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2007.01.18
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カテゴリ:びしびし本格推理
竹本健治のデビュー作にして最高傑作であり,新本格ミステリというジャンルが興されるきっかけとなった,とまで言われる作品を読んだ。

○ストーリー
ミステリ同好会の青年たちのうちの1人が,自分たちを登場人物としたミステリを書き始める。しかし小説の中の密室殺人事件が,現実に起きてしまう。青年たちは,それぞれが知力を尽くして事件の謎を解こうとするが,事件は連続殺人事件へと発展し,現実と虚構の境目はますますと薄れていく。最期に彼らが到達した領域とは?

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日本ミステリの三大奇書は,「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」と言われており,この「匣の中の失楽」を加えて四大奇書と呼ぶこともあるという。幸いにして,最初の三作は既読なので,これで三大でも四大でも,すべて読んでいることになった。

どの作品もミステリの体裁を取りつつ,作者の趣味があふれており,読み進むうちに多重構造的な作品世界に幻惑されてしまうところが共通している。

「匣の中の失楽」も,作品作という設定を用いている時点で,枠組みを超えたメタミステリとなることが約束されたようなものだ。また「虚無への供物」を強く意識したと言われる,幻想と狂気があふれており,読者が作品中の現実と虚構を判別することは困難だ。

とは言え,場面場面では,美しく聡明な青年たちが,生き生きした会話で,物理,数学,化学,あるいは密教真言,九曜占術,詩歌,など博覧強記の知識を用いて,事件の解決へ向けて”本格”的に推理合戦を行なう。そのロジックの展開の量と面白さは,なかなか他では類を見ないもので,たった1つの作品である文学ジャンル勃興のきっかけとなったこともナットクする。

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今回,驚いたのは,この作品の読みやすさだった。有名で,フクザツな構造をした作品だと聞いていたので,京極堂作品のような,文体まで凝ったモノを想像していたのだ。

実際に読んでみると,登場人物が多すぎるのは難があるものの,1人1人の個性が,行動や会話文に満ちていて,さほど混乱はしない。適度に美少年,美少女が登場し,華がある場面も多い。そして何よりも,会話文が自然でリズムがある。

読みやすさを備え,ぺダントリィに満ち,そして大胆な構成で出来ている。ミステリとしては,未完成な部分はあるが,それさえも意図的で,とにかく圧倒される。この作品を,デビュー作で仕上げてしまった竹本健治は怖ろしい才能を持っていると思った。







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Last updated  2007.01.18 23:46:10
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