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カテゴリ:ばくばく冒険小説
〈ジョジョの奇妙な冒険シリーズ〉の人気キャラクター,岸辺露伴を主人公にした短編集を読んだ。
〇ストーリー 岸辺露伴は,同業者・志士十五から,〈禁止用語リスト〉から招魂させてしまった素材につて相談を受ける。露伴より一歩前にその言葉に囚われてしまった十五は? ---------- 現在,〈ジョジョ〉が連載されている〈ウルトラジャンプ〉の付録として刊行された文庫本だ。希少とは言え,集英社という大手で出版された雑誌の付録なので,今すぐは誰でも入手できる。これが2年とか経ってくると,持っていない人にとっては垂涎の品になるのかも知れない。 作品は短編3つで構成されている。荒木飛呂彦はあくまでもシリーズ設定とキャラクターの創造者なので,各編は他のプロの作家によって執筆されている。 とは言え,各編の主人公は岸辺露伴だし,作家たちは〈ジョジョ〉の世界観を再現しようとしているので,そこから醸し出されるのは,間違いなく〈ジョジョ〉の世界だ。 ---------- 一点残念なのは,せっかく短編が3つなのに,執筆者が3人ではなく2人ということだ。最初の2つが同じ作家によって書かれているので,2人の手による岸辺露伴しか,我々は読むことが出来ない。 どんな事情があったのかは分からないが,ここは3人の作家の手で,3種類の短編が提示されるべきだったろう。 来月の〈ウルトラジャンプ〉にあっさりと「岸辺露伴は動かない(2)」が付録となるらしいので,改善を期待したい。 ---------- 各編について簡単に感想を述べる。 「幸福の箱」北國ばらっど:古美術商・五山一京の家に招かれた岸辺露伴は,風呂敷に包まれた〈幸福の箱〉という品の鑑定を頼まれる。断ろうとした露伴だが,一京が中座したこと,そして出て来た箱がパズルのようなものであったことで,事象は意外な展開を迎える。・・・一京が企んだことと,別の人物が企んだことが異なるので,岸辺露伴は大きなトラブルに巻き込まれる。「ッッッ!」という言い切りなどを含めて,荒木飛呂彦ワールドに寄せているのがよく分かる。 「くしゃがら」北國ばらっど:岸辺露伴は,同業者・志士十五から,〈禁止用語リスト〉について相談を受ける。だがそこには〈くしゃがら〉という言葉が含まれており,彼らはいつしかこの言葉に寄生されるようになる。なんとか事件を解決しようとする。・・・良い切りや説明文から流れてくるのは,狂おしいまでの〈ジョジョ〉への愛情だ。ある言葉に囚われてしまう,というのも〈ジョジョ〉的だし,言い争いで自分の出身まで語ってしまう慣習も荒木飛呂彦敵だ。〈禁止用語リスト〉への批判も包含した短編の結末とは??? 「Blackstar.」吉上亮:岸辺露伴はとある財団からひじょうに魅力的な依頼を受ける。彼らは露伴の手にある紋章を確認したいのだった。・・・最初の2編が,言葉遣いを含めての〈ジョジョワールド〉を再現しようとしたのとは異なり,落ち着いた筆で物語は進む。これまでと異なる舞台セットホラー仕立てで十分楽しめる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.08.29 22:29:12
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