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2017.03.16
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カテゴリ:びしびし本格推理
近藤史恵の〈清掃人探偵キリコシリーズ〉の第2巻を読んだ。

○ストーリー
編集プロダクションに勤務するくるみは,名前の可愛さとルックスのギャップを,発注者の男にからかわれることを気にしていた。だがプロダクションの社長が急死してしまい,彼女の悩みは吹き飛んでしまう。社長の死亡の謎は?そしてくるみたちのプロダクションの行く末は?

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近藤史恵を読み始めている。歌舞伎ミステリー「ねむりねずみ」を読み始め,〈キリコシリーズ〉の第2巻を読んだ。

この2つのシリーズにはずいぶんと差があり,同じ作者の作品とは思えない。

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キリコはオフィスビルの清掃人に戻っている。衝撃的な終わり方をした第1巻の最後の短編が無かったのか?それとも第1巻より以前の物語なのか?

今回の作品では各短編は独立しており,キリコが働きに行く場所もそれぞれ異なるようだ。オフィスという狭い空間でのミステリーなので,どちらかと言うとこうした形式の方が適している気がした。

いざこざが起きた後,また一緒に働くというのはリアルでもひじょうに気まずいものだ。日常系とは言え,ミステリーの題材となるほどのトラブルの後で,何もなかったように同僚ではいられないだろう。そう考えると,第1巻がずっと同じビルで推移したことが驚きだ。

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この作品でも最後の短編は,第1巻の最後の短編と似たような内容になっていた。やはりあの最後の短編は存在したようだ。

せっかく短編によって登場人物も場所が次々と切り替わるのが心地よかったのに残念だ。少しだけ,もうあれは無かったことにしてもいいかも,と思っていた。

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各編について簡単に感想を述べる。

「悪い芽」:ソフトウェア会社課長の栗山は13才となった娘との関係がぎくしゃくしてしまって悩んでいた。そんな中,季節外れの新入社員があり,その金回りの良さは噂となる。さらに本社から部長が赴任してくる。そして栗山の会社は徐々に不穏な空気に包まれる。それに気付いたのは?・・・いい話とキツイ話が同居している短編だ。栗山の不器用な性格には,最初は反感を覚えたが,意外と素直なので見直した。ある人物の行動力の高さには驚くが,会社なんだから他にやることあるだろうと思う。

「鍵のない扉」:女性ばかりの小さな編集プロダクションの大得意は広報誌の仕事をくれる企業だった。だが企業の体質,そして広報の担当が低レベルで,プロダクションの人々は苦労していた。そんな中,代表を務める女性が喘息で死亡する。だがある不自然なことに気付いた人物がいた・・・なかなかツッコミどころの多い短編だ。リアリティのある発注者企業のエピソードは作者の体験なのかも知れないが,ここへのこだわりが強すぎて肝心のミステリー部分のツメが不足している。

「オーバーザレインボウ」:チラシや通販誌などが仕事のメインであるモデルの葵は,恋人だと思っていた男性モデル・ケンゾーが,売れっ子モデルのサーシャを妊娠させ,結婚するつもりであることに傷つく。だがケンゾーは,葵にサーシャへの嫌がらせ行為をやめるように怒る。さらに葵は・・・え?そっち?前の短編でもそうだが,近藤史恵の犯人の動機がもう1つよく分からない。何かを恨んだり,隠そうとしたりするのは分かるが,それで取る行動が普通と違う方向性のような気がする。

「きみに会いたいと思うこと」:大介と妻は,要介護の祖母,家事が何も出来ない50代の父と同居している。妻が旅行に行きたいと言い,大介は気持ちよく送り出すが,その際に妻は「1ヶ月ぐらいで戻る」と言い残す。果たして彼女は戻る気があるのか?・・・第1巻の「史上最悪のヒーロー」の続編だが,相変わらず「史上最悪」だ。絵に描いたような奴隷嫁状態で,正直げっそりする。ハッピーエンドになっているけれど,何も解決していないのが気持ち悪い。イライラ。










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Last updated  2017.03.18 19:23:00
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