。それを教えてくれた友人は秋葉原のホビーショップで見つけたそうだが、そこに大変違和感を感じてしまう私だ。高橋ヒロシ作品は、言うまでもなくヤンキーマンガである。「いくらなんでもこんな学校、怖すぎるだろう」という舞台である。そんな主人公のマンガのグッズが、どちらかというとナードな秋葉原という街で販売されているのだ。秋葉原に来る人というのは、そういう高橋ヒロシ作品の登場人物みたいな人に虐げられている人ではないのか。スカジャンを見ただけで、昔カツアゲされた人を思い出してしまうようなトラウマを抱えているのではないのか（これはちょっと偏見かもしれないが）。私は常々マンガ読者に対し、現実社会との折り合いをどうつけているのかを知りたいと思っている。マンガの主人公というのは大抵スポーツ万能、ないしケンカが強いといったフィジカル面でのアベレージを備えており、さらに人間的にも溌剌としている。それと対照的に、マンガを好む人ほどスポーツは苦手、ケンカもしたことがない、コミュニケーションが不得手という傾向が強い（と思う）。多くの者が、「運動部の人間が楽しく過ごしている影で教室の隅にそっと存在する」青春を過ごしていたのではないのか。むしろマンガの主人公は自分を隅に追いやるタイプである。さらに言うならば、例えば「少年ジャンプ」のような王道作品は表通りを歩く人間たちの共通言語であり、同じものを共有することなどプライドが許さないのではないのか。人間には「自分にないものをもつ人間にあこがれる」というタイプと「自分にないものをもつ人間を避ける」という二通りあると思うが、マンガ読者はみな自分にないものをもつ人間に魅かれるものなのだろうか。明るくマッチョな主人公に事故の憧れを投影するのだろうか。もしくは、教室の真ん中で楽しそうにジャンプの話をするリア充の話を小耳に挟み、「ふふん、お主らはまだまだ読み方が甘いな」とこっそりほくそ笑むことが至上の喜びなのだろうか。どちらにしても暗すぎると思うのだが。私は文科系でかつ内向的な人間なので、「スラムダンク」の登場人物よりも「あしたのジョー」のように不器用でストイックな主人公に同調している。そもそも「少年ジャンプ」の「努力・友情・勝利」の三原則を子供の頃からうさんくさいと思っていたので、「ドラゴンボール」の話題を世代の共通感覚として持ち出されることすら嫌なのである（おかげで「どうでもいい」存在だったジャンプは年々「嫌い」の方へシフトしてしまっている）。日陰者の人生を歩む文科系人間としては、どちらかというと王道マンガやヤンキーマンガに対しそういう反応を示す方が自然だと思うのだが、マンガファンたちは本当に何を考えているのだろうか。先の話に戻ると、高橋ヒロシのフィギュアコーナーは他と比べて閑散としていたそうだが（当然だ）、その商品たちの行く末がどうなるのか大変気になる。ワゴンセールで埃をかぶっているのを見て、「ふふん、スカジャン人気ねーよ」とオタクたちはニヤニヤするのだろうか。私がオタクならそう思うのだが。みんな私よりも性格が穏やかなのかもしれない。この商品は送料無料です！【漫画】高橋ヒロシセット （全55冊）【1117モバイル送料無料】

  2008.12.19

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  松本零士とダフト・パンク

  古本屋で松本零士の「聖凡人伝」を購入した。私は松本の「四畳半」シリーズが好きで集めている（文庫化されたときは知らなかったので専ら古本で）。松本の作品は「男のロマン」を一貫して追及しているが、有名な「銀河鉄道９９９」以外はあまり知られていない。これはひとえに、作者の好きな世界観をひたすら書きなぐって放り投げる性格にあると思う。四畳半ものの名作「大四畳半大物語」をはじめ、彼の作品はSFの名作「キャプテン・ハーロック」にしろ「クイーン・エメラルダス」にしろ、続けようと思えばいつまでも続くテーマである。そしてエンディングにしてもいつでも再開出来るようにオチもなく終わっているものが多い。「ええっ、これで終わっちゃうんすか！？」と突っ込みたくなる作品をいくつ読んだことか。かっこいい（またはわびしい四畳半の）ロマンある世界観をひたすら描いて、適当なところで終わり。いさぎがいいのか何なのかよく分からない。だから、きちんと物語が設定されている「９９９」以外はあまり知られていないのだろう。松本ファンになれるか否かは、「世界観に入れるかどうか」にかかっていると思うのだ。四畳半と宇宙が少しずつグラデーションでつながる松本の世界においてもう一つ重要なのは、メカマニア、もっというと「計器マニア」な点だ。オメガのスピードマスターに「９９９」モデルがあるのをご存知の方も多いと思うが、松本の宇宙船はイコールスピードマスターみたいなクロノグラフの文字盤の世界だ。自分の考えるロマンを一貫して押し付ける手法は、ある意味本宮ひろ志よりも男らしいのかもしれない。私の部屋は練馬の四畳半ではないが、どこかが「大純情くん」みたいに異世界につながっていはしないか、とちょっとだけ期待している。2000年問題で機械の身体を手に入れちゃった（と言い張る）二人《送料無料》ダフト・パンク／ディスカバリー(CD)

  2008.11.24

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