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2019.08.31
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カテゴリ:びしびし本格推理
高校生男子2名が主人公の米澤穂信のミステリーを読んだ。

〇ストーリー
高校2年生で図書委員の堀川と松倉は,3年生の美女・浦上麻里に頼まれ,彼女の家に行く。浦上の祖父は金庫のダイアル錠の開錠情報を残さずに亡くなってしまったのだ。ヒントが残されてていたのは,祖父の書斎の本棚で,そこから2人は・・・


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米澤穂信は高校生を主人公にしたミステリーがいくつもある。中でも〈古典部シリーズ〉と〈小市民シリーズ〉は有名だろう。この作品が高校が舞台であると知った時は,てっきりどちらかのシリーズの新作だと思った。

結果的にそのどちらでもなく,男子高校生2人が主人公で,2人とも推理力が高いというなかなか面白い展開の連作短編集だった。

けれども終わり方が終わり方なので,この作品に続編が生まれて,シリーズ化されるかどうかは微妙なところだ。半分以上ない,というのが予測だ。残念だけれど。


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物事を正面から考える〈僕〉こと堀川次郎,常に冷静で裏まで考える松倉詩門は,ともに八王子の進学校の2年生だ。四月から図書委員になったことで2人は知り合い,不思議と気が合う。

そして図書委員関連で,ある謎解きの依頼を請けた時,2人の探偵としての補完関係は明確となり,コンビとして機能するようになる。

伝統的に探偵モノって,変人名探偵と常識的な助手というパターンが多いが,探偵コンビで楽しめる作品は少ないのでこれは収穫だ。若干,変人・松倉と常識的な堀川という部分は伝統的なパターンを踏襲しているが,と言っても2人は現実の高校生の枠に収まっている。


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さてこの連作短編集はビターな味わいで終わる。そうした意味では間違いなく米澤穂信の作品だ。

ミステリー小説は間違いなくエンターテインメントで,いろいろな約束があり,いろいろと現実離れをしている。それに対して疑問を感じたと思われる米澤穂信が導入したのが〈日常ミステリー〉というジャンルだ。

さらにこの作家が取り入れているのが,なんともやるせない無常観だ。と,言葉にすると大げさで昭和っぽいけれど,多くの作品がとても苦い味わいで終わる。それは事件が失敗したりとか,主人公に危害が加えられた理,ということではない。多くは,安定していた人間関係が終わる,あるいは決定的に変わる,ということが示唆される。ツライよね,こういうの。


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各編について簡単に感想を述べる。

「913」:図書委員の堀川と松倉は,上級生の浦上麻里に頼まれて,彼女の祖父が遺した金庫を開けるための暗号を解くことになる。浦上の家に赴いた2人が目にしたのは,明らかに不自然な本棚の書籍だった。だがさらに・・・普通の日常ミステリーと思わせて,なかなかのツイストを見せる。堀川・松倉コンビが結成された瞬間だが,最初から冴えていて心強い。

「ロックオンロッカー」:割引チケットを利用するために,堀川・松倉コンビが美容院に行く。だがそこで言われた一言がもとで・・・日常ミステリーのお手本のような短編だ。2人が求めているのは納得であって,犯人の特定やまして逮捕でもない。男子高校生としての等身大の松倉が見える貴重な短編でもある。

「金曜に彼は何をしたのか」:堀川と松倉の図書委員の後輩・植田は,兄の潔白証明のために助力を求める。そこから見えてきたものとは・・・試験期間中という微妙なタイミングで主人公たちは事件解決の依頼を請ける。依頼者は学年でも素行が悪いと評判の植田,の弟だった。不良の兄の行動から見えてきたこととは?・・・またまた日常ミステリーとしての逸品だ。良いね。

「ない本」:堀川と松倉の学校で3年生の男子生徒・香田が自殺をした。その直前に香田と会っていた男子が,香田が読んでいた本が何であるかの調査を依頼する。だが・・・日常ミステリー系のバディ探偵と思っていた連作短編集が,ここに来て違う色を見せ始める。2人とも男子生徒にきつくないか?

「昔話を聞かせておくれよ」:松倉は〈僕〉堀川に昔起きた事件について話し始める。そこから先は,宝探しだと思われていたのだが,あまりにも都合が良く調査は進み・・・前の短編以上に一気に読者をドン引きさせる展開だ。過去の事件が生々し過ぎてキツイ。主人公2人の間に生まれつつあった友情はこれで・・・

「友よ知るなかれ」:調査の翌日,〈僕〉堀川は図書館に行き,昔の新聞を調べる。そこから見えてきたこととは・・・堀川にしても松倉にしても,すっと手を差し伸べ合えないのがリアルなところだ。せっかくきれいな探偵コンビが発揮されていたのだから,この2人をもっと見ていたい。そんな気持ちでいっぱいだ。











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Last updated  2019.09.01 22:14:34
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