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2017.12.20
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真梨幸子の人生の失敗をテーマにした長編を読んだ。

〇ストーリー
落合美緒は共働きで池袋のタワーマンションに住んでいた。だが不運が続き,退職し,埼玉の小さなマンション住まいとなり,地元のスーパーでアルバイトをするようになった。だがそのバイト仲間のイチハラが,マンションの隣家全員を殺害したとして逮捕されたことを知り,たまたま事件の晩に彼女に会っていた美緒は,事件を含めて人生の失敗を集めた本を企画出版することにとりつかれる。その情熱はやがて・・・

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イマドキの真梨幸子作品に長編だった。

〈イヤミス〉であるのはデビュー作から変わらない特徴なのだが,さらに最近は読者をはぐらかすような展開を続け,必ずしも「これが真相」という分かりやすい結末を提示しない,という結末となっている。

結果的には,〈イヤミス〉独特の毒に満ちた人間模様が描かれ続け,それを耐え続けてもスッキリする結末には至らないという二重苦,三重苦の読書体験の提供になっている。

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ミステリーでは,小説の中でも積極的に犯罪や暴力が描かれている。読者がこのジャンルを喜ぶ理由は,単純に謎解きとして知的なゲームを楽しむのと一方で,発生した事件による混乱の末に切れ味の良い論理により世界が整理されるという部分があると言われている。

〈イヤミス〉がそれとマッチしていないのではないが,真梨幸子作品の多くは最後まで説明しないまま終わるので,通常のミステリーで存在する”スッキリ謎解き”が不在だ。

それに加えて,〈イヤミス〉ならではの,畳み掛けるネガティブな感情が強力に襲いかかってくる。よく,平気でこの作家の作品をほとんど読破しているな,自分。

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この作品は,真梨幸子のデビュー作「孤虫症」のスピンオフ的な続編となっているが,作中で「孤虫症」や作者のことが辛辣に批判される。

メタ的なのか,違う意識なのかは分からないが,そこまで追い詰められているのか?と心配になってしまった。

正直あまり売れてはいない真梨幸子が,メタ的でパロディのようなことをするって,ちっとも笑えなくて,こうした辛口批評が出来なくなるのでやめてもらいたい。

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恐らくきちんとヒント通りに特徴を集めて,言動を追って行けば,真犯人にたどり着けるのだろうけれど,ダラダラと悪意が垂れ流されているだけの作品を読み返す気分には到底なれない。

ネガティブで,また理解するのに手間がかかるということで,最近ではちっとも買いたくならないという作品ばかり出版しているのは,作家としてどうかと思う。

リーダビリティは相変わらずなのだけれど,意図的に語り手が代わり,意図敵に情報が隠されているのに気付くと,ちょっとゲッソリしてしまう。





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Last updated  2017.12.20 22:09:11
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