伸二が帰ってくる。
　ウラワでいいの？という気持ちもあるけれど、ウラワを選んでくれたことはとても嬉しいことです。

　俺たちにとって伸二が特別な選手だったように、オランダに渡った伸二にとっても、ウラワは特別な場所だったのだろうと思います。福田はウラワ以外のユニを着て闘えないと言ってスパイクを脱いだように、伸二にとっても、Jで闘うなら浦和ウラワしかない、と思ってくれている。多分ですけどね。

　でも、ウラワの選手として闘うからには、どれだけの仕事をピッチの上でするか、ということだけが基準なわけで。今回の復帰は嬉しいけれど、本当に喜ぶのは、試合に出て、やっぱり伸二だ、と思わせてくれるプレーを見せてくれた時だと思います。そのためにはチーム内のライバルに勝って、メンバーに名を連ねるところから。そんなことは伸二も当然理解しているでしょうけれど。
　俺たちは、一緒に闘う選手は名前に関係なく応援する。それだけのことです。

　でも、あの頃の伸二を見ていた記憶は、今年の伸二への期待を膨らませるに十分すぎます。そしてきっと、この期待に応えてくれるでしょう。


　多分伸二とは、そう遠からずもう一度別れの時が来るのだろうと思います。次の別れの時、あの時と同じように、心から気持ちよく「ありがとう」と言って送り出せたら。世界のサッカーファンに向かって、あれが俺たちの伸二だ、と胸を張って言える日が来る。そのためのステップとして、しばらくはウラワで挑戦する伸二をサポートしていきます。