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2018.07.05
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カテゴリ:びしびし本格推理
ホテルを舞台にしたミステリー〈マスカレード・シリーズ〉の第2作を読んだ。

〇ストーリー

都心の高級ホテル・コルテシアに不釣り合いな男性グループが宿泊する。彼らはロビーに居座り,謎の美人作家・タチバナサクラの到着を待ち受け続ける。それを知ったフロントの山岸尚美は,予約をしている出版社の担当に状況を伝え,作家と男性グループが出会わないように配慮をする。だがグループはさらに・・・


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〈マスカレード・シリーズ〉の第2作を読んだ。読む前は,ホテルが舞台のシリーズとは想像できず,互いに身分を明かさない殺人ゲーム的な設定の物語だと思っていた。とにかく装幀が,タイトルだけを頼りに作ったような印象で,内容とはほとんどリンクをしない。

さらに言えば,シリーズ第2作が短編集なのに驚いた。長編で始まった作品をシリーズ化するには,第1作の重みに負けないように,ということでせめて第2作までは長編で勝負をしてもらいたい。数作の後に,意外な切り口や,いつもは注目されないキャラを描くために短編集というのもあり,だと思うけれど,2作目はないかな?個人の感想だけど。

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この作品の特徴は,第1作の主人公コンビが再登場するにも関わらず,時系列には過去となっていて,最後まで2人は出会わずに終わることだろう。

1つ目と3つ目の短編はホテル・コルテシアの山岸尚美の物語で,2つ目の短編は新人刑事・新田浩介の物語だ。4つ目の短編は,2人が出会いそうで,どうなる??という読者をヤキモキさせる面白い趣向となっている。

その後の物語は,シリーズ第1作で語られているので,そちらをお楽しみに,ということになるのだが,間違ってこの作品から読み始めてしまった人は,交互に登場する主人公たちが出会わないまま終わってしまう,というちょっと??な状況になってしまったと思う。

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それにしても,この作品で新田浩介への掘り下げはあったけれど,相変わらずそれほどは魅力的な人物とは思えない。警視庁1課の刑事,弁護士の息子,帰国子女,ルックス良い,頭良い・・・男の敵だな。

山岸尚美は少しだけ若い時代で,小さなミスをしてしまうが,それ以外はストレートなタイプなので予想通りの言動だった。

シリーズ第3作がどんな内容なのかは調べていないが,きちんと2人が協力する展開であるとうれしい。

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各編について簡単に感想を述べる。

「それぞれの仮面」:勤務先のホテル・コルテシアに,かつての恋人・宮原がチェックインをして来たときに,新米クラーク・山岸尚美は驚く。だがそれは,夜に彼から内密の相談があった時の驚きの比ではなかった。宮原の目の前から消えてしまった女性の行方は?・・・ホテル・コルテシアはトラブル続きのようだ。それにしても女性が何年も前の恋人の電話番号をケータイに残していない,という印象だ。まあ,それだと物語が始まらないからダメなのか?最後の毒舌ぶりは,さすがにシリーズと合わない。

「ルーキー登場」:刑事・新田浩介は警視庁捜査一課に配属となり,早速に実業家の刺殺事件の捜査に加わる。行きずりの犯行として片付けられそうな状況で新田にひらめいたこととは?・・・ワリと早めに犯人の予想はついたけれど,そこまで悪いヤツだったか?!ちょっと怖い。

「仮面と覆面」:謎の美人作家・タチバナサクラがホテル・コルテシアに泊まり締め切り間近の作品を執筆する。秘密のはずの情報を聞きつけ,5人の男性グループがホテルのロビーと周辺をうろつき,タチバナサクラを探し出そうとする。彼らの攻防の結果は?・・・正直どうでもいい。この短編で言いたいことってなんだろう?

「マスカレード・イブ」:とある大学の教授が刺殺されて発見され,准教授・南原が容疑者となる。彼は事件の夜は学会で京都へと出張をしていたのだが,彼のホテルの部屋は泊まったという形跡がなかったのだ。警察の追求でその晩,大阪へ移動したことを認めた南原だが,どのホテルで誰といたか,は頑として述べない。警視庁の新田の相棒の女性・穂積はコルテシア大阪へと行き,山岸という女性から有力な手掛かりを聞き出す。そして・・・書き下ろし短編であり,第1作とのリンクが濃厚に張られている。展開がややもたつくが,それはある大きなヒネリのためだ。さすがに無傷で切り抜けられないとは思うのだが・・・





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Last updated  2018.07.05 23:47:33
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