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2014.12.15
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カテゴリ:びしびし本格推理
自分たちが2人組という存在からして既に技巧派の岡嶋二人のトリッキーな連作短編ミステリーを読んだ。

○ストーリー
様々な興信所に,小さくて奇妙な依頼がされていく。依頼者は謎の女性・平林貴子。調査員たちは,ある時点まではその関連を知らなかったが,警視庁の刑事・副島がその関連に気付いた時,それぞれのピースは大きな事件を示し始める。最後に現れた犯人とは?

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「連作短編が,実はある大きな事件を扱っていた」というタイプのミステリーを読み漁っている。この作品もそうした系統の1つだ。

もちろんタイプと言っても,ゆるい”くくり”なので,全く異なる種類の作品となっているものも多い。連作短編のそれまでの謎解きが,ある大きな事件を示していた,というのが基本的なパターンだ。それ以外に,それまでの謎解きに最後に説明がつくものや,逆にそれまでの謎解きが引っくり返るものもある。また一連の謎解きから暗号のようなメッセージが浮かび上がるものもある。

ずっとそうした作品を読んできたので,ここに来てやや食傷気味かも知れない。

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この作品を読んでの,一番の感想は北森鴻の「顔のない男」と似たものだ。

連作短編で提示される取りとめのない謎を,ある刑事だけが追っていく。少しずつ謎と謎の関連が見え始め,別の真相が見え始めたと思った時・・・衝撃的な解決が示される。

意外性はもちろんあるんだけど,最初から順番に進んできた流れから外れた「斜め上」とか「後ろから不意打ち」と表現されるような結末には,作者に騙されたような,後出しじゃんけんのような,どうしてもナットクの行かない読後感が残る。

短編には魅力的な登場人物もいるのに,それが使い捨てされている印象なのも良くない。

巧みだとは思うが,それ以上ではない作品だと思った。

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「第一章 WHO?」命題:カメラのオーナーは誰?:平林貴子と名乗る女性は神山の調査事務所に現れ,あるカメラの持ち主を調べるように依頼した。神山はその人物を捜し当てるのだが,彼は・・・驚くほど順調にカメラのオーナーにたどり着く調査員。短編だけで考えると,何も謎解きがないということが驚き。

「第二章 WHERE?」命題:あるタイプのマッチを使っている喫茶店はどこに?:叔母の調査事務所を手伝う主人公の女子大生は,限られた紙マッチの情報を元に,都内にあるはずの喫茶店を探す・・・主人公の行動と推理の流れが面白いので救われている短編だ。最後に平林貴子が登場して盛り上がる。

「第三章 WHY?」命題:車が盗難されて,すぐ発見されたが後部座席が無くなっていたのは?:調査事務所の野崎は平林貴子の素朴な疑問を解くために調査を始める。盗難車が見つかった空き地にあったのは?・・・ようやく別の大きな事件が見え始める短編だけど,それにしても平林貴子の調査依頼が取りとめが無くて犯人につながるとは思えない。

「第四章 HOW?」命題:カセットテープに録音された音に潜む謎をどう読む?:調査事務所に持ち込まれたテープには重要な謎があると依頼人・平林貴子は言うのだが?・・・調査員の知子,というよりそのオジサンの稔が優秀過ぎる。2重3重に暗号化された謎?現実には解けるはずがない。短編の単体としては面白い。

「第五章 WHEN?」命題:〇〇〇はいつ帰るのか?:2人組の調査事務所に依頼されたのは,ある男を詰問することだった。それをしたことにより男は・・・大きな事件はチラチラと見え,ついに主人公の調査員までもが襲われる。けれども読者は置いてけぼりだ。

「終章 WHAT?」命題:犯人は平林貴子の部屋で何を探していたのか?:ついに副島刑事が追っていた一連の事件がつながる時が来た。だが肝心の女性・平林貴子は?・・・ついに事件の謎が解かれるけど,ちっともスッキリしないし,幸せじゃないし,出来るとも思えない。何なんだろう,このモヤモヤ感。









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Last updated  2014.12.15 22:46:44
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