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2016.04.05
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カテゴリ:びしびし本格推理
品格の高い日常ミステリーを発表し続けている北村薫の新作の連作短編集を読んだ。

○ストーリー
美希が勤めている出版社のミステリー新人賞で,「夢の風車」という作品が一次選考に残った。だが彼女が応募者に連絡をしたところ,「今年は応募していない,一昨年には送った」という怪訝な返事だった。大賞を取りそうなこの作品の行方はどうなるのか?

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北村薫は〈ベッキーさんシリーズ〉の「鷺と雪」で直木賞を受賞した。けれども僕らにとっては圧倒的に〈円紫さんシリーズ〉の印象が深い。

この作品はシリーズ化されるのかも知れないが,大枠の部分では〈円紫〉に近い味わいだ。若い女性が日常の謎を物知りの男性に解いてもらう,という枠組みでは同一だ。けれども2人の関係が同門の未婚の男女というのと,親子というのでは,全く緊張感が異なる。

表紙イラストの益田ミリは好きなマンガ家だが,この作品のゆるい感じが体現出来ていて適任だったと思う。〈お父さん〉が北村薫本人によく似ているのはご愛嬌だろう。

かつて,北村薫が若い女性ではないかと噂されていた〈円紫〉の頃から考えると,苦笑してしまうポイントだろうけれど。

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さて〈円紫〉からリセットして,お気楽な日常ミステリーが展開されるかと思いきや,そこは北村薫,どうしても品格の高い方へと行ってしまう。

この連作短編集でも,いくつかはあまりにもブンガク的過ぎて,ミステリー作品の議題ではない気がした。NHKの番組で取り上げる分には良いと思うけれど,日常ミステリーにしては敷居が高過ぎなレベルが混ざっている。

中野のお父さんの設定は,高校の国語の教師なのだけれど,ある分野の研究者じゃないの,という知識をいくつも持っているのが,やはりリアリティを薄めているし,短編同士のバランスを乱しているように感じた。

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ついでに意地悪っぽいことを言えば,大手出版社の正社員というのは,学歴・知識を含めて狭い門を通り抜けた人だけがなれる。

だからこの作品に登場する,のんびりした様に見える人々は,間違いなくその競争をくぐり抜けてきた圧倒的な勝者だ。全員,国立旧帝大,早稲田,慶応出身の,その中でもトップの頭脳の人々だろう。

そうした実情を知ってしまうと,主人公・美希の日常も,「甘えるな,給料分働け」とか思ってしまう僕は,本当に心が狭い。

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各編について簡単に感想を述べる。

「夢の風車」:〈文宝推理新人賞〉の最終選考に残った作品『夢の風車』は素晴らしい作品だった。けれども応募者に連絡をしても「今年は応募していない,一昨年に送った」という返事だった。この謎は?・・・主人公と〈中野の父〉との関係と,この応募者の家庭事情,さらに作者自身も重なってしまう。謎解きとしては分かりやすく,印象に残る。最初の短編だけれど,傑作だと思う。

「幻の追伸」:主人公は神田の古本街で,作家同士の書簡を見せられ困惑する。師弟関係にあったと思われる男女は,もっと違う関係だったのか?・・・この短編も親しみやすかった。僕もいろいろ解読を試したけれど,○○○だったとは!

「鏡の世界」:イラストも描く作家の未発表の作品が見つかった。その資料を見た父親は,それが左右逆転しているのではないか?と言い出した。・・・うーん,説得力がビミョー。

「闇の吉原」:人気落語家へのインタビューの中で,〈闇の吉原〉という句の解釈が話題となる。中野に帰った美希は,父親からそれについて講釈を受け・・・これも,うーん,だ。日常の謎では全くない。ブンガク上の謎だ。それを平然と投じてくるのは,バランスを欠く気がする。

「冬の走者」:ある作家の要望で出版社の社員たちは,地方のマラソン大会に出場する。だがその中で不思議な出来事が生じ・・・日常ミステリーに戻ったのは良いと思うが,”作家大先生”の思い付きで,会社の複数の人々がプライベートを犠牲にするって,本当に気持ち悪い。

「謎の献本」:「尾崎一雄が志賀直哉への献辞を書いた『留女』」というのがテーマの短編。・・・さすが大出版社の人々。会話が知的だ,って,そんな奴ら実在しないだろうに。これまたブンガクブンガクな短編で,つまらない。

「茶の痕跡」:文芸雑誌の定期購読者は,さまざまな思い出を持っていた。その1人にインタビューに行った美希は,過去の殺人事件について聞かされる。その謎を解いたのは?・・・歴史的な事実としてはひじょうに面白いし,ビジネスとしても今でも通じるものがある。ただ途中で紹介される本マニアの話が多くて,真相を聞いてもインパクトが薄れている。

「数の魔術師」:美希の会社の週刊誌で,長年宝くじを購入している人物を紹介したところ,その人の自宅にに強盗が入り,ハズレが確定している前年のくじを奪われた。それは?・・・ようやく日常ミステリーに戻ったのに,やはりギャンブルや強盗が起きていると,殺伐としていてダメだ。これが巻末短編とは残念だ。











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Last updated  2016.04.05 23:06:06
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